優秀な人材の獲得によって次のステップへ成長を遂げようとしている企業にとって、転職エージェントの存在は重要な意味を持ちます。
実際、筆者は成長過程にある企業の管理職として、転職エージェントから紹介された人材の面接・選考を担当してきました。
本稿では、そんな日々のなかで気付いた4つのことをお伝えしたいと思います。
目次
何度も依頼したくなる転職エージェントとは?
まず、求人企業から見て「どんな転職エージェントなら、何度もまた依頼したいと思うか?」について、お話していきましょう。
“条件の合致以上”を提供してくれる会社
“何度も依頼したい転職エージェント”を一言で表現するなら、「“条件の合致以上”を提供してくれる会社」といえます。
長くお付き合いできる人材紹介会社とそうでない会社が分かれるポイントです。
経験やスキルが求める条件にマッチしているだけではなく、
「あ〜、この人は、いかにもウチに合いそうだね!」
と言いたくなる人物と引き合わせてくれる転職エージェントは、企業にとって非常にありがたいものです。
「ウチっぽい/ウチっぽくない」という、一見主観的にも思える基準にバチッ!と合わせてくる担当者には、感動さえ覚えます。
求人企業のことを深く理解していないと、不可能なことだからです。
SNSで求人できる時代に人材紹介を依頼する意味
近年では、Webサイトはもちろん、SNSも活用して採用活動を行う企業が増え、コストをかけなくても応募者を集めることが可能になっています。
そうしたなか、企業があえて人材紹介会社を利用するのは、条件が合うだけの応募者を大量に集めるのではなく、「うちの会社に合う人物を、効率的に探したい」というニーズがあるためです。
企業を深く理解したうえで、ドンピシャリに合う人物を厳選して紹介してくれる転職エージェントの価値が上がっているといえます。
深い企業理解を可能にするために
偶然の産物ではあったのですが、筆者の経験として深い理解につながった人材紹介会社のきっかけは、“一緒に仕事をしたこと”でした。
具体的には、あるプロジェクトで、人材紹介会社のクリエイティブチームとともに仕事をしたのです。
そのプロセスで、人材紹介会社による社内の撮影、経営トップやスタッフへのインタビュー、原稿校正のやり取りを経た結果、その人材紹介会社は「いつもウチっぽい人を紹介してくれる転職エージェント」になりました。
これと同じことが、深い企業理解のために役立つのではないかと思います。
すなわち、以下の3つのポイントです。
深い企業理解のために役立つポイント
- 求人票などの校正で企業サイドがどんな赤入れをするのか観察すること
- 経営トップはもちろん、できるだけ多くの従業員と直接話すこと
- 社内を見学させてもらい、実際に自分の目で見ること(難しい場合は写真などで雰囲気を共有してもらうと良い)
求人企業の表面的な要望ではなく、言語化されていない性質や雰囲気を吸収することが、ワンランク上のマッチングを可能にするのではないでしょうか。
選考中の情報共有で注意してほしいこと
求人企業と求職者のマッチングが行われ、面接の採用プロセスに入ると、転職エージェントの担当者から逐一状況報告の連絡をいただきます。
この際に気になっていたのが、転職エージェント側の「求人企業に採用を決めてほしい」という熱意が強過ぎて、求職者への配慮が手薄になってしまうケースです。
ネガティブな情報共有は要注意
特に、求職者が面接官や求人企業に対して何かしらのネガティブな対応を見せたとき、それを企業サイドへどう伝えるかは、案件ごとに熟慮していただきたいポイントといえます。
なぜなら、たとえ採用が決まったとしても、その後の求職者の人間関係に影を落とすことになりかねないためです。
求職者からすれば、キャリアアドバイザーを信頼して話したことが、まさか求人企業側に筒抜けになっているとは思わないでしょう。
「そこはうまくやっている」という方が多いかとは思いますが、実際に現場で多数の案件を扱っていると、危うい情報共有も混ざっていたのが正直なところです。
例えば、求職者の面接官に対する不満や企業への批判と捉えられかねないコメントの扱いには、細心の注意が必要といえます。
求職者が入社した後を見据えた対応を
大手人材紹介会社の多くは、分業制(個人担当と法人担当が別)のスタイルを取っているかと思います。それぞれに伝えた情報がどう橋渡しされるのか、当事者にとっては非常にセンシティブな問題です。
加えて注意しておきたい点として、専任の人事部がない中小企業では、窓口担当者に内密に伝えたつもりの情報が、社内にそのまま共有される可能性があります。
ぜひ「求職者が入社した後に、気持ち良く働けるかどうか」も見据えた情報共有をお願いできればと思います。
詳細の伝達はメールより口頭で
とはいえ、ネガティブな情報を伝えるべき状況も多々あるのが、現実かもしれません。
そんなときには、記録に残って社内転送されるリスクのあるメールよりも、形に残らない口頭で伝えることをおすすめします。
文字だけでは表現できないニュアンスまで伝えることができ、かつ求人企業内で意図せぬ形で拡散されるリスクを減らすことができるためです。
メールでの伝達が必要な場合でも、詳細までメールに記載するのは避け、口頭でフォローする方法が安全といえます。
採用がスムーズに進まないときの打ち手
おすすめ人材を多く紹介しても、採用がスムーズに進まないこともあるかもしれません。
そんなときには、転職エージェントの窓口になっている採用担当者の“その先の決定権者”に向けたフォローが効果的です。
うまくいかない原因の多くは社内にある
人材紹介会社から見て「うまくいかない」とき、実は人材紹介会社の営業がうまくいっていないのではなく、“求人企業の社内”がうまくいっていないケースが多く見られます。
例えば、経営トップ、採用したい部門の責任者、人材紹介会社との窓口になっている採用担当者の意思疎通がうまくいっておらず、思惑がバラバラのケースが挙げられます。
たとえ転職エージェントとして、採用担当者の話をもとにパーフェクトな対応をできていても、そもそも社内の決定権者と採用担当者との間にズレが生じていれば、なかなか内定が出ないというわけです。
部門責任者の話を聞くのが一番早い
採用をスムーズに進めるためにおすすめの打ち手は、社内の決定権者から直接ヒアリングすることです。ここから一気に突破口が開けることは、実際によくあります。
特に、自分のチームの人材採用を考えている部門責任者の話を聞くのが一番早いといえるでしょう。
同じ企業でも、事業部・部署ごとに評価基準やカルチャーが異なりますし、部門責任者と経営トップでも採用に対する考えが異なることがあるためです。
直接のヒアリングが難しい場合は、窓口となっている担当者を通して、決定権者の具体的なフィードバックをできるだけ詳しく引き出すことをおすすめします。
信頼を失うNGコミュニケーション
最後に「こんなコミュニケーションでは信頼を失ってしまう」というNGケースについて、お伝えしたいと思います。
結論からお伝えすると、「情報の漏らし過ぎ」に要注意です。
情報はありがたいけれど…
転職エージェントの方々は、ときに求人企業から見たら喉から手が出るほど欲しい情報を持っています。
長くお付き合いが続いていくなかでは、企業サイドにとって有益な情報を積極的に共有して、関係維持に努めてくださる担当者も多く、それはありがたい限りです。
ただし時折、
「その情報は確かに助かるけれど、モラル・倫理的には、外部に流すのはどうなんだろう?」
と疑問を抱くような情報が共有されるケースがあることも事実です。
例えば、競合他社の内部情報や求人企業内の求職者の存在など、情報の漏らし過ぎは逆に信頼を失う結果となります。
熱心さと紙一重の情報漏洩
しかしながら、リスキーな情報共有を行う担当者に、モラルや倫理観が欠如している印象はありません。
むしろその逆で、非常に誠実で熱心な印象を受けることが多いものです。
熱意や営業成績に対するプレッシャーが行き過ぎたとき、情報漏洩のリスクが高まる可能性を思うと、個人の資質というよりは仕組みの問題かもしれません。
もし思い当たる節があれば、読者であるエージェントの皆さま自身のみならず、紹介事業運営者の方々も部下の皆さまが業務上知り得た情報を流していないか、念のためご確認いただければと思います。
さいごに
転職エージェントは、求人企業にとって成長に欠かせない存在です。
特に、成長過程にある多くの企業においては、採用の遅れが慢性的に出ている問題があります。
事業の成長スピードに採用が追いつかず、現場の従業員たちに大きな負荷がかかっている現状があるのです。
そこで、人手不足に陥る手前で、タイムリーに優秀な人材を紹介してくださる転職エージェントほど心強いものはありません。
ぜひ求人企業の性質や現況を見極め、良きパートナーとして素晴らしい人材との縁を結んでいただければと思います。
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【著者】三島つむぎ
ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。