
「これからの会社は、ブランディングなしには生き残れない」という話を聞いたことがあるかもしれません。
確かに、現代では「製品・サービスそのもの」の価値だけでなく、付加価値となる「ブランド力」が、製品・サービスの選ばれやすさを左右しています。
特に人材紹介会社のような無形のサービスを扱う事業においては、ブランド力を高めるブランディングが重要です。
そこで本記事では、ブランディングとは何なのか、具体的にどうやれば良いのかを取り上げていきましょう。
ブランディングとは何か
まずは「そもそもブランディングとは何か?」という基本から解説します。
ブランディングとは
ブランディングとは、自社ブランドをマネジメントして、人々に記憶され、必要なときにすぐ思い浮かび、信頼される魅力的な存在にすることです。
具体的にマネジメントする対象としては、ブランドの名前、ロゴ、色、発するメッセージの内容、製品・サービスを見たり聞いたり使ったりしたときに受ける印象などが挙げられます。
これらを意図を持って管理し、人々のマインド(意識、心の中)に自社ブランドに対するポジティブなイメージを蓄積していく活動を、ブランディングと呼びます。
ブランディングのよくある勘違い
ブランディングのよくある勘違いとして、
「人々が抱くイメージを、自社にとって都合の良い方向へコントロールして、印象を操作するのがブランディング」
というものがあります。
しかし、本来のブランディングとは、印象操作のことではありません。
取り組みの流れは後ほど解説しますが、ブランディングにおいて重要なのは、まず“あるべき理想の姿(ビジョン)”を描くことです。
つまり「私たちは、どんな人材紹介会社でありたいのか」を考え抜き、明確にします。
そのうえで、すべての活動を“あるべき理想の姿”へ合致させていきます。
提供するサービスの内容、営業の場で伝える言葉、求職者とのコミュニケーション、コーポレートサイトのデザインから名刺に印字するキャッチコピーに至るまで、一貫して理想の姿を実現します。
その結果として、人々のマインドにポジティブなイメージが蓄積されるのです。
決して、“表面的な印象を操作することがブランディングではない”ことを押さえておきましょう。
ブランディングで得られるメリット・効果
何となく「ブランディングはやったほうが良い」と感じている方は多いかと思いますが、成功させるためには、ブランディングの効果を具体的に把握しておくことが欠かせません。
なぜなら、ブランディングによって何が得られるのか認識しておかないと、途中で頓挫しやすくなったり、あるいは逆に、ブランディングで何でも解決できると過大な期待を抱いたりするリスクがあるためです。
ここでは、人材紹介事業においてブランディングを行うメリットや効果について、4つのポイントを見ていきましょう。

(1)人材紹介が必要なときに思い出してもらえる
ブランド認知…名前やロゴを見て「知っている」と感じたり、「人材紹介会社といえば●●」と想起したりすること
ここでひとつ、例を挙げましょう。
あなたの会社が目指す理想の姿が「情熱的な人材紹介会社」で、そのビジョンに基づいてブランディングを実行するとします。
具体的には、「情熱的」なあり方を表現するために、パッションあふれる熱い営業トークを展開し、真っ赤な名刺に燃えるロゴマーク、服装は常に赤いネクタイを着用したとしましょう。
求人企業は日常的にたくさんの人材紹介会社から営業を受けていますが、「人材紹介を依頼したいな」と思ったときに思い浮かぶ会社はごくわずかです。
ブランディングを実行していれば、真っ先に思い出される確率が高まります。ブランド認知の効果が発揮されるからです。
「人材紹介といえば……、あっ、そういえば半年くらい前に、熱い人材紹介会社から営業があったな。相談してみよう」
こうしてあなたの会社が想起され、相談の電話がかかってくるというわけです。
(2)高い料金を支払ってくれる顧客が増える
2つめのメリットは「高い料金を支払ってくれる顧客が増える」ことです。端的にいえば“客単価が上がり利益率が上がる”ことになります。
ブランディングには「価格プレミアム」の効果があるからです。
価格プレミアム…顧客が他社の製品・サービスよりも多く支払っても良いと思える価格の部分
バッグや時計、車などを購入するとき、
「同じ機能を持つ商品であっても、ハイブランドの商品のほうが高い価格を支払える」
という経験はないでしょうか。
これは、ブランディングによって価格プレミアム効果が効いているからです。
例えば、「誠実な人材紹介会社」としてブランディングしている会社と、ブランディングをしていない「ただの人材会社」を比較してみましょう。
「ただの人材紹介会社」
「誠実な人材紹介会社」
ブランディングしている会社は「誠実な」分の付加価値がつき、その分、高い料金を支払ってもらえるのです。
(3)顧客との良い関係が長期的に継続しやすくなる
3つめのメリットは「顧客との良い関係が長期的に継続しやすくなる」ことです。
ブランディングには「顧客ロイヤルティ」を形成する効果があるためです。
顧客ロイヤルティ…ブランドや企業に対して顧客が抱く信頼や愛着
ブランディングを通して顧客のマインドにポジティブなイメージを蓄積していくと、それはあなたの会社を信頼する気持ちや、「ほかの会社ではなく、この会社に依頼したい」と感じる愛着心につながっていきます。
結果として、顧客との良いお付き合いが長く続いていくのです。
人材紹介会社であれば、求人企業や求職者とのつながりが1回で途切れるのではなく、ことあるごとに相談され、半永久的に伴走し続ける存在になれるということです。
(4)ブランディングへの取り組み自体がサービスの質を高める
4つめのメリットは「ブランディングへの取り組み自体がサービスの質を高める」ことです。
これはあまり知られていないことですが、ブランディングに取り組むと、実体としてのサービスの質も高まっていきます。
「あるべき姿を描き、それに現状を合致させていく」というブランディングの本質に則ってブランディングを継続すると、現状が高まり続けていくためです。
ただし、“よくある勘違い”として先に述べたような、表面的な印象操作を意図して取り組んでも、サービスの質は高まりません。
実際の取り組み方については、次の章でご紹介しましょう。
人材紹介会社がブランディングに取り組む流れ
ここで「ブランディングに取り組んでみたい」という方に向けて、実際の流れを簡単にご紹介します。

ステップ1:理想のあるべき姿を描く
1つめのステップは「理想のあるべき姿を描く」です。
ブランディングに取り組む起点は“どうありたいか”です。ここが曖昧であれば、ブランディングの効果は期待できません。
逆に、理想のあるべき姿が明確であるほど、効果的なブランディングを実行しやすくなります。ぜひこのステップには丁寧に取り組んでみてください。
具体的には、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)のフレームワークや、内外の環境を分析するSWOT分析、顧客・競合・自社を分析する3C分析などが役立ちます。
企業として達成したい使命、自社の強み、顧客のニーズ、競合環境などを吟味したうえで、どうありたいかを描きましょう。
ステップ2:現状をあるべき姿に変えていく
2つめのステップは「現状をあるべき姿に変えていく」です。
ステップ1で明確化した理想のあるべき姿に合わせて、現状を変えていきます。具体的には、まず「ブランド要素」と呼ばれる要素から決めていくと良いでしょう。

一貫したブランド要素は、効率的にブランディングの成果をあげるために役立ちます。
逆に、ブランド要素が定まっておらずバラバラであれば、人々のマインドに浸透するイメージもバラバラになります。ブランド認知をはじめとするブランディングの効果が出にくくなりますので、注意しましょう。
ステップ3:すべての活動とあるべき姿を合致させる
3つめのステップは「すべての活動とあるべき姿を合致させる」です。
実は、この3つめのステップこそがブランディングの真髄ともいえます。ステップ2で定めたブランド要素のみならず、すべての活動とあるべき姿を合致させていくのです。
“すべての活動”の内訳としては、例えば以下が挙げられます。

「すべての活動とあるべき姿を合致させる」を言い換えるなら、「人々があなたの会社に触れるあらゆる接点において、“一貫して統一された経験”を提供する」ということです。
この“一貫して統一された経験”の積み重ねが、人々のマインドにポジティブなイメージを蓄積し、あなたの会社のブランド価値が高まっていきます。
さいごに
最後に、ブランディングにおける重要なポイントをお伝えしましょう。
それは「ブランディングは、一朝一夕にはできない」という事実です。ブランディング効果が発生する場所は、“人々の頭の中”ですから、それを瞬間的に変えることなどできないのです。
むしろ、毎日のあらゆる業務と地続きになっていて、事業が続く限り脈々と向き合っていくべき活動がブランディングであるといえます。
ブランディングには時間がかかりますが、実直なブランディング活動の末に手にしたブランド力は資産となり、事業の大きな支えとなるでしょう。
ぜひブランディングへの取り組みをスタートしてみてください。
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【著者】三島つむぎ
成長期から安定期のベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やベンチャー企業立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。