Web面接に特有のマナーと必要な準備とは?成功のコツを解説

2020年以降のコロナ禍をきっかけとして、Web面接を実施する企業が増えています。あなた自身も、Web面接を受けるために情報収集をしているところかもしれません。

実は、Web面接を成功させるためには、対面の面接以上に、細やかな準備が必要です。にもかかわらず、軽い気持ちで挑んでしまえば、大きな失敗の原因となります。

そこで本稿では、Web面接を成功させるために押さえておきたいマナーや準備について解説します。

Web面接でも対面面接でも本質はまったく変わらない

最初にお伝えしたいのが、「Web面接でも、対面面接でも、本質はまったく変わらない」という大前提です。

服装、身だしなみ、あいさつ、言葉遣い、受け答えなど、基本的には対面の面接と同じ準備や振る舞いが、Web面接でも必要です。

例えば、「Web面接では、どんな服装をすればいいのかな?」と疑問に思ったときは、対面面接を基準に判断してください。

対面面接でスーツの必要がある面接であれば、Web面接でもスーツの必要があります。

「Web面接は気軽に受けられる」というイメージがありますが、そのイメージに引っ張られて、自己判断で簡略化しないよう注意が必要です。

軽い気持ちで、身だしなみをはじめとする面接の準備を手抜きしたなら、それはあなたの低評価に直結してしまいます。

繰り返しになりますが、「対面面接で必要な準備はWeb面接でも必要」と心得ておきましょう。

Web面接で注意したいマナーと準備

Web面接では、対面面接と同じ準備をしたうえで、さらに“Web面接に特有のマナー”として押さえるべきポイントがあります。

それぞれ、詳しく解説しましょう。

(1)自分の映像を面接官にはっきり届ける

まず大切なのは「自分の映像を相手にはっきり届ける」ことです。面接官は、あなたの身だしなみや顔の表情を見て評価し、採用すべき人物か判断します。

あなたの映像がはっきり届かなければ、面接官は適正な判断ができません。

具体的には以下のポイントを確認しましょう。


チェックポイント

  • 顔が暗くなっていないか(逆光に注意)
  • 背景や周囲に余計なものが映り込んでいないか
  • フィルタ機能などで余計な装飾をしていないか

▼ 対策

  • 日中でもカーテンを閉めて室内照明にする
  • 利用ツールに明るさ調整の機能があれば活用する
  • 白い壁を背面にして座る(難しい場合は布を棚にかけるなどしてシンプルな背景を作る)
  • フィルタ機能やバーチャル背景はOFF設定にする

顔が暗くならないよう注意

逆光(自分の背後からカメラに向かって光が当たっている状態)を避け、日中でもカーテンを閉めて、室内照明にすると、映像が安定しやすくなります。

面接で利用するツールに明るさ調整の機能があれば、活用しましょう。

例えばZoomであれば[低照度に対して調整]という機能で明るさを調整できます。

ゴチャゴチャとした背景は避ける

“面接官にあなたの映像をはっきり届ける”という観点で考えれば、片づいていない雑然とした背景は、邪魔になります。

「背景はできるだけシンプルに」が鉄則です。

家の中で、白い壁を背景に座れる場所を探しましょう。

白い壁を背景にすることが難しい場合には、本棚に布をかけてカバーするなどして、シンプルな背景を作る工夫をしてください。

バーチャル背景やフィルタ機能はOFF設定にする

普段のビデオ通話では、バーチャル背景やフィルタ機能を使っている方もいるかもしれません。しかしながら、Web面接ではOFF設定にしておくのが賢明です。

あなたの実際の姿を届けるうえでは、妨げになる可能性があるためです。

加えて、面接官のなかには、「面接というフォーマルな場にそぐわない」と考えて評価を下げる人もいますので、注意しましょう。

なお、これらのOFF設定は、毎回Web面接の前に再確認することを習慣付けてください。

特に注意したいのは、プライベートでも同じツールを利用している場合です。前回の設定を引き継いだままWeb面接をスタートしないよう、必ず事前にOFF設定しておきましょう。

(2)自分が話した音声を面接官にはっきり届ける

次に、「自分の声をはっきり届ける」ことも重要です。

自分の映像は、面接中でも自分側のディスプレイに表示して確認できますが、音声は違います。面接官にどう届いているか、自分では確認ができません。

気付かぬまま面接官に不快な思いをさせていないか、念入りに確認しましょう。


▼ チェックポイント

  • マイクから雑音(ノイズ・ハウリングなど)が発生していないか
  • マイクの音量は適切か
  • 家の中の生活音(家族の物音・インターフォンの呼出音・ペットの鳴き声など)やパソコン・スマートフォンの通知音が入っていないか
  • 外からの騒音や工事の音などが入っていないか
  • キーボードのタイプ音が響いていないか

▼ 対策

  • マイクの事前チェックを念入りに行う(特にBluetooth接続のマイクに注意する)
  • ドア・窓を閉め切った個室でWeb面接に臨む
  • あらゆる呼出音・通知音をOFFにしておく
  • 利用ツールに騒音抑制機能があれば活用する
  • メモは紙のノートに筆記用具で手書きする

マイクのトラブルに注意

Web面接で多いのがマイクの不具合です。

不快な雑音が入る・音量が小さくて聞き取りづらいといったトラブルを避けるためには、事前のテストが欠かせません。

利用するツールのテスト機能を使って、マイクのテストを行いましょう。

例えばZoomであれば[マイクのテスト]という項目があります。

入力音量や自動調整のON/OFFは、環境によって最適な設定が異なります。

あなたの環境で最も聞き取りやすくなるよう、テストしながら調整しましょう。

雑音や音量の不具合が起きていて、ツールの設定を調整しても解決できない場合には、マイク自体に不具合が起きている可能性もあります。

特にBluetooth接続のイヤホンに付属のマイクは、雑音が出やすい傾向があります。

デバイスの内蔵マイクや有線接続のマイクで試してみましょう。

自分の声以外が極力入らないようにする

あなたの声を邪魔するほかの音が極力入らないようにするためには、窓やドアはすべて閉めましょう。

インターフォンの呼出音、スマートフォンやパソコンの着信音、住宅設備の通知音(“お風呂が沸きました”など)は、すべて音がならない設定にしておきます。

同居する家族やペットがいる場合には、生活音や鳴き声が入らないよう、個室に入るのが理想的です。

どうしても難しい場合には、面接に利用するツールの設定で軽減できる場合もあります。

Zoomであれば[背景雑音を抑制]という機能があります。

また、意外と大きく響き相手に不快感を与える音が「パソコンのキーボードのタイプ音」です。

Web面接中にメモを取りたいときは、パソコンは使わず、紙のノートに筆記用具で手書きしましょう。Web面接が始まる前に、手元にノートとペンを準備するのを忘れないようにしてください。

(3)面接官の言葉をスムーズに理解し受け答えする

ここまであなたからの発信する映像や音声を、はっきりと面接官側に届けるための対策をご紹介しました。

一方で「面接官の言葉をスムーズに理解して受け答えする」ための準備も不可欠です。

面接官の言葉がなかなか聞き取れず、何度も繰り返し聞き直すようなことがあれば、失礼にあたります。


▼ チェックポイント

  • インターネット接続は安定しているか
  • 面接官の姿を大きく表示できているか
  • スピーカーやイヤホンの音量は十分にあるか、はっきり聞こえるか

▼ 対策

  • 必要なスピードのインターネット回線を準備する
  • スムーズに相手と会話できるか事前にテストしておく
  • 大画面のパソコンやタブレットを使う
  • イヤホンを利用する場合は有線のイヤホンも準備しておく

必要なスピードのインターネット回線を準備する

Web面接でスムーズにやり取りをするためには、高速で安定したインターネット回線が必要となります。

具体的には、Zoomであれば以下が推奨されています。

帯域幅に関する推奨事項

Zoomが使用する帯域幅は、参加者のネットワークに基づいて最適なエクスペリエンスが得られるように最適化されます。 帯域幅は自動的に3GまたはWiFiに応じて調整されます。 

WiFi使用時の推奨帯域幅:

1:1 ビデオ通話の場合:高品質のビデオの場合は 600 kbps (アップロード/ダウンロード) 、HDビデオの場合は 1.2 Mbps (アップロード/ダウンロード)

グループビデオ通話の場合: 高品質のビデオ映像を利用するには、600kbps/1.2Mbps(アップロード/ダウンロード)。ギャラリービューの場合: 1.5Mbps / 1.5Mbps(アップロード/ダウンロード)。*1

自宅の環境と照らし合わせて、インターネット回線を準備しておきましょう。

実際にテストして確認する

インターネット回線を準備したうえで、実際にテストして音声の聞こえ具合や映像のスムーズさを確認しましょう。

家族や友人に協力してもらい、できるだけ本番に近い環境でテストを行います。

Web面接に使用するデバイスは、小さな画面のスマートフォンではなく、パソコンやタブレットがおすすめです。

面接官の表情が読み取りやすく、その分、スムーズなコミュニケーションにつながります。

相手の声が十分に聞き取れるかどうかも、念入りにチェックしてください。

イヤホンを使う場合には、Bluetooth接続だけでなくトラブルに備えて有線のイヤホンも準備しておきましょう。

Web面接を成功させるために心掛けたいポイント

最後に、Web面接を成功させるために心掛けたいポイントを3つ、お伝えします。

(1)使用するツールに慣れておく

まず大切なのが、面接で使用するツールに慣れておくことです。

例えば、面接中に面接官から「声が小さいようなのですが」と指摘されるかもしれません。

どこを調整すれば自分の声が大きくなるのか把握していないと、その場であたふたしてしまい、時間を要してしまいます。

事前に、面接で利用するツールを使い慣れておきましょう。

Web面接でよく利用されるツールには、Zoom、Skype、Microsoft Teams、Google Meetなどがあり、企業によって異なります。

企業からWeb面接の案内メールが送られてきたら、どのツールを利用するのかしっかり確認することが大切です。

利用するツールの入退室の方法、音量の調整(入力・出力の両方)をはじめ基本操作は難なくできるように、事前に練習しておきましょう。

(2)当日は日常から面接へ気持ちを切り替える

Web面接は、自宅から受けられるメリットがある反面、気持ちを切り替えにくいのがデメリットです。

対面の面接であれば、身だしなみを整え、面接会場までたどり着き、受付をして面接官が到着するのを待つ──といったプロセスによって、程よく緊張感を高めることができます。

しかしWeb面接には、そのプロセスがありません。

ともすれば、日常生活の延長線上でバタバタとWeb面接をスタートしてしまいます。

対策として、気持ちの切り替え時間を取るのがおすすめです。

30分前までに身だしなみを整えて、日常の家事や趣味などから離れ、気持ちを落ち着けて「仕事モード」に入りましょう。

(3)最終面接は来社してお互いに最終確認する

Web面接を行う企業は増えていますが、多くの企業では内定前の最終面接までに、来社しての対面面接があります。

Web面接で選考が進んだ場合、どこかのタイミングで対面面接が行われる心構えをしておきましょう。

なお、もしWeb面接のみで内定が出た場合でも、内定承諾して入社を決意する前に、直接訪問する機会を作ってもらうことをおすすめします。

自分の目で社内や働く人たちの様子を確認することで、本当にあなたに合う企業なのか、正しい判断をしやすくするためです。

さいごに

これまで採用過程といえば「書類選考」→「対面での一次面接」→「二次面接」…といったプロセスが一般的でした。

今後は、「書類選考」→「Web面接」→「対面面接」…という具合に、書類選考の次のステップとしてWeb面接を定着させる企業の増加が予測されます。

Web面接のスキルは、コロナ禍における一過性のものではなく、今後も自身の業務上においてWeb商談やWeb会議などで長く役立つものです。

ぜひこの機会に、Web面接のマナーや準備をマスターして、自分の武器としていきましょう。


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引用
*1 Zoom ヘルプセンター「iOS、iPadOS、Androidのシステム要件」
https://support.zoom.us/hc/ja/articles/201179966-iOSとAndroidのシステム要件


【著者】三島 つむぎ

ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。