求人企業への効果的な営業のために知っておくと役立つポイントとして、
「なぜ、人材紹介会社を使わないのか?」
という視点があります。
この視点を持つと、営業を断る企業の立場や心理への想像力が高まり、適切なアプローチ方法を精選できるようになります。
そこで本記事では“人材紹介会社を使わない企業”のリアルな状況をご紹介します。
人材紹介会社を使わない企業の5つの理由
さっそくですが、人材紹介会社を使わない企業の理由を5つ、見ていきましょう。
1. 人材紹介が何なのかよくわかっていない
2. 本当に人材紹介が良いのか懐疑的
3. ほかの手法で採用できている
4. 予算がない
5. 求める人材が明確になっていない
人材紹介が何なのかよくわかっていない
1つめの理由は「人材紹介が何なのかよくわかっていない」です。
人材紹介ビジネスに携わっている方からすれば意外かもしれませんが、特に中小企業においては、「そもそも人材紹介が何か」を把握していない経営者や兼任採用担当者は、多く存在しています。
例えばよくあるのが、“人材派遣”と“人材紹介”を混同し、人材派遣と勘違いして「うちには人材紹介は必要ない」と言っているケースです。
想像以上に、企業の経営者や担当者のなかには、人材紹介ビジネスをご存じない方もいることを押さえておきましょう。
本当に人材紹介が良いのか懐疑的
2つめの理由は「本当に人材紹介が良いのか懐疑的」です。
人材紹介サービスの概要を知っていても、「それって本当に良いの?」と疑いの目を向けているのが、このケースです。
その背景として挙げられるのが、一部の人材紹介会社による強引な営業活動です。
多くの求人企業が、人材紹介会社からの電話営業や飛び込み営業を経験しています。なかには不誠実な対応をする会社もあり、不快な思いをすることもあるのが現実です。
“人材紹介会社全体”に対しての印象が悪くなり、警戒心が強まっている場合には、その警戒心をゆるめるところから始めなければなりません。
ほかの手法で採用できている
3つめの理由は「ほかの手法で採用できている」です。
人材紹介会社を経由した採用は、ハローワークや転職サイト、リファラル採用などとに比較して高額です。
現状ハローワーク経由で十分に満足な採用活動ができている場合には、あえて費用の高い人材紹介会社を利用する理由がありません。
ただし、採用難が深刻化する現代においては、どこかのタイミングで「現在の手法だけでは通用しなくなってきた」と感じ始める企業が多いと予測されます。
その機を逸せずにアプローチすることが大切です。
予算がない
4つめの理由は「予算がない」です。
採用予算をどの程度、確保しているかは、企業によって大きく変わります。参考までに、以下は中途採用における人材紹介の年間予算の調査結果です。
例えば、従業員数3〜50名の企業の年間予算は平均78万円で、「人材紹介では、年に1人採用するかどうか」が現実的なラインであることがわかります。
この実情を把握しておくだけでも、相手の立場に寄り添った提案をしやすくなるはずです。
なお補足として、
「予算を確保していないのは、資金がないからではなく、価値を感じていないから」
という可能性も視野に入れておく必要があります。
つまり、費用対効果さえ見込めれば予算を引き上げる企業もあります。見極めながら営業活動を進めていきましょう。
求める人材が明確になっていない
5つめの理由は「求める人材が明確になっていない」です。
人材紹介は料金が高額なことから、「利用する歴然とした意図・目的」を持たない企業があえて選ぶことはありません。
しかしながら、採用ノウハウを持たない企業では、そもそも求める人材が明確化されていないことが多く、「人材紹介会社を利用すべきか否か」と判断できるフェーズまで至っていないのが実態です。
“採用初心者”段階の企業に対しては、採用手法の選択以前の採用活動から支援する必要があります。
効果的な営業を実現するためのアプローチ方法
ここまでに見てきた“人材紹介会社を使わない理由”を踏まえつつ、効果的な営業を実現するためのアプローチ方法をご紹介します。
1. 効果を実感しやすい業種から優先的に開拓する
2. 既存顧客を経由して新規営業先を紹介してもらう
3. 求める人物像の明確化から支援する
既存顧客を経由して新規営業先を紹介してもらう
1つめの方法は「既存顧客を経由して新規営業先を紹介してもらう」です。
というのは、インターネットでの情報収集が主流の現代においても、やはり強い影響力を持つのが「リアルの口コミ」です。
人材紹介会社に対して良い印象を持っていない経営者や採用担当者の考え方を、一瞬にして180度変える力があります。
特に採用手法については、
「取引先の●●さんが人材紹介でいい人を採れたとって言っていたから、ウチもやってみよう」
といった契機になることが多々あります。
なぜなら、企業の経営者同士の商談で、雑談ネタとして頻出するのが「採用の話」だからです。
「御社は、皆さん夜遅くまでお忙しそうですね?」
「そうなんですよ。採用広告かけているんですが、なかなか良い人が採れなくて」
「御社は今、どんどん採用を進めているんですね〜。えっ、一気に5人も入社されたんですか?」
「ええ、新規事業のほうもあるので、今までになく積極的に採用を進めています」
こんなたわいもない話から、“人材紹介が良かった”という口コミにつながっていきます。
「良かったら紹介しましょうか?」
「ぜひ紹介してください」
そんなシーンで、既存顧客から自社をレコメンドしてもらえるコミュニケーション設計をしておくと良いでしょう。
効果を実感しやすい業種から優先的に開拓する
2つめの方法は「効果を実感しやすい業種から優先的に開拓する」です。
人材紹介をよく知らない企業や警戒心を抱いている企業に価値を感じてもらうためには、実際に効果を実感してもらうことが一番です。
可能であれば初回割引などで導入障壁を下げつつ、“人材紹介で効果を実感しやすい業種”から優先的に新規開拓を進めると良いでしょう。
以下は効果があった手法として「人材紹介会社」を挙げた業種のランキングです。
▼ 直近1年間(2020年)に中途社員を募集する際に利用したサービス・手法の中で「効果があったサービス・手法」として「人材紹介会社(転職エージェント経由) 」を挙げた企業の割合
例えば、メーカー、IT・通信・インターネット、商社は、人材紹介と好相性の業種といえます。
求める人物像の明確化から支援する
3つめの方法は「求める人物像の明確化から支援する」です。
人材紹介業界で働く方々にとっては“当然のこと”であっても、採用のプロではない求人企業の経営者の中には、基本的なことでもご存じないこともあるでしょう。
“人材紹介サービスを利用してもらう”という自社にとっての営業的ゴールだけを目指すのではなく、その手前の採用戦略策定プロセスから支援するのがおすすめです。
例えば、単に要望をヒアリングするだけでなく、
「御社が求める人物像を具体化するとこうですよ」
と、能力・強み・コンピテンシー(行動特性)・考え方などを言語化し、視覚的にわかりやすい資料にまとめて提供しましょう。
なお、“手前の戦略策定プロセス”から顧客の内部に入り込むと、競合他社に顧客を奪われるリスクを減らす効果も期待できます。“人材紹介サービス”そのものは替えが利いたとしても、戦略策定の支援は替えが利かないからです。
「顧客に頼りにされる仕組みづくり」が、中長期的な売上安定につながります。
さいごに
先日のことですが、お付き合いのある企業の社長(設立8期目)が採用がうまくいかずに悩んでいるようだったため、
「人材紹介は使わないのですか?」
と尋ねてみました。
「いやいや、ウチは使いませんよ!手数料がもったいないじゃないですか」
と、にべもない反応。
しかし聞いてみると、そもそも人材紹介を使ったことはなく、実情を知っているわけでもなく、何となくの浅い印象だけで拒否している様子です。
実際、このような知識不足によって、人材紹介会社を利用する機会を逃している求人企業は多いように感じます。
ぜひ人材紹介会社の皆さまには、“人材紹介の本当の価値、すばらしさ”を正しく啓蒙するところから、求人企業を支援していただければと思います。
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【エビデンス】
*1 引用)マイナビ「中途採用状況調査2021年版」P63
https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2021/03/chutosaiyoujyoukyoutyousa2021ban.pdf
*2 引用)マイナビ「中途採用状況調査2021年版」P60
https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2021/03/chutosaiyoujyoukyoutyousa2021ban.pdf
【著者】三島 つむぎ
ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。