人材紹介会社はマーケティングにどう取り組むべき?基本の3ステップ

人材紹介会社のマーケティングの取り組み方

「マーケティングに取り組むべきなんだろうけど、具体的にどうやるのかイメージがつかない」

そんな声を聞くことがあります。

確かに、“マーケティング”という言葉は漠然としています。そのうえ、さまざまな角度からの情報があふれ、いよいよ何をすべきか見えにくいといえるでしょう。

そこで本記事では、人材紹介会社はどこからマーケティングに着手すべきか、実践的なヒントをお届けします。

人材紹介会社にとってマーケティングが重要な理由

マーケティングに取り組む前に、

「そもそも人材紹介会社は、なぜマーケティングに取り組むべきなのか?」

という理由について、お話しておきましょう。

何のためにアクションするのか理解して着手したほうが、有意義な取り組みができるためです。

“製品・サービス自体”の差がつきにくい商材はマーケティングで差がつく

まず押さえておきたいポイントが、

「“製品・サービス自体”の差がつきにくい商材はマーケティングで差がつく」

という視点です。

顧客の立場から見て、

「どの会社の製品・サービスも、似たようなもので、あまり違いがわからない」

と映りやすい商材ほど、マーケティング力が重要になります。

もし、製品それ自体が持つ機能や品質に明らかな差異があれば、意図的なマーケティング施策をしなくても、製品力だけで製品が売れることはあります。

しかし、そうでない商材は、マーケティングによって差をつけなければなりません。

人材紹介サービスは差がつきにくいタイプの商材

人材紹介サービスは、“サービス自体”で差をつけにくい典型的な商材といえます。

……と聞くと、こんな反論があるかもしれません。

「いや、うちの会社は、競合他社よりも丁寧にヒアリングし、精度の高いマッチングを実現しています」

しかし重要なのは、サービスを提供する紹介会社側から見た視点ではなく、“顧客の立場から見てどう映るか?”なのです。

顧客である求人企業から見ると、人材紹介サービスは、会社ごとの差違が非常にわかりにくいサービスといえます。

実際、「どこの人材紹介会社も同じように見えて、どこに頼んでも同じに思える。決め手がない」と、人材紹介会社選びに悩む求人企業が多いのが現状です。

顧客から“どんぐりの背比べ”に見える状態から抜け出すために、何をすれば良いでしょうか。その答えが、マーケティングなのです。

“サービス自体”の差違が伝わりにくい商材だからこそ、マーケティングの力を使って差をつける必要があります。

人材紹介会社のマーケティング 基本の3ステップ

人材紹介会社にマーケティングは不可欠なことがわかりました。では具体的に何をすべきでしょうか。

マーケティングの本を開くと、4P、3C分析、SWOT分析、AIDMA……とさまざまな用語が飛び交っていて、難しそうに感じるかもしれません。

そこで、ここでは実用的な1つの手法に絞ってご紹介します。

小規模や新規参入の人材紹介会社が、ファーストステップとして取り組むのにおすすめな「STP」です。

Segmentation・Targeting・Positioningの頭文字を取ったフレームワークです。

STPは、狙いを絞って資源を集中させる“選択と集中”のマーケティング手法です。経営資源に限りのある中小企業にとって、有益な戦略になります。

▼ STPの3ステップ

ステップ1:セグメンテーション(市場を分ける)
ステップ2:ターゲティング(狙いを定める)
ステップ3:ポジショニング(位置づけを決める)

それぞれ見ていきましょう。

ステップ1:セグメンテーション(市場を分ける)

STPの1つめのステップは「セグメンテーション」です。

セグメンテーションは直訳すれば「分割」ですが、何を分割するのかといえば「市場」です。「セグメンテーション=市場細分化」と訳されます。

“市場細分化”という言葉ではイメージしづらければ、「市場=顧客の集合体」と置き換えて考えましょう。

つまりセグメンテーションとは「顧客を分ける」ことです。

人材紹介会社の顧客である求人企業を、さまざまな属性で区切ってセグメント(区分)に分けていきましょう。

属性の切り口としては、企業規模、地域、業界、求める人材の種類、その他の特性が挙げられます。

この時点では、求人企業を網羅的に把握できるよう、“求人企業市場の全体像”を作るつもりで取り組んでみてください。

ステップ2:ターゲティング(狙いを定める)

STPの2つめのステップは「ターゲティング」です。

ステップ1で作成したセグメンテーションを見ながら、“どのセグメントに狙いを定めるか”を決めます。

これは同時に、“狙いを定めたセグメント以外は、自社の顧客ターゲットとしないと決める”という意味でもあります。

「ターゲットと決めたセグメントだけ」に戦力を集中させることで、限られた経営資源(資金や人的リソース)を効率的に活用できるのです。

ここで決めるターゲットは「勝負をかける」セグメントといえます。さまざまな要素の兼ね合いを考えながら、自社にとってベストなセグメントを熟考することが大切です。

▼ 考えるべき要素

・売上規模
・収益性
・成長性
・競争優位性
・自社の強み
・競合他社の状況 など

ステップ3:ポジショニング(位置づけを決める)

STPの3つめのステップは「ポジショニング」です。

ポジショニングとは“位置づけを決めること”ですが、何の位置づけかといえば「顧客の心の中」での位置づけです。

言い換えれば、顧客である求人企業の社長や担当者に、

「どんな人材紹介会社として認識してもらいたいか?」

を決めることが、ポジショニングです。

▼ ポジショニングの例

・従業員数20名以下の企業に強い人材紹介会社
・**県**市の企業に特化した人材紹介会社
・Webデザイナー限定の人材紹介会社
・安くて早い人材紹介会社
・役員経験者しか紹介しない人材紹介会社

ポジショニングを決めるときには、「他社と差別化された、自社独自のポジション」を取ることを意識しなければなりません。

なぜなら、競合他社とポジションがかぶれば、顧客の奪い合いになるからです。

知名度や実績などが競合他社より形勢不利な企業ほど、他社と重複しないポジションを取る必要があります。

差別化された独自のポジションを探し当てるためには、以下の問いを深く考え思考することが役立つでしょう。

▼ ポジショニングを決めるヒント

・ターゲットとなる求人企業はどんなニーズを持っているのか?
 特に、表に出ていない隠されたニーズ(潜在ニーズ)は何か?
・自社は持っていて、競合他社は持っていない強みは何か?

さいごに

本記事では人材紹介会社のマーケティングに取り組むうえで「軸」となる基本の3ステップを、STPのフレームワークに沿ってご紹介しました。

まずは手を動かして、実際に作ってみることが大切です。最初は不完全で構いません。

実際に自分で作ってみることで、新たな発見や視点が得られます。これからマーケティングに取り組んでいく大きな一歩となるでしょう。

STPを作るための材料として有益なフレームワークに「3C分析」や「SWOT分析」があります。設定したSTPを実行するうえで役立つのは「4P」「4C」の考え方です。

STPを考えながら、ほかの手法も学んで活用してみましょう。

STPを足がかりにマーケティングを味方につければ、目指す人材紹介会社を実現する一助となるはずです。


【無料】人材紹介事業者向けセミナーのアーカイブ配信

現在、人材紹介事業を行っている方はもちろん、
人材紹介事業の起業を検討中の方向けの動画もご用意しております。
求職者集客から求人開拓まで、幅広いテーマを揃えていますので、お気軽にご視聴ください!
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
視聴料 :無料
視聴手順:
①下記ボタンをクリック
②気になるセミナー動画を選ぶ
③リンク先にて、動画視聴お申込みフォームにご登録
④アーカイブ配信視聴用URLをメールにてご送付
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –


【著者】三島 つむぎ

ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。