内定承諾率94%!第二新卒を中心に圧倒的支持を得るエージェントの仕事ぶり


内定承諾率94%を誇る、店舗流通ネット株式会社の松林 祐輝氏。求職者の思いに叶った転職先が提案され、エージェントと求職者が一体となって内定獲得を成し得ている証といえる。

「人の思いを叶えたいという気持ちが人一倍強い」と話す松林氏は、どんなエージェントスタイルで、求職者の信頼を勝ち得ているのだろうか。

自身のキャリアの転機から、情報収集法、求職者との向き合い方、これからの転職エージェント像まで、多岐に渡るテーマで話を伺った。

ターゲット層:第二新卒〜20代後半
平均進捗対応者数:約8名
内定承諾率:94%

鮮度の高い情報収集法

―第二新卒や20代の転職支援に強みをお持ちです。
エージェントになって以来、第二新卒等の若手を中心に支援されているのですか。

松林

いえ、第二新卒の皆さんを本格的に支援し始めたのは、エージェント歴10年目に入ってからですね。それまでは、実はハイクラス層の人材紹介がメインでした。

―今とは真逆だったのですね。何かきっかけがあったのですか?

松林

ある時、求職者の方から息子さんのご紹介を受けたのですね。息子さんが新卒で入社した企業をわずか半年で退職され、「本人が悩んでいるので相談に乗ってほしい」と。

息子さんに早速お会いしたところ、自分に何が向いているのか、何をすればいいのかを見失っているご様子でした。そこで私は、本人がどうありたいのかを一緒に見つめ直すことから寄り添っていったんです。

キャリアの入口で迷う若年層のために自分の知識とノウハウを注ぎ込み、課題解決を図っていくこと。そのやりがいに気づく出会いになりました。

―得意とするのは人材・IT業界の営業職。いわゆる無形商材ですね。

松林

自分でお客様の課題を捉え、解決策を導き出し、課題解決をもたらす。そうした無形商材の営業職を経験すれば、どこに出ても重宝される提案力や課題解決力を鍛えることができ、先々のキャリアアップにつなげやすくなるからです。

そのため、第二新卒の方々が2社目で無形商材の営業職にチャレンジすることは、先々のキャリアを見据えるととても意義があると思っています。

―日頃から意識して続けていることはありますか。

松林

これまで転職を支援してきた方々とこまめに連絡を取ることです。少なくとも毎日5人と話をしていますね。私から就業先での近況を聞くこともあれば、「テレアポがうまくいかないんです」と相談されることもあります。

就業を決めれば終わりではなく、つながりを大切にし、就業後も私にできることがあればサポートを惜しまないというのが、私のスタンスだからです。
しかも、そうしたやりとりの中で、職場の状況や新しいサービスの動きなど、“鮮度の高い情報”にも触れられ、新たな求職者の方々の支援にも活かすことができます。

―毎日続けていると、相当な情報量になりそうですね。それ以外ではどのように情報収集を行っていますか。

松林

人づて以外でも、できるだけ鮮度の高い情報を収集するために、企業から直接発信される一次情報に接触するようにしています。

例えば、得意先企業が開設している動画配信サイトの公式チャンネルは毎日のようにチェックしています。そこにアップされる社員の方々のインタビュー動画は、仕事内容ややりがい、職場の理解を深めるための参考になります。

そのほか、企業のホームページにアップされるニュースリリースや、人事の方々が更新するブログなどは欠かさず目を通しています。例えば新拠点オープンのお知らせがあれば、そこには人材ニーズが必ずあるわけですから、チャンスを逃さずアプローチしています

スカウトメールの活用法

―スカウトメールについては、どう活用されていますか。

松林

むやみに数を送ることはしていません。
求職者の皆さんの年齢や経験職種、経験社数、希望職種・業界、自己PRなどを拝読したうえで、私の得意・強みとする領域と照らしあわせ、「私ならこの人の力になれる」と感じた人に対して送るようにしています。

―スカウトメールの内容については、何か工夫はありますか。

松林

一人ひとりにあわせて個別に文面を考えて送るようにしています。
「私はあなたに対してこういう点で力になれます」「退職理由がこういうことなら、私にできることがあります」というように、ファーストアプローチの段階からどうお力になれるのかをお伝えしていますので、求職者の方々から早々に具体的なご相談をいただくケースが多いですね。

―求職者から返信・相談を受け、対応で気をつけていることはありますか。

松林

求職者からメールやLINEをいただいたなら、できるだけ受信後1分以内に返信することを意識して対応しています。
返信を待つ時間が長ければ長いほど、求職者の不安が募っていくからです。逆にいつも即レスで応じてくれるという安心感があれば、どんなことでも相談してもらいやすくなり、信頼関係にもつながっていきます。

―そうした “きめ細やかさ” は、何においても心掛けているのですか。

松林

そうしています。私が常々大切にしているのは、「手を抜かない」ということです。
忙しいと、「求人票を送るのは明日でいいかな」と考えてしまいかねませんが、求職者からすると1日でも早く求人票を見たいはずです。
だから私は何事も後回しにせず、求職者のためにやれることは全てやろうと考えています。つまり、「求職者ファースト」で考え、動くというのが、私の考え方です。

―ご自身のスケジュール管理がとても大変そうに思いますが。

松林

1日の稼働時間を8時間として、面談や面接同行、書類作成などの予定で埋めるのは7割までと決めています。残りの3割は、フレキシブルに動けるようにあえて空けておくようにしています。毎日必ず予期せぬことが起こり得るからです。
例えば、来週に最終面接を控えた求職者から急きょ相談に乗ってほしいとメッセージが届いたり、スカウトメールからの面談希望が当日入ってきたり。残り3割の時間をそうした場合の対応に充てることで、1日8時間をバランスよく活用できています。

求職者に対する関わり方

―求職者とはどのように向き合っていらっしゃいますか。

松林

本気で転職について考え、本気でこうなりたいと思っている人に対して、その支援者として本気で向き合う。これが私のモットーです。

―求職者の本気度はどのように見極めるのですか。

松林

見極めるというより、「面談で引き出す」という感じです。

求職者の皆さんは、勤務先に不満があって転職を考えていることが多く、後ろ向きからのスタートが目立ちます。しかし、面談でキャリアや将来について話を進めていくうちに、前向きに、真剣に考え始めてくれて、「10年後にこうなっていたいので、この会社に入りたい」と本気の思いをぶつけてくれます。それに対して、私も本気で支援するということです。

私は第二新卒の方々から見て、約20年長くキャリアを重ねているので、その経験をもとに、「今のままだと10年後にこうなってしまうよ」「ここで経験とスキルを磨けば、こんなチャンスを掴めるよ」と、10年後、20年後を見せてあげるようにしています。それが、本気になっていただくきっかけになることが多いですね。

―第二新卒ならではの関わり方かもしれません。

松林

そう思います。第二新卒の方々は、企業からポテンシャルや将来性に期待されているため、未経験からでもチャレンジできる切符を持っています。つまり、キャリアアドバイザーとして、求職者の皆さんにご提示できる選択肢が多いといえます。

その一方で、やはり転職活動は大変。心が折れそうになる事態に直面することだってあります。最後までやり遂げるためには、「自分はこうなりたいんだ」という強い意志を持つことが必要になりますので、最初の段階からいかに本気を引き出せるかがポイントになります。

―強い意志を持った方に対して、具体的にはどう支援されるのですか。

松林

まず、本人自身も気づいていない強みを一緒に見つけていくことが第一歩です。

例えば、空港のインフォメーションカウンターでグランドスタッフを務めていた方。
お客様との一期一会の出会いももちろん魅力的ではあるけど、もっとじっくりと一人ひとりに寄り添いたい。そこで、キャリアを長い目で支援し、信頼関係を築けるキャリアアドバイザーになりたい。そういうご相談をいただきました。

―明確な意志をお持ちだったのですね。

松林

はい。しかし、その志望理由だけでは弱いですよね。営業経験のない人がキャリアアドバイザーになるのは、第二新卒といっても難しいですから。

しかし、よくよく話を伺うと、その方は前職でお客様対応のマニュアルを自分なりにインデックス化し、誰もが確認したい情報をすぐに引き出せるように作り替えたそうです。
さらに、自身の発案からチーム8名で定期的にミーティングを開き、お客様によく聞かれる質問をそれぞれ出しあって共有するという取り組みをスタートさせたと聞きました。

お客様に対して迅速に、的確に対応し、満足度を高めるために何ができるかを考え、周囲を巻き込んで実践してきたということです。
これは、本人はあまり意識してこなかったと言うものの、キャリアアドバイザーの求職者支援にも必ず活きる素養です。求職者と信頼関係を築くうえでも強みになりますから、どんどん話を掘り下げて引き出していきました。

結果、本人のアピールポイントが明確になり、第一志望の企業でキャリアアドバイザーとしてのキャリアをスタートしていただくことができました。

選考フォローのポイント

―書類・面接対策においてポイントとされていることは?

松林

軸となるのは、企業側のニーズに応えるということです。
中途採用では、企業の求める人物像が明確に定まっています。例えば、「数字をひたむきに追える人」を求めている企業に対して、本人のどんな経験や強みを書類や面接でアピールすれば、その要素に合致していることが伝わるのかを考えます。ここが基本になります。

また、面接でいえば、私は1冊の小説と同じだと思っています。

―といいますと?

松林

「私にはこんな強みがあり、御社に貢献できる」という“オチ”を伝えるだけでは、なかなか信ぴょう性は生まれません。
大事なのは、その背景にあるその人の思いが滲んだストーリー。そういう意味で小説のようなものだと思うのです。

―どのようにストーリーを見いだしていくのですか。

松林

第二新卒の方々の場合、大学を選んだ理由や学生時代の経験までさかのぼり、なぜ新卒で1社目の会社を選んだのか、そこでどんな経験をしてきたのか、なぜその会社を辞めるのか、丹念にヒアリングしていきます。
そうすると、一見すると関連性のない経歴であっても、その人ならではの思いで結びつき、ストーリーが見えてくるものなのです。
そのストーリーをふまえて、企業側の求める人物像に合うように、エッセンスをまとめていくというイメージです。

―本人にとっても新鮮なやりとりになりそうですね。

松林

「あの時の自分はこう考えて、だから今があるんだ」と、改めて気づく人が多いですね。

書類・面接対策で重要なのは、自分を振り返り、ふだん意識してこなかった思いや言動の奥底にも気づいてもらうこと。そして、それを言語化すること。
「一生懸命頑張ってきた」というだけでなく、「なぜ」「どのように」を掘り下げていくと、「そうだったんだ」と気づいてくれるようになります。

―その他、選考~内定のフォローで重視していることはありますか。

松林

求職者の皆さんが複数の企業に応募した際、公平に比較検討できる状況を作るようにしています。
内定や内定承諾のタイミングが企業ごとにずれてしまうと、求職者は先に内定が出た企業に決めるか、もしくは辞退して別の会社の結果を待つか、判断に迷いが生じてしまいます。結果として選択に後悔の念が残ってしまいかねません。
そうした事態を避けるために、内定のタイミングができるだけ揃うように調整しています。

―難しい調整のように思いますが。

松林

かなり難しいというのが正直なところです。面接の合否を即日出してくれる企業もあれば、2~3日かかる企業もあります。オファー面談をいつ組めるのかについても、企業ごとにバラツキが生じてしまいます。

そうしたなかでできるだけ足並みを揃えるには、まずは各社の採用フローの情報について、「この会社は選考スピードが速くなっている」「この会社は内定承諾を2週間待ってくれる」など、こまめに収集しておくことが大事です。
私の場合、担当する求職者の皆さんが毎日、のべ20~30社の選考に臨まれているので、選考の情報もリアルタイムで得やすく、それらを参考にしながら調整しています。

―人事担当と日程について交渉することも?

松林

もちろんあります。例えば、内定承諾の期日が1週間という企業に対して、2週間お待ちいただけるように交渉することもあります。
その場合、日頃からお願いしやすい関係性を人事担当と築いておくこともポイントです。

―そのコツは?

松林

企業から評価の高い求職者を推薦できた際には、ここぞとばかりに普段聞けないことを聞いたり、お願いごとをしたりしています。
ただ、関係づくりは日頃の積み重ねですから、普段から積極的に人事担当とコンタクトを取り、ニーズにお応えできるように力を注ぐことが大事だと思います。

転職エージェントの未来とメッセージ

―あらためて、転職エージェントとはどんな存在なのでしょうか。

松林

求職者にとって、家族以上に本音で向き合う存在だと思っています。
家族や友人に転職について相談するとしても、つい自分をよく見せようと考え、職場で何があったのか、仕事の何が嫌だったのかを打ち明けることに抵抗があると思います。
しかし、転職エージェントには何事も隠さず話してくださいます。むしろそうでないと、転職後も同じことを繰り返してしまいかねませんから。
家族でも友人でもない、第三者だからこそ、フラットに本音をぶつけてもらえるのかなと思います。

―松林さんも、求職者に本音で向き合う?

松林

はい。褒めるときは褒めますし、変えるべきことがあれば率直に指摘します。自分の意見をストレートにお伝えするのは、求職者の皆さんに転職を成功させてほしいからです。
だから、「こんなに真剣に向き合ってくれる人は今までいなかった」と言っていただける機会が多いですね。

―今後の転職市場と転職エージェントのあり方については、どのように予見していらっしゃいますか。

松林

「マーケティング経験2年以上」とか、「総務経験3年以上」というように、経験要件のみで応募条件を設定することに無理が生じてくると見ています。

コロナ禍以降、新卒採用枠が縮小され、その間の新卒入社の皆さんは、志望企業を受けるチャンスさえなかったり、やりたい仕事に就けなかったりした人が少なからずいます。
そのなかには、チャンスがあれば、転職によってやりたかった職種にチャレンジしたいと考えている人も多いはずです。

しかし、単純に経験要件のみで応募を絞り込んでしまうと、そうした層は該当しなくなり、いい人材が集まりにくくなってしまうのではないかと思います。

―転職エージェントの役割も変わってきますか。

松林

そう思います。経験・スキル要件だけで機械的に判断するのではなく、求職者のことをより深く理解し、なおかつ企業の事業や仕事、人について熟知したうえで、双方を的確につなぎあわせる転職エージェントがますます必要になります。
そうした役割を担うためには、得意とする業界を深く掘り下げることが求められます。

―業界特化型にシフトすると。その進め方はどうすればいいでしょうか。

松林

まずは自分の興味がある業界、そしてある程度需要がありそうな業界について知識を深めていくとよいと思いますよ。
この業界の人気企業はどこなのだろう、その企業を志望する求職者は他にどんな企業を受けているのだろうと、求職者目線から業界・企業や求人の動向について調べていくと、入りやすいと思います。

―ありがとうございます。では最後に、記事をお読みいただいた転職エージェントの方々に、メッセージをお願いします。

松林

転職活動で一番つらい思いをするのは、求職者本人に他なりません。いわば人生を変えるほどの決断をするのですから、悩みや苦労が尽きないはずです。
そうした重要な岐路において、誰よりも頼りにしていただけるのが私たち転職エージェントです。

ですから、私たちは求職者の方々以上に労を惜しまず、やれること全てに全力を尽くさないといけないと思っています。

転職エージェントの仕事は、自分の思い通りにいかないことも多々あります。でも、「この人のために」という気持ちで臨み続ければ、必ず信頼が生まれ、その人の人生のお力になり得ると信じています。

そうした素晴らしい仕事に、誠心誠意を注いでいきましょう!


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【インタビュアー】鶴岡 和也

求人メディア、採用サイト、コーポレートサイトなどを中心に取材・執筆するフリーライター。年間150〜200の企業・人を取材。趣味と実益を兼ねて旅行関連にも携わり、「地球の歩き方」シリーズのラオス/ミャンマー/京都、デジタルマガジン「MAZDA STORIES」などで執筆。現在は育児に奮闘中。