人材紹介業に必須の資格&おすすめ資格10選|取得の難易度や費用も

人材紹介事業を始めるには、免許の取得が必須です。加えて事業を成功させるためには、他にもいくつか資格を習得しておくと有利に働きます。とはいえ、「どんな資格を取得すればいいのか分からない」という方は多いでしょう。
本記事では、以下の内容について解説します。

  • 人材紹介業に必須の資格
  • 人材紹介業に求められるスキル
  • 人材紹介業におすすめの資格10選

人材紹介業への参入を検討されている方や人材紹介業を成長させたいと考えている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

人材紹介業に必須な資格は?

従業員として人材紹介業で働く場合は、必須となる資格はありません。ただし、人材紹介業は国が定めた許認可事業であるため、開業する場合には許認可が必要です。免許なしでの営業は職業安定法で禁止されています。

個人のスキルにかかわらず許認可を受ける必要があるため、どのような方法で免許を取得すればよいかを理解しておきましょう。

許認可申請に必要な要件

人材紹介業の免許を取得するには、大きく分けて4つの要件を満たす必要があります。

要件詳細
責任者に関する要件1つの事業所につき1名以上の責任者を選任する。申請の前に職業紹介責任者講習会を受講する必要がある。
財産に関する要件財産に関する2つの条件をクリアする必要がある。
・資産(繰延資産及び営業権を除く)-負債≧500万円×事業所数
・自己名義の現金・預金の額≧150万円 +(60万円×(事業所数-1))
個人情報に関する要件求職者の個人情報を適切に管理する。
事業所に関する要件区分けされた面談スペースを用意し、求職者が他の他の求職者や求人者と同室にならない事業所を用意する。
(*1)

許可要件に関して都道府県の労働局が説明や助言を行っているので、申請を出す前に相談するとよいでしょう。

最近ではオンラインによる相談も増えており、事業所に関する要件では、インターネットのみを利用した対面を伴わない職業紹介も認められています(*2)。

*1(引用)厚生労働省「有料職業紹介事業 許可要件(概要)
*2(参考)厚生労働省・都道府県労働局「職業紹介事業パンフレット-許可・更新等マニュアル-

許認可申請の流れ

許認可申請の流れは以下の通りです。

  1. 事業計画の立案
  2. 事業所等の準備
  3. 職業紹介事業者講習の受講
  4. 申請書類の提出
(参考)厚生労働省「事業許可までのプロセス」を参考に筆者作成


申請書類は都道府県の労働局に提出します。厚生労働省は事業開始予定時期のおおむね2〜3カ月前までに書類を提出することを求めている(*1)ため、事業を開始する予定から逆算して早めに提出しましょう。許認可の最終判断は厚生労働省で行われています。

許認可申請の要件や流れは、以下の記事でより詳しく解説しているので参考にしてください。
人材紹介業の免許を取得する方法は?費用・要件・必要書類などを紹介

*1(参考)厚生労働省「事業許可までのプロセス

人材紹介業に求められるスキル

人材紹介業を行う上では、さまざまなスキルが求められます。資格を取得する以外にも、以下のようなスキルを伸ばすことが有効です。

  • コミュニケーション能力
  • 交渉力
  • 情報収集力
  • 情報管理能力

それぞれ詳しく解説します。

コミュニケーション能力

人材紹介業は、人の労働力や技術力といった無形商材を扱う仕事です。信頼を得なければ成り立たない仕事のため、高いコミュニケーション能力が求められます。具体的には、以下のような情報を引き出すことが重要です。

  • 企業の採用に関する課題やニーズ
  • 求職者のキャリアや希望、活動状況

特に求人者にとっては自らのキャリアを決める重要なやり取りとなるため、積極的にコミュニケーションを図れる担当者である必要があります。人当たりがよく、悩みを相談しやすい人柄が強みとなるでしょう。

人と企業のマッチングという観点では、説得力のある提案ができることも重要です。どのように説明するかを合理的に考えてコミュニケーションを取ることで、業務を円滑に進められます。

交渉力

人材紹介業を始めるには多くの求人を揃える必要があるため、営業力が求められます。たとえ断られても粘り強く交渉を続けて成立させる力が必要です。強引な営業が苦手な場合でも、会話の中からお互いが納得できる落としどころを見つけて交渉するようにしましょう。

人材紹介業で交渉力が求められるのは以下のような場面です。

  • 求人企業に自社との契約をしてもらうとき
  • 求人企業に求職者を紹介するとき
  • 求職者に求人企業を紹介するとき

求人企業と求職者の希望が一致しない場合もあるため、交渉によって両者を納得させることも重要な仕事です。事前に要件をまとめ、分かりやすくプレゼンテーションできるスキルも求められます。

交渉力

人材紹介業を始めるには多くの求人を揃える必要があるため、営業力が求められます。たとえ断られても粘り強く交渉を続けて成立させる力が必要です。強引な営業が苦手な場合でも、会話の中からお互いが納得できる落としどころを見つけて交渉するようにしましょう。

人材紹介業で交渉力が求められるのは以下のような場面です。

  • 求人企業に自社との契約をしてもらうとき
  • 求人企業に求職者を紹介するとき
  • 求職者に求人企業を紹介するとき

求人企業と求職者の希望が一致しない場合もあるため、交渉によって両者を納得させることも重要な仕事です。事前に要件をまとめ、分かりやすくプレゼンテーションできるスキルも求められます。

情報収集力

人材紹介業では企業研究や業界研究が欠かせません。求職者に適切なアドバイスを行うために、常に転職市場や扱う業界の情報を集める必要があります。

例えば、求職者が希望する業界について営業担当者が詳しく知らなければ、紹介する企業の魅力も伝えられないでしょう。求職者からの信頼も失いかねません。

特に事業を始めたばかりの状態では、ひとりの担当者が幅広い業界を担当する必要があります。企業と求職者のニーズや業界のトレンドなどのあらゆる情報を積極的に収集する習慣を身に付けましょう。自分が知らない業界の情報でも興味を持って学べるなど、知的好奇心が旺盛な性格は人材紹介業に向いていると言えます。

情報管理能力

人材紹介業では膨大な個人情報を扱います。求人情報だけでなく求職者の履歴書や職務経歴書といった書類やデータを管理する必要があるため、情報管理能力が求められます。

また、求職者の気持ちは変わりやすいものです。定期的な面談で常に鮮度の高い情報を管理していなければ、企業とのマッチングも難しいでしょう。

人材紹介業に役立つ資格10選

さまざまな資格を取得することで、人材紹介を行う上での説得力となります。ここでは、人材紹介業に役立つ以下の資格について紹介します。

資格運営
キャリアコンサルタント特定非営利活動法人 キャリアコンサルティング協議会
キャリアコンサルティング技能士特定非営利活動法人 キャリアコンサルティング協議会
社会保険労務士全国社会保険労務士会連合会試験センター
中小企業診断士一般社団法人 中小企業診断協会
衛生管理者公益財団法人 安全衛生技術試験協会
CDA資格特定非営利活動法人 日本キャリア開発協会(JCDA)
メンタルヘルス・マネジメント大阪商工会議所、施行商工会議所
個人情報保護士一般財団法人 全日本情報学習振興協会
職業紹介資格公益社団法人 全国民営職業紹介事業協会
人材紹介コンサルタント資格一般社団法人 日本人材紹介業協会

それぞれ詳しく解説します。

キャリアコンサルタント

資格キャリアコンサルタント
運営元特定非営利活動法人 キャリアコンサルティング協議会
試験内容学科試験:四肢択一のマークシート
実技試験:論述と面接(ロールプレイ、口頭試問)
受験費用学科試験:8,900円
実技試験:29,900円
計:38,800円
合格率2022年11月実施の第21回試験結果
学科試験:63.0%
実技試験:54.9%
同時受験者:43.9%(*1)

キャリアコンサルタントは、2016年に国家資格化された資格です。学科試験と実技試験の2つに合格すれば名簿に登録され、キャリアコンサルタントと名乗れます。名称独占の資格のため、他の資格ではキャリアコンサルタントとは名乗れません。

キャリア相談に関する知識やスキルを保証するため、求職者からの信頼を得られるでしょう。

実務経験がない場合でも、厚生労働大臣が認定する講習を修了すれば受験が可能です。

*1(参考)特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「第21回 キャリアコンサルタント試験 試験結果

キャリアコンサルティング技能士

資格キャリアコンサルティング技能士
運営元特定非営利活動法人 キャリアコンサルティング協議会
試験内容学科試験:五肢択一のマークシート
実技試験:論述と面接(ロールプレイ、口頭試問)
試験費用学科試験:8,900円
実技試験:29,900円
計:38,800円
合格率2022年度前期の試験結果(2級)
学科試験:57.40%
実技試験:17.63%(*1)

2021年度後期の試験結果(1級)
学科試験:62.56%
実技試験:9.62%(*2)

キャリアコンサルティング技能士は、キャリアコンサルタントの上位となる資格です。2級と1級があり、それぞれ最低3年と6年の実務経験も必要となるため、より専門的な知識が求められます。

実務経験を積み上げ、よりスキルアップを図りたい方におすすめの資格です。

*1(参考)特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「2022年度 前期 2級(第28回) キャリアコンサルティング技能検定 試験結果
*2(参考)特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「2021年度 後期 1級(第11回) キャリアコンサルティング技能検定 試験結果

社会保険労務士

資格社会保険労務士
運営元全国社会保険労務士会連合会試験センター
試験内容筆記試験(選択式、択一式)
試験費用15,000円
合格率令和4年度試験結果:5.3%(*1)

一般的には社労士と呼ばれている国家資格です。労務のプロとして、社会保険や労働関係法令に関する知識が身に付きます。求職者にアドバイスする際、労務に関する法律の知識に基づいた話ができるため、人材紹介業に役立つでしょう。

試験に関しては、以下のような科目から出題されます。

  • 労働基準法
  • 雇用保険法
  • 労務管理
  • 健康保険法
  • 国民年金法

毎年の合格率も10%以下(*2)となるため、難易度の高い資格と言えるでしょう。

*1(参考)全国社会保険労務士会連合会試験センター「第54回社会保険労務士試験の合格者発表
*2(参考)全国社会保険労務士会連合会試験センター「受験申込者数・受験者数・合格者数の推移(過去10年)

中小企業診断士

資格中小企業診断士
運営元一般社団法人 中小企業診断協会
試験内容第1次試験:筆記
第2次試験:筆記、口述
試験費用第1次試験:14,500円
第2次試験:17,800円
計:32,300円
合格率令和4年度試験結果
第1次試験:28.9%(*1)
第2次試験:18.7%(*2)

中小企業診断士は、一般社団法人中小企業診断協会が実施している国家資格です。中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家となるため、以下のような場面で人材紹介業に役立ちます。

  • 企業の採用活動に関するアドバイスをするとき
  • 企業の課題解決に向けて必要な人材を紹介するとき

2次試験合格後に15日以上の実務補習もしくは実務従事を行うことで、中小企業診断士として登録されます。また、1次試験合格後に中小企業基盤整備機構か登録養成機関が実施する養成課程を修了することでも資格を得られます。

*1(参考)一般社団法人中小企業診断協会「令和4年度中小企業診断士第1次試験に関する統計資料
*2(参考)一般社団法人中小企業診断協会「令和4年度中小企業診断士第2次試験に関する統計資料

衛生管理者

資格衛生管理者
運営元公益財団法人 安全衛生技術試験協会
試験内容第一種・第二種ともに筆記試験
試験費用6,800円
ただし、令和5年4月1日以降は8,800円となる(*1)
合格率令和3年度統計
第一種衛生管理者:42.7%
第二種衛生管理者:49.7%(*2)

衛生管理者は、労働安全衛生法によって定められている国家資格です。労働災害や労働者の健康管理に関する知識を身に付けられます。人材紹介業においては、求職者が衛生面や健康面で安心して働ける職場の提案に役立つでしょう。

資格は第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の2種類に分けられています。第一種の方が全業種に対応しており、難易度の高い資格です。どちらも最終学歴(卒業区分)と労働衛生の実務経験年数によって受験資格が定められています。

*1(参考)公益財団法人安全衛生技術試験協会「試験手数料
*2(参考)公益財団法人安全衛生技術試験協会「統計

CDA資格

資格CDA資格
運営元特定非営利活動法人 日本キャリア開発協会(JCDA)

CDAはCareer Development Adviserの略であり、日本キャリア開発協会(JCDA)が認定しているキャリアカウンセラー資格です。CDA養成カリキュラムを受講し、キャリアコンサルタントやキャリアコンサルティング技能士に合格することで登録・入会ができます。

CDA会員になるには、入会金5,000円と年会費7,000円がかかります(*1)。日本キャリア開発協会のサポートにより、交流や学習・実践の場が与えられるため、スキルアップにつながり、求職者との相談業務に役立つでしょう。

*1(参考)特定非営利活動法人日本キャリア開発協会(JCDA)「入会のご案内

メンタルヘルス・マネジメント検定

資格メンタルヘルス・マネジメント検定
運営元大阪商工会議所、施行商工会議所
試験内容筆記試験
試験費用Ⅰ種:11,550円(税込)
Ⅱ種:7,480円(税込)
Ⅲ種:5,280円(税込)
合格率2022年11月実施の第33回試験結果
Ⅰ種:17.6%
Ⅱ種:58.2%
Ⅲ種:69.4%(*1)

メンタルヘルス・マネジメント検定には3つのコースがあります。

  • Ⅰ種(マスターコース)
  • Ⅱ種(ラインケアコース)
  • Ⅲ種(セルフケアコース)

Ⅲ種は自身のメンタルヘルス対策が目的のため、人材紹介業では管理者や経営者向けのⅡ種やⅢ種を目指すとよいでしょう。

最近では心の健康管理が重要視されているため、多くの企業が注目している資格でもあります。メンタルヘルスに関する知識や対処方法を習得できるため、求職者の悩みに対するアドバイスに説得力が増すでしょう。また、メンタルヘルス対策に取り組んでいる企業の求人紹介など、求職者に寄り添った相談業務にも役立ちます。

*1(参考)大阪商工会議所、施行商工会議所「結果・受験者データ

個人情報保護士

資格個人情報保護士
運営元一般財団法人 全日本情報学習振興協会
試験内容筆記試験(オンライン受験も可能)
試験費用11,000円(税込)
合格率過去の平均:37.3%(*1)

個人情報保護士は、個人情報を適切に管理する専門家として認められる資格です。人材紹介業は求人企業と求職者の膨大な個人情報を取り扱うため、資格を取得することで信頼を得やすいでしょう。

3月・6月・9月・12月と、年に4回試験が実施されています。インターネットによる試験システムも導入されているため、オンライン受験も可能です。

*1(参考)一般財団法人 全日本情報学習振興協会「合格率

職業紹介士資格

資格職業紹介士資格
運営元公益社団法人 全国民営職業紹介事業協会
試験内容学科試験(筆記)と実技試験
試験費用会員:62,000円(税込)
非会員:81,000円(税込)
(*1)


運営元である公益社団法人 全国民営職業紹介事業協会は、人材紹介の免許取得に必要な職業紹介事業者講習も行っています。

原則として、職業紹介責任者の経験が1年以上あるか、職業紹介従事者としての職業経験が通算3年以上あることが受験資格となっています。また、試験前には通信教育と集合教育の2つの研修を受講する必要があります。

さまざまな研修を通して、規則や実践スキルが身に付きます。職業紹介の専門家としてふさわしい知識とスキルを証明できるため、人材紹介業に役立つでしょう。

*1(参照)公益社団法人 全国民営職業紹介事業協会「職業紹介士資格認定試験

人材紹介コンサルタント資格

資格人材紹介コンサルタント資格
運営元一般社団法人 日本人材紹介業協会
試験内容正誤問題・択一問題・記述問題・論述問題
試験費用会員:10,800円(税込)
非会員:16,200円(税込)
(*1)

人材紹介コンサルタント資格は、求人企業や求職者から信頼されるコンサルタントを輩出することが目的の資格です。講習や試験を通して、顧客から信頼を得られるだけの知識や能力を身に付けられるでしょう。

「職業紹介責任者講習」「職業紹介従事者講習」「アドバンスゼミ」と3つの講習を受講し、講座の内容から出題される試験に合格する必要があります。

試験に合格し、資格認定登録料を支払うことで認定証が交付されます。資格認定登録料は会員が5,400円、非会員が8,600円(いずれも税込)です。

*1(参照)一般社団法人 日本人材紹介業協会「コンサルタントの資格制度とは

資格を取得して人材紹介業を成功させよう!

人材紹介業を行うにあたっては必須の資格(許認可)があるのに加え、取得しておくと有利になる資格もあります。資格は知識や経験の客観的な証明となるため、1つでも取得することで大きなアドバンテージとなるでしょう。

特徴や難易度を比較し、資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。


【無料】人材紹介事業者向けセミナーのアーカイブ配信

現在、人材紹介事業を行っている方はもちろん、
人材紹介事業の起業を検討中の方向けの動画もご用意しております。
求職者集客から求人開拓まで、幅広いテーマを揃えていますので、お気軽にご視聴ください!
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
視聴料 :無料
視聴手順:
①下記ボタンをクリック
②気になるセミナー動画を選ぶ
③リンク先にて、動画視聴お申込みフォームにご登録
④アーカイブ配信視聴用URLをメールにてご送付
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –