人材紹介業で独立した場合の年収は?利益率や売上/支出について徹底解説

右肩上がりで市場規模が拡大している人材紹介業界で働く人の中には、これまでの経験を活かして個人事業主として独立したい、新しく人材紹介会社を起業したいと考える方も近年増えています。

しかし、「独立した場合の年収がどうなるのかが不安」「売上を増やすための方法がよく分からない」このような思いをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

そこで今回の記事では、人材紹介業で独立し、売上を作る方法・必要となるコスト、独立する際に気を付けたいことなどについて解説していきます。

人材紹介業の魅力は高い利益率

人材紹介業で独立した場合、1000万円を超える年収を狙うことも可能です。

このような高年収が実現可能な理由の一つとして、人材紹介業は利益率が高いという特徴があります。人材紹介業の利益率は、人材紹介事業を運営している企業の決算書やIR等をみるに、一般的に20〜30%です。これに比べて、製造業の利益率は約4%、情報通信業の利益率は約6%であり、人材紹介業は他業界よりも利益率が高いと言えます。

参考:中小企業実態基本調査 / 令和4年確報(令和3年度決算実績)3.売上高及び営業費用(1)産業別・従業者規模別表

(営業)利益率とは、売上高から売上原価や販売費、一般管理費を差し引いた営業利益の売上高に対する割合のことです。利益率が高いことで、効率よく儲けを生み出すことができるため、人材紹介業は独立・起業を考える人にとって魅力的なビジネスモデルとなります。

効率的に儲けを生み出すために、高い利益率を実現するには、①売上を高めること②コストを低くすることの2つの要素が重要となります。そのため独立時には、人材紹介業における売上とコストについての理解を深めることが必要です。

利益に対する収入は?

法人として独立する場合は、例え代表取締役だとしても利益=収入ではないことに注意が必要になります。個人の収入は、法人設立後3ヶ月以内に決定する役員報酬の額によって決まります。役員報酬は会社にとって経費支出になるため、金額の設定を誤ると、経営を圧迫する原因になります。法人には事業に関わる経費のほかに、法人税、法人住民税など多数の税金や社会保険料がかかります。そのため、役員報酬の決定には税理士に相談するのがおすすめです。

このような経理面での心配を少なくするには、個人事業主として独立する方法もあります。個人事業主の場合は口座の区別がないため、利益をそのまま個人のお金として利用できますが、固定費や税金などのコストを継続的に払えるように注意が必要です。一般に個人事業主と法人では、所得税、法人税の観点から、個人所得800万円、売上高1,000万円が切り替えのポイントとされています。

人材紹介業の売上の作り方

人材紹介業での売上は以下のように決定されます。

売上 = 紹介手数料 × 人材紹介成約者数

つまり、売上を増やすためには、紹介手数料もしくは成約者の数字を高める必要があります。この2つの要因についてそれぞれ解説します。

まず、紹介手数料についてです。

紹介手数料とは、求職者と企業をマッチングさせ、入社することにより得られる成功報酬です。紹介手数料の業界平均額は入社が決定した求職者の年収の30%前後と言われており、求職者の年収が700万円だった場合には、約210万円の売上を得ることができます。

紹介手数料を高めるためには、年収の高い求職者を紹介する、成功報酬の割合を高めるという方法が考えられます。そのためには、競合の人材紹介会社と差別化できるポイントを作り出す必要があります。

次に人材紹介成約者数を高める仕組みについてです。

結論から言うと、人材紹介成約者数を高めるためには、求職者の母集団の人数を増やすことが重要です。その理由について説明をしていきます。

※求職者からの応募数~内定数までの各フローについては、人材紹介会社によってかなり違いがあります。

求職者の母集団の人数から人材紹介成約者数への数値の推移は、上記のようなファネル構造によって表すことができます。そして、最終的な人材紹介成約者数は、下記3つの施策によって高めることが可能です。

1.求職者の母集団の人数を増やす
2.先行合格率を高める
3.内定承諾率を高め、辞退率を下げる

まず、売上を作るためには、求職者の母数が絶対条件です。そのために、SNSや広告を使った集客への注力、求職者が魅力を感じられるような人材紹介業者としてのブランディングが重要となります。

次に関わってくるのが選考の合格率です。求職者側のスキルセットが企業の求めているものかどうか、面談時に十分に自己アピールできているかなどが関わってきます。さらに求人市場全体の環境状況、景気なども関わってくる要素のため、広い視点をもった対応が求められます。

最後に、内定承諾率を高めることも必要です。企業が内定を出しても求職者側から辞退することが多々あります。求職者の価値観やキャリア目標に合致するような職場環境や条件の内定が出るように、求職者の価値観に寄り添ったキャリアコンサルティングを行い、ミスマッチを減らすことが重要になります。

また、内定承諾率を高めるためには、適切なKPI設定を行うことも重要です。KPIを設定することで、売上を上げるプロセスを数値で客観的に評価でき、次に向けての課題の明確化、改善による売上向上を実現できます。

KPI設定の重要性、KPI分析・管理の手法など詳しくはこちらの記事をご覧ください。

これらの施策を通じて、事業全体の売上の拡大を図ることができます。求職者と企業の双方にとって最適なマッチングを実現するためには、各段階での戦略的なアプローチが不可欠です。

人材紹介業で必要となるコスト

ここでは、高い利益率を実現するために重要な要素となるコストについて、独立時に必要となる初期コスト、人材紹介業を営む際のランニングコストに分けて解説していきます。独立し、人材紹介業を立ち上げる際には、人材紹介業の免許が必要であり、以下のような初期コストが必要です。

独立時に必要になる初期コスト

・基準資産額
・会社設立費用
・免許申請費用
・事業所のオフィス費用

それぞれのコストについて順番に説明します。

まず、基準資産額についてです。
人材紹介会社を立ち上げる際には、以下の財政状況を満たしていなければなりません。

① 資産(繰延資産及び営業権を除く)-負債≧500万円×事業所数
②自己名義の現金・預金の額≧150万円 +(60万円×(事業所数-1))

つまり、資産から負債を引いた基準資産額を500万円以上、そのうち150万円は現金預金で確保する必要があります。

次に会社設立費用についてです。

会社を新たに設立する際に発生するコストで、定款用収入印紙代などから構成されます。会社形態や資本金の額などの条件によって前後しますが、約15万円のコストが会社設立費用としてかかります。

免許申請費用は、

・責任者講習会受講料
・登録免許税
・印紙費用

の3つから構成されます。

人材紹介業の免許を申請する際には、責任者講習受講経験のある職業紹介責任者を選定しなければいけません。公益社団法人 全国民営職業紹介事業協会や一般社団法人 日本人材紹介事業協会が実施している講習受講にかかる費用は、非会員の場合は12,500円(税込)、会員の場合は8,800円です。
参考:公益社団法人 全国民営職業紹介事業協会

登録免許税は90,000円、印紙費用は50,000円で、複数の事業所を申請する場合は、印紙費用が1事業所につき追加で18,000円がかかります。

事業所のオフィス費用は、オフィスの立地や広さなどの条件により大きく異なりますが、人材紹介業の事業所には、以下のような要件が定められています。

1.プライバシーを保護しつつ求人者又は求職者に対応することが可能であること。具体的には、個室の設置、パーティション等での区分により、プライバシーを保護しつつ求人者又は求職者に対応することが可能である構造を有すること。

2.事業所名(愛称等も含む。)は、利用者にとって、職業安定機関その他公的機関であるとの誤認を生ずるものでないこと。

ただし、上記の構造を有することに代えて、以下のA又はBのいずれかによっても、1の要件を満たしているものと認めること。また、当分の間、以下のCによることも認めること。

A. 予約制、近隣の貸部屋の確保等により、他の求人者又は求職者等と同室にならずに対面の職業紹介を行うことができるような措置を講じること。この場合において、当該措置を講じない運営がなされた場合には、許可の取消し対象となる旨の許可条件を付するものとすること。

B. 専らインターネットを利用すること等により、対面を伴わない職業紹介を行うこと。この場合において、対面を伴う職業紹介事業の運営がなされたときは、許可の取消し対象となる旨の許可条件を付するものとすること。

C. 事業所の面積がおおむね 20 ㎡以上であること。

参考:厚生労働省・都道府県労働局「職業紹介事業パンフレット-許可・更新等マニュアル-

社員の人数や求職者のターゲットなどに合わせて、これらの要件に適合するオフィスを選定する必要があります。

人材紹介業の免許を取得する流れやコストについての詳細はこちらの記事をご覧ください。

人材紹介業を営む際のランニングコスト

事業運営開始後のランニングコストとしては以下のようなものが挙げられます。

・人件費
・求職者・求人獲得費用
・オフィス賃貸費用

人材紹介業において最大のコスト要因となるのは人件費です。

・求職者との面談を行うキャリアアドバイザー
・求人の獲得を担う法人営業担当者
・その他のバックオフィス担当者

これらの人件費が事業運営には必要となり、コストが発生します。

そして、売上を作るために必要な、求職者・求人の獲得を行うためのコストも発生します。
想定されるコストの内容としては、

・広告宣伝費
・スカウトデータベース利用費
・求人データベース利用費
・テレアポ代行費
・リスト作成費

などの営業やマーケティングに必要なコストです。

そして、人件費とオフィスの賃貸費用を加えた金額が事業運営後の主なランニングコストとなります。

人材紹介業での独立が難しい理由とは

人材紹介業界での経験が豊富な人でも独立に成功するのは簡単ではありません。その主な原因となるのは、求人企業の開拓と求職者の集客に課題が生じることです。

人材を求めている企業の開拓

まず、人材を求めている企業の開拓が、独立の成功を困難にする原因となります。

人材を求めている企業の開拓を行うには、企業から信頼を得ることが大切になります。しかし、独立後には、実績がない、十分な求職者を確保できていない場合が多く、企業に対して信頼感を与えたり、優位性を伝えるたりすることが難しくなります。

また、求人企業が契約することのできる人材紹介会社の数には限りがあるため、他の人材紹介会社との競争が生じます。他社に勝る自社の特徴を作り、契約を勝ち取ることは簡単ではありません。

企業の開拓を成功させるためには、

・求職者の集客人数を増やす
・他の人材紹介会社と差別化できるポイントを作る
・独立前に企業との人脈を作る

などを行うことが必要となります。

求職者の集客

効率的に求職者の集客を行うことは人材紹介業において、とても重要になります。なぜなら、これまで見てきたように、売上を作るためには求職者の母集団の人数を増やすことが必要であり、求職者の集客が上手くいかないと無駄な広告宣伝費が増え、コストが上昇するからです。

また、求職者を多く集客することで、企業からの魅力を高め、企業開拓の効率を高めることができるなどの効果もあります。

しかし、独立して求職者の集客を行うことは簡単ではありません。

・競合の人材紹介会社との競争
・効果的なマーケティングの実践
・求職者との人脈づくり

などの課題が生じるからです。これらの課題を克服し、効率的に求職者の集客を行うにはマイナビなどが提供しているスカウトデータベースを活用することが効果的です。

スカウトデータベースを活用することで、転職を希望している多くの求職者にアプローチすることができ、求職者の集客という独立を難しくする要因を乗り越えることが可能となります。

効率的な求職者の集客について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

さらに年収を高めたい場合は?

前述した通り、人材紹介業の売上は紹介手数料と紹介人数で決まります。そのため、売上を拡大し、個人の収入を高めるには次のような方法が考えられます。

  • 紹介手数料の高い市場に特化する
  • 紹介人数を高めるために、組織化による営業数を増やす

特に、人材紹介は企業側と求職者側、双方への営業が必要な点で、労働集約型の事業といえます。そこで、事業のマニュアル化によって属人性を下げ、社員を雇うことで営業数の拡大を図り、紹介人数の拡大を狙いましょう。

まとめ

人材紹介業は独立し、高年収を狙うことのできる魅力的なビジネスモデルであると言うことができます。その一方で、求職者の集客や求人企業の開拓といった課題を解決し、高い利益率を実現することが求められます。

マイナビ転職スカウトデータベースなどのツールを利用していくことで、効率的な集客を行い、人材紹介業での独立を成功させましょう。


人材紹介の事業運営でこんなお悩みありませんか?

「求人案件にマッチする求職者を効率よく探したい」
「求職者への提案の幅を広げたい」
「そもそも何からはじめたらよいかわからない」

そう感じている方へ
マイナビが人材紹介の事業課題を解決します!

マイナビが選ばれる理由
● 日本最大級の求職者データベース
● マイナビのネットワークを使った求人データベース
● 2,000社以上の支援実績サポート

※サービス開始から15年間の延べ数

マイナビの人材紹介サポートについて、詳しくは以下のリンクよりご確認ください。


【無料】人材紹介事業者向けセミナーのアーカイブ配信

現在、人材紹介事業を行っている方はもちろん、
人材紹介事業の起業を検討中の方向けの動画もご用意しております。
求職者集客から求人開拓まで、幅広いテーマを揃えていますので、お気軽にご視聴ください!
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
視聴料 :無料
視聴手順:
①下記ボタンをクリック
②気になるセミナー動画を選ぶ
③リンク先にて、動画視聴お申込みフォームにご登録
④アーカイブ配信視聴用URLをメールにてご送付
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –