人材紹介の営業の失敗パターンと成功のコツを求人企業の立場から解説

「人材紹介の法人営業がなかなかうまくいかない──」

と悩んでいる方は多いかと思います。

それも無理はありません。というのも、筆者は“求人企業で人材紹介の営業を受ける側の立場”として、採用業務に携わってきましたが、日常的に、非常に多くの人材紹介会社から営業がありました。

実際、人材紹介事業者数は22,000所以上(平成30年度 *1)となっており、競争は激化しています。

そこで本記事では、激しい競争の中で人材紹介の営業を成功させるにはどうすべきか、求人企業の視点からお伝えしていきましょう。

人材紹介の営業でやりがちな失敗パターン

人材紹介会社からさまざまな営業を受けていると、

「こういう営業をされると、契約したいとは思えない」

と感じる営業スタイルやトークに遭遇することがあります。

まずはそれらを“やりがちな失敗パターン”として3つ、ご紹介しましょう。

失敗パターン1:「成果報酬だからリスクなし」を強く推す

1つめは「『成果報酬だからリスクなし』を強く推す」パターンです。

これは非常によく聞くトークで、もちろんメリットのひとつであることは間違いないでしょう。しかし、求人企業の立場から見ると、このトークにキラーフレーズ(契約の決め手)のパワーはありません。

その理由は2つあります。1つめの理由は、どこの人材紹介会社も皆が使うフレーズだからです。

聞き慣れたフレーズであり、「競合他社の人材紹介会社ではなく、あなたの人材紹介会社を選ぶ決め手」にはなり得ません。

2つめの理由は、「(求人企業の立場から見れば)成果報酬でもリスクはある」からです。

少し詳しく説明しましょう。求人企業にとっての“採用活動の真の成果”を定義するなら、「採用した人材が戦力として活躍し、企業の利益に寄与すること」といえます。

この定義に照らし合わせれば、入社時点(人材が利益に寄与する前)に多額の報酬が発生する人材紹介は、“真の成果”に対する成果報酬ではないのです。

この求人企業の視点を理解せず、「成果報酬だから、契約してもリスクはありません」の一点張りで強行突破をする営業スタイルでは、求人企業の心情との間にギャップが広がるばかりです。

失敗パターン2:採用ニーズの深掘りをしない

2つめは「採用ニーズの深掘りをしない」パターンです。

人材紹介の営業担当者の中には、

「結局どこの求人企業も、能力が高くて意欲があり人柄が良い人を採りたいだけ」

と捉えている方が少なからず見受けられます。これが、失敗のもとです。

この捉え方をしていると「求職者と求人企業のマッチング」とは名ばかりになります。

条件を妥協させたり視点を変えさせたりすることによる“交渉術”によって、強制的にマッチさせようとする人材紹介会社が後を絶たないのは、ニーズの捉え方に問題があるためです。

仮に求人企業が「能力が高くて意欲があり人柄が良い人を採りたい」と言ったとしても、その裏には言語化されていない“その企業特有の採用ニーズ”が必ず隠れています。

隠れた採用ニーズの深掘りをしないままに営業を続けても、成果に結び付く可能性は極めて低いでしょう。

失敗パターン3:社会人経験が浅く話についていけない

3つめは「社会人経験が浅く話についていけない」パターンです。

人材紹介会社の新規営業を受けていると、新人社員の割合が多いことに気づかされます。

「営業力を鍛えるために、上司から言われてきたのかな?」

と感じることもありますが、しかし求人企業から見ると、採用は経営のコアといえるほど重要な業務です。

厳しいようですが、あまりに社会人経験が浅くビジネスの話についていけない営業担当者には、深い話をする気にはなれないのが正直なところです。

特に、中小企業の場合は人事部がなく、社長が人材紹介会社の営業を受けるケースが多くあります。

企業の社長と同じ目線とまではいかなくても、可能な限り近い位置で話を聞ける知識が必要です。

人材紹介の営業を成功させるコツ

次に、前述の失敗パターンを踏まえつつ、人材紹介の営業を成功させるコツを3つ、ご紹介しましょう。

コツ1:費用対効果を相手が納得できる形に加工して示す

1つめのコツは「費用対効果を相手が納得できる形に加工して示す」ことです。

求人企業にとってのリアルをお伝えするなら、人材紹介を使わずして良い人材が採用できるなら、それに越したことはありません。

なぜなら、人材紹介にかかる費用は他の採用手法(ハローワーク、企業サイト、求人広告など)に比べて、はるかに高額であるためです。

この状況を踏まえれば、必要なのは、成果報酬であることを強く推す営業トークではなく、“高額ではあるものの費用対効果が高いことを相手に理解させるロジカルな解説”であることがわかります。

具体的にどのような要素をどのように話すべきかは、営業相手によって臨機応変に変える必要があります。

例えば、「採用業務が回らなくなってきたので、人事担当の専任者を採用するか検討中」という経営者に営業するための営業トークを考えてみましょう。

▼ 営業トーク例

御社のケースでは、例えば年収500万円の人事担当者を採用するよりも、人材採用を弊社におまかせいただいたほうが費用対効果は高くなります。具体的に試算すると…(略)

あるいは「大学院卒の人材を探していて、求人情報誌に広告を出している」という採用担当者が相手なら、こんな営業トークも考えられます。

▼ 営業トーク例

最終学歴が大学院卒の人の転職活動の方法として、求人情報誌などを使う人は約20%です。一方、人材紹介となると、この数字が約45%に跳ね上がります。
求人広告を出し続けるよりも人材紹介をご利用いただいたほうが、費用対効果の高い採用活動が可能です。

以上はあくまでも一例ですが、営業先企業の現況に合わせて、

「なるほど、それなら人材紹介を使ったほうがお得だ」

と感じさせる説得力あるトークがあれば、成功率は格段にアップします。

コツ2:言語化されていない潜在ニーズをすくい上げる

2つめのコツは「言語化されていないニーズをすくい上げる」ことです。

採用ニーズの深掘りの必要性は先に述べたとおりですが、求人企業が言語化していない隠されたニーズ(潜在ニーズ)を、あなたの人材紹介会社だけがすくい上げることができれば、競合他社に勝ちやすくなります。

繰り返しになりますが、くれぐれも「結局どこの求人企業も、能力が高くて意欲があり人柄が良い人を採りたいだけ」などと、簡略化して捉えないことです。

では、隠された潜在ニーズをすくい上げるコツは何かといえば、それは「発せられた言葉ではなく、行動を観察すること」です。

実際にどんな人が採用されているのか、(契約後であれば)どんな人材を書類選考で落としているのか、社長はどんなスタイルで仕事しているのか、どんな企業と取引しているのか──など、その企業が起こしている“行動”を丁寧に観察していくと、必ず発見があります。

発見を積み重ねるうちに、「この企業が本当に欲しい人材は、どういう人材なのか」という潜在ニーズにたどり着くはずです。

潜在ニーズを捉えている人材紹介会社は、求人企業から見れば「かゆいところに手が届く、真の理解者」です。長期にわたって繰り返し紹介を依頼されることになるでしょう。

コツ3:経営者の視点を学ぶ

3つめのコツは「経営者の視点を学ぶ」ことです。

経営にとって最重要ともいえる組織づくりに取り組む経営者と、対等に採用の話をできるようになるためには、経営者の視点を学んでおくことをおすすめします。

たとえ新人社員であっても、それは努力によってある程度、身に付けることが可能です。

具体的には、まずは社長インタビューの記事や経営者に焦点をあてたテレビ番組などに幅広く触れましょう。さまざまなタイプの経営者の考え方を知ることが大切です。

加えて、身近に直接コンタクトを取れる経営者がいれば、積極的に関わりを持ち、考え方を学びましょう。

このような努力を重ねていくと、営業先で「話の通じる人、求人企業側の実態をよく理解している人」として認められ、重要な話をしてもらいやすくなります。

さいごに

今回は求人企業の立場から、人材紹介の営業のコツをお伝えしてきました。

一言でまとめるなら「人材紹介の営業の方法は、相手の立場によって変えるのがコツ」といえます。相手の立場に立って“何が本当に必要なのか”を考え抜き、最適なアプローチすることが、成功につながります。

加えて最後にひとつ付け加えるなら、「求人企業のことを好きでいてくれる営業担当者」は、長くお付き合いしたいと感じるものです。

いつも深い興味を持ってくれ、理念に共感し、「大好きな会社だからこそ、本当に相性の良い人材を必ず探して紹介したい!」という強い熱意が感じられる営業担当者は、“真の成果”をもたらしてくれるからです。

ぜひ、営業先企業の本質に目を向け、愛情と情熱を持って、企業の採用活動をサポートしていただければと思います。


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*1 参考)厚生労働省 平成 30 年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報) p2

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000614248.pdf

*2 参考)厚生労働省 平成27年転職者実態調査の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/6-18c-h27-2-03.pdf p21


【著者】三島 つむぎ

ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。