人材紹介・エージェント事業を軌道に乗せるうえで重要な新規開拓。さまざまな方法を駆使して、開拓に取り組んでいる方が多いのではないでしょうか。
筆者は求人企業の管理職の立場で、多くの採用に携わってきました。人材紹介会社の方から見ると「法人顧客」の立場です。
そこで本稿では、求人企業側の視点から、新規開拓を成功させるポイントをお伝えしたいと思います。
新規開拓の成功率が高い企業とは?
電話やメールなどでアプローチするアウトバウンド営業では、成功率が高い企業を見極めることが欠かせません。まずは新規開拓の成功率が高い企業を3つ、ご紹介します。
(1)求人広告の掲載が終了した企業
1つめは「求人広告の掲載が終了した企業」です。
求人企業の社内では、転職サイトなどへ求人広告を掲載している期間中、人材紹介会社からの営業電話が急増します。
この時期は正直なところ、「ただでさえ採用業務で忙しいので、新規営業に取り合っていられない」というケースも多く、すぐ電話を切られがちです。
加えて、求人広告の掲載期間中は、新たな人材紹介サービスは利用しにくい状況があります。というのも、予算やリソースを求人広告に割いた関係上、掲載中の求人広告からの採用が第一優先になるためです。
そこでおすすめなのが、あえて“求人広告の掲載が終了した後”のタイミングを狙った営業です。
求人企業では、求人広告からの採用結果が芳しくなかった場合、早急に次の一手を探さなければなりません。そこでタイミングよく営業があると、「話を聞いてみよう」という気持ちになりやすいのです。
(2)まだ世の中に知られていないスタートアップ企業
2つめは「まだ世の中に知られていないスタートアップ企業」です。
多くの企業では、日常的に人材紹介会社からの営業電話を受けています。電話受付スタッフが、原則すべてお断りの対応をしている企業も少なくないのが実態です。
そこで、まだ競合他社がアプローチしていない企業に、いかにアプローチできるかが重要になります。
特に、ごく少人数の規模で運営しているスタートアップ企業にとっては、
「こんな小規模な自分たちのところにも、誠実な態度で営業し、相談に乗ってくれた」
という思いは、心に残るものです。
これから成長していくにあたって人材が必要になれば、真っ先に相談してくれるようになるでしょう。“会社が大きくなる前に受けた恩”は忘れないと語る経営者は多くいます。
スタートアップ企業への丁寧な営業と関係づくりは、たとえ直近の売上に結び付かなくても、将来の大きな売上につながる可能性を秘めています。
(3)事業が急成長中で採用の緊急性が高い中小企業
3つめは「事業が急成長中で採用の緊急性が高い中小企業」です。
中小企業では、事業が想定を超えて急成長を遂げ、採用が間に合わなくなる事態が起きることがあります。
もともと人材の余裕がないため、急きょ採用をしないと経営をゆるがしかねません。そういった企業では採用の緊急性が高まります。
つまりニーズが高まっている状況なので、競合他社に先を越されないアプローチさえできれば、新規開拓は成功しやすくなります。
採用の緊急性が高い企業は、自社のSNSアカウントやコーポレートサイトで「急募」の発信をすることが多いため、素早く見つけてスピーディに対応しましょう。
新規開拓を成功させるためのポイント
次に新規開拓を成功させるための3つのポイントをご紹介します。
(1)マッチングできる人材を具体的に提案する
1つめのポイントは「マッチングできる人材を具体的に提案する」ことです。
例えば、新規開拓先に電話営業をかけるとき、漠然とアポイントだけを求めていないでしょうか。
▼ NG例
「最近、求人を出されているかと思うのですが、状況はいかがでしょうか。
情報交換で一度お時間をいただけませんか」
実際、このような電話営業は非常に多いのですが、条件反射的に断られます。なぜなら、求人企業側にとってのメリットがわからないからです。
そこで、最も良い方法のひとつは、マッチングできる人材を具体的に提案することになります。
▼ OK例
「ルート営業を12年経験され、御社に興味をお持ちの方がいらっしゃいます。ぜひご紹介できればと思いご連絡差し上げました」
このような具体性があれば、求人企業としては興味を持ち、「一度、会ってみよう」とアポイントを受け入れやすくなります。
(2)課題を分析したうえで改善策を提案する
2つめのポイントは「課題を分析したうえで改善策を提案する」です。
失敗しやすい例として、電話口で一方的に「ヒアリングさせて欲しい」と求める営業トークが挙げられます。
▼ NG例
「人材紹介サービスをご提供しているのですが、御社では採用活動をされていますか。
どんな人材をお探しか、ヒアリングさせていただけないでしょうか」
求人企業から見ると、多忙のなか電話を受けたうえ、どんな利益を与えてくれるのかもわからない相手に、内部事情を詳しく伝える気にはなれません。
相手先企業の求人情報をチェックしたうえで営業するのは当然として、課題と改善策まで提案できると理想的です。
▼ OK例
「御社の企業サイトの求人ページを拝見したのですが、大変すばらしい商品を開発されていることが伝わる一方で、御社の理念や社風に関する情報が少ないように感じました。
そのため採用エントリーの時点で不利になっている可能性があります。
改善策として、弊社でご提案できるのは……」
このように一歩踏み込んだ提案を、ファーストコンタクトの時点で提示してくれる人材紹介会社は、
「もっと詳しく話を聞いてみたい。有益な情報を得られるかもしれない」
と感じるものです。
(3)定期的にアプローチし続ける
3つめのポイントは「定期的にアプローチし続ける」です。
前述の2つのポイント、
(1)マッチングできる人材を具体的に提案する
(2)採用情報から課題を分析したうえで改善策を提案する
が満たされている営業であれば、タイミングさえ合えば新規開拓につながる可能性が高くなります。
特に、スタートアップ企業や中小企業には、定期的なアプローチが不可欠です。なぜなら、刻一刻と採用に対するモチベーションが変わるためです。
最初に営業をかけた時点で、人材紹介を使う余力はまったくなさそうな印象を受けたとしても、急成長するときには一気に拡大することがあります。そのタイミングを逃さないことです。
定期的に何度も繰り返しコンタクトを取りながら関係性を作り、いざ採用拡大のタイミングでは協働することを目指しましょう。
さいごに
人材紹介会社からの営業を受ける側の求人企業にいると、
「ほんのちょっとの工夫でその先にいけるか・いけないかが決まるのに、もったいない──」
と感じることがよくあります。
ほとんどの人材紹介会社の新規営業は、「アポイントを取ること」や「社長に電話をつないでもらうこと」が目的化してしまい、その先を見据えないアプローチになっているのが現状です。
そんな現状があるからこそ、「他の人材紹介会社とは違う付加価値」を感じさせることができれば、新規開拓の成功率が上昇することは、間違いありません。
相手の企業のことをよく知り、相手の企業にとって有益な情報を、ファーストコンタクトの時点で共有できれば、次のステップが開けてきます。
ぜひ、競合他社と差別化した新規開拓でつながりを広げ、多くの企業の採用活動をサポートしていただければと思います。
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【著者】三島 つむぎ
ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。。