コロナ禍でメールコミュニケーションが重要に マナーは?書き方の見本はある?

新型コロナウイルス感染症対策や時間効率、経費の面から、在宅勤務を含め、テレワークが広がりを見せました。

同時に、顔が見えないコミュニケーションを取る機会が増加し、約6割の労働者がビデオや音声での会話や、メール、チャットなど文字によるコミュニケーションの機会が増えたと回答しています。*1

では、メールコミュニケーションで仕事を進める上では、どのようなことに気をつける必要があるのでしょうか。
仕事を円滑に進めるためのポイントについて、今回は見ていきましょう。

メールコミュニケーションの重要性

新型コロナウイルス感染症の流行によって、顔を合わせた商談の機会が少なくなりました。
その一方で、ビジネスメールを送る機会は増加しています。

「ビジネスメール実態調査2021」によると、約半数の人が新型コロナウイルスを境にメールの利用が増えたと感じているようです。*2

また、コロナ禍を境に、ビジネスメールのスキルアップが重要だと感じる人は、「よくある」「たまにある」を合わせると53.44%に上りました。

コロナ禍では、来客は歓迎されません。
さらにテレワークの広がりで、相手が出社していないことも多くなり、営業電話よりもメッセージ主体の営業活動が増えたと考えられます。

ビジネスメールを使いこなし、相手に分かりやすく伝えたり、その企業に即したメッセージを送れたりする人は、効率良く仕事を進めることができるでしょう。

つまりビジネスにおいて、メールコミュニケーションの重要性が高まる条件が揃っているのです。

メールコミュニケーションのポイント

ビジネスでメールを使えば、情報共有が確実になり、仕事の効率がよくなります。
しかしメールは、誤解やトラブルを招きやすいツールでもあります。
メールで円滑に仕事を進めるために、以下のポイントを意識しておきましょう。

・内容を簡潔にわかりやすくする
・件名を具体的にする
・クッション言葉を使う
・肯定的な表現を使う
・気持ちは具体的に伝える

内容を簡潔にわかりやすくする

メール本文は、「内容を簡潔にわかりやすくする」ことが大切です。
伝えるべき内容を箇条書きでまとめ、簡潔に伝えるように意識してみてください。

また、PREP法を使用するのもおすすめです。

PREP法とは、結論(Point)、理由(Reason)、具体例(Example)、再度結論(Point)という文章構成スタイルのことです。

このような文章構成でメールを作成すると、シンプルで読みやすく、説得力のある内容になります。

件名を具体的にする

件名を具体的にすることで、受信者にメールの内容を伝えましょう。

内容の重要度がわかる書き方をしておけば、他のメールに埋もれ、見落とされる可能性を下げることができます。

<例>

  • 【重要】○月×日の打ち合わせのスケジュール変更のご案内
  • 【お願い】××の資料送付について
  • 【お詫び】○○の発注書について
  • 【御礼】昨日の打ち合わせについて
  • 【ご挨拶】○○株式会社××です

件名が空白になっていると、スパムメールとして見落とされる可能性があります。

クッション言葉を使う

「クッション言葉」とは、クッションのように言葉の衝撃を和らげるための言葉です。

頭につけることで、次に続く言い回しに気配りを感じさせることができます。

<例>今日中にメールの返信が欲しい場合
クッション言葉なし:「本日中にご返信ください」
クッション言葉あり:「お忙しいところ誠に恐縮ですが、本日中にご返信いただけましたら幸いです」

肯定的な表現を使う

メールでは、できるだけ肯定的な言葉を使うように意識しましょう。

否定的なことを伝える場合でも、肯定的な表現を使うことで前向きに捉えてもらえます。*3

<例>
「1週間ではできません」→「2週間いただければ可能です」
「印鑑がないとお手続きできません」→「印鑑があるとお手続きできます」

ただし、注意喚起の際は否定表現を使用するのがおすすめです。
否定表現の方が印象に残りやすくなります。

気持ちは具体的に伝える

気持ちは具体的に伝える工夫をしましょう。

相手の表情や声の調子がわかる対面や電話と違い、メールには副次的な要素がないため相手の感情を読み取ることができません。
どれだけ気持ちを込めて感謝を伝えたとしても、その気持ちは相手に伝わらないのです。

書き手の気持ちを伝えるためには、より具体的に書くことが大切です。

<例>
資料の作成ありがとうございます。
とても分かりやすくまとまっていました。
これなら初めてのお客さまでもイメージしやすいですね。

迅速にご対応いただきありがとうございます。
おかげでプレゼンの予行演習もできそうです。
本当に助かりました。

(引用)マイナビニュース「ビジネスメールで簡潔さだけを追求してはいけない

メールコミュニケーションの注意点

簡潔で分かりやすいメールは、受信者にも好まれます。
しかし単調すぎるメールは、あなたの印象を落とす可能性がありますので注意が必要です。*4

用件だけの短いメールが習慣化している人は、得てして毎回同じ文面になりがちです。
業務連絡のみの短いメールのやり取りでは、相手の心が離れていってしまうかもしれません。

ビジネスメールは、相手とコミュニケーションを取ることの役割を担っていることも忘れないようにしましょう。

ビジネスチャットの利用も検討を

近年では、ビジネスチャットツールを導入する企業が増えています。*5

ビジネスチャットを導入することで、プロジェクトの推進やチームマネジメントでの業務効率の改善が期待されています。

株式会社サイバーエージェントの事例

【導入以前の課題】
・一般的なソーシャルサービス利用によるシャドーIT問題
・メール使用による顧客とのコミュニケーションでの非効率さ

【解決策】
・役員を巻き込んだ全社導入
・業務プロセスをチャットに流すように変更
・顧客とのやり取りをメールからチャットワークに切り替え

【導入後の効果】
・セキュリティに厳しい大企業とのリアルタイムなやり取り
・事業本部全体で1か月あたり2万5千時間以上の業務効率化
・顧客を中心とした子会社、関連会社などグループ全体でのプロジェクト推進

(引用)総務省「働き方改革×チャットツールのビジネス活用

上記の事例では、導入以前の課題に対し、ビジネスチャットツールを導入することで、社内外におけるコミュニケーションスピードの向上や、ツールを前提とした業務プロセス刷新による業務効率化などの成果が得られています。*6

また、オンライン上でリアルタイムの会話を行うチャットは、テレワーク中のコミュニケーション不足を解消するツールとしても注目を集めています。

グループチャットの機能を使えば複数人でのやり取りも簡単にでき、従業員同士のコミュニケーションを活性化させることができるでしょう。

まとめ

電話、メール、ビジネスチャットと、時代とともにコミュニケーションツールが変わっても、画面の向こう側の人とコミュニケーションをしているという事実は変わりません。

「内容を簡潔にわかりやすくする」ことはビジネスにおいて非常に大切ですが、「感情や気持ちなどを伝えられる」ことが人間関係の構築につながっていきます。

気持ちの良いコミュニケーションを心がけていきましょう。


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【エビデンス】
*1 厚生労働省「テレワークにおけるコミュニケーションの変化
*2 NIKKEI STYLE「伝わるビジネスメール コロナ下、デキる人になるコツ
*3 CANVAS「クッション言葉・肯定表現・依頼系などの優しい言葉遣い3つのポイント
*4 マイナビニュース「ビジネスメールで簡潔さだけを追求してはいけない
*5 Biz Clip「企業のビジネスチャット利用実態調査2021
*6 総務省「働き方改革×チャットツールのビジネス活用


【著者】髙橋めぐみ
求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供するプライム市場上場企業(元 東証1部)に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在はこれまでの経験を活かし、人材や教育に関する記事を中心にフリーライターとして活動中。