人材紹介業は副業に向いている?注意点や設定すべき手数料も解説

人材紹介業は新規参入のハードルが比較的低い業種です。「副業で人材紹介をはじめたい」「副業で人材紹介を行う際に注意すべき点はあるのだろうか」と考えている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、副業における人材紹介に関して以下の内容をまとめました。

  • 人材紹介業が副業に向いている理由
  • 副業として人材紹介業を運営する際の注意点
  • 副業として人材紹介業を運営する際に設定すべき手数料

人材紹介業の立ち上げを検討している方や副業に興味がある方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

人材紹介業が副業に向いている理由

人材紹介業を行う際は免許の取得が必須となりますが、個人事業主でも免許が取得でき、開業が可能です。副業として人材紹介が始めやすい理由として、以下のような背景があります。

  • オンラインでも面談が実施できるため
  • 工夫すればコストを抑えて集客できるため
  • 人材ビジネスの中でも許認可取得がしやすいため
  • 1回のマッチングの利益が大きいため

それぞれ解説します。

オンラインでも面談が実施できるため

人材紹介は、オンラインでの実施が許可されています。

対面の場合は立地やプライバシー確保などの条件を満たした事業所を設けることが規定されていますが、オンラインの場合は事業所の要件が免除されます(*1)。要件を満たした事業所を設けなくてもよい点は、副業で始めたい方にとっては好都合でしょう。

ただし、対面を伴う紹介を一部でも取り入れる場合、要件を満たした事業所が必要となる点には注意してください(*1)。

*1(参考)厚生労働省・都道府県労働局(公共職業安定所)「職業紹介事業パンフレットー許可・更新等マニュアルー」

工夫すればコストを抑えて集客できるため

副業として人材紹介を行いやすい理由のひとつとして、集客手段の多様化が挙げられます。人材紹介業の集客には以下のようにさまざまな方法を活用できるため、副業として行う場合も求職者にアプローチしやすいでしょう。

  • スカウトメールの送付による集客
  • SNSを活用した集客
  • 広告の掲載による集客
  • オウンドメディアの発信による集客
  • 過去の利用者への再アプローチ

特に自社メディアやSNSの活用は、若年層の求職者へのアプローチとして有効です。SNSは無料で利用できるものも多いため、運用のノウハウを学べばほとんど費用をかけずに多くの顧客を獲得できるでしょう。

以下の記事では人材紹介業におけるおすすめの集客方法を紹介しているので、参考にしてください。

人材ビジネスの中でも許認可取得がしやすいため

人材紹介は、人材ビジネスの中でも許認可が取得しやすいとされています。

人材紹介とよく比較される人材ビジネスとして、人材派遣があります。人材派遣の場合、必要な基準資産額は1事業所あたり2,000万円です(*1)。

対して人材紹介の場合、必要な基準資産額は1事業所あたり500万円と、資産要件は低く設定されています。

許認可取得のハードルが低い点からも、人材紹介は副業に向いているといえます。

なお、個人事業主として人材紹介の免許を取得する方法は以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

*1(参考)厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」
*2(参考)厚生労働省・都道府県労働局(公共職業安定所)「職業紹介事業パンフレットー許可・更新等マニュアルー」

1回のマッチングの利益が大きいため

人材紹介のビジネスモデルは、求人を出す企業と求職者をマッチングさせ、紹介手数料として利益を得る仕組みです。年収の30%程度を紹介手数料として受け取れるため、一度のマッチングによる利益が大きいのが特徴です。

一方、人材紹介と比較されやすい人材派遣の場合、派遣スタッフと雇用契約を結んだ上で労働力を必要とする企業に派遣します。労働時間に応じた派遣料金が利益となる仕組みです。そのため、短期間では大きな利益につながりません。

成功報酬として短期間により大きな利益を得られる観点からも、人材紹介は副業に向いているといえるでしょう。

人材紹介事業のビジネスモデルについては以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

副業として人材紹介業を運営する際の注意点

副業として人材紹介を行う際は、以下のような点に注意すると成功しやすいでしょう。

  • 免許がないと運営はできない
  • 将来的に法人化する場合は免許の引き継ぎができない
  • 業務委託の活用は違法性を問われる可能性がある
  • 本業の状況によっては職業紹介責任者を別途常駐させる必要がある
  • 他サービスとの差別化ができないとそもそも儲からない可能性がある

それぞれ詳しく解説します。

免許がないと運営はできない

人材紹介を行うには免許の取得が必須です。免許を取得するには、大きく分けて以下4つの要件を満たす必要があります。

  • 条件を満たす財産的基礎があること
  • 職業紹介責任者が適正に選任されていること
  • 個人情報に関する措置が適切に講じられていること
  • 事業所に関する要件を満たすこと(*1)

すべての要件を満たした上で免許を取得してから、人材紹介のサービスを運営しましょう。

人材紹介の免許を取得する方法に関しては以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

*1(引用)厚生労働省・都道府県労働局「職業紹介事業パンフレット-許可・更新等マニュアル-」

将来的に法人化する場合は免許の引き継ぎができない

個人事業主として人材紹介の免許を取得した場合、法人への引き継ぎはできません。事業が拡大し、節税面や信用面の理由から法人化を検討する場合、免許の再取得が必要です。

免許の再取得には、当然手間もかかります。将来的に法人化を目指すのであれば、事業をスタートさせる時点で法人形態にできないかを検討しましょう。

業務委託の活用は違法性を問われる可能性がある

副業の場合、本業との兼ね合いで効率化を目指すあまり、業務委託を活用したビジネスモデルを検討したくなるかもしれません。しかし、業務委託を活用したビジネスモデルは違法性を問われる可能性があるため、安易に選択すべきではありません。

人材紹介を行うためには免許、つまり厚生労働大臣の許可が必要です。職業安定法では、以下のように定められています。

「有料職業紹介事業者は、自己の名義をもつて、他人に有料の職業紹介事業を行わせてはならない。(*1)」

つまり、免許のない他人に人材紹介を委託することは違法となります。自身が行うビジネスに違法性がないかどうか確認するためには、事前に労働局に相談するのがおすすめです。

*1(引用)厚生労働省「職業安定法」第32条の10

本業の状況によっては職業紹介責任者を別途常駐させる必要がある

人材紹介業を行うためには、職業紹介責任者の選任が必須です。職業紹介責任者には以下のような役割があります。

  • 人材紹介業の運営
  • 求人者や求職者からの苦情処理
  • 個人情報の管理
  • 職業安定機関との連絡調整

責任者は常駐常勤が原則です。そのため、本業によって時間が割けない場合は、別の責任者を任命する必要があります。

責任者に任命するには、その人が職業紹介責任者講習を受講していることが必須です。副業で人材紹介業を始めるにあたっては、そもそも自分が責任者になれるのか、第三者に任せる場合は人材をどのように探すかも検討しておく必要があります。

他サービスとの差別化ができないとそもそも儲からない可能性がある

人材紹介は開業のハードルが低い分、他社との差別化を図ることが重要です。競合サービスを調査したうえで、差別化を図るために特定の分野に特化した求人を揃える、求職者へのサポート体制を充実させるといった施策が求められます。

他サービスとの差別化ができなければ自社に顧客が集まらず、思ったほどの利益につながらない可能性もあります。

必要に応じて、差別化につながるような資格の取得を目指すのもおすすめです。

人材紹介で役立つ資格は以下の記事で紹介しているので、参考にしてください。

人材紹介事業の免許取得のために、講座を受けているビジネスパーソン

副業として人材紹介業を運営する際に設定すべき手数料

人材紹介における手数料とは、採用が決定した会社から受け取る紹介手数料のことを指します。一般的に成功報酬型と呼ばれる手数料です。

この手数料が利益となるため、人材紹介業を副業で運営するにあたってはしっかりと仕組みを理解しておくべきです。

手数料を算出する方法と手数料の相場をそれぞれ解説します。

手数料を算出する方法

人材紹介における手数料の算出方法は、以下の2種類に分けられます。

上限制手数料厚生労働省が定めた料率を上限として手数料が算出される方法。
紹介した人材が6ヶ月を超えて雇用された場合、支払われた賃金額の11%
(免税事業者は10.3%)に相当する額が手数料の上限となる。
届出制手数料事前に厚生労働大臣に届け出た料率を使って手数料を算出する方法。
(*1)

届出制手数料の方がより大きい料率を設定できるため、人材紹介を行うほとんどの企業は届出制手数料を採用しています。

*1(参考)厚生労働省職業安定局「職業紹介事業の業務運営要領」

手数料の相場

多くの人材紹介業は届出制手数料を採用し、理論年収の25%~35%を手数料として設定します。上限制手数料を採用する場合は、支払われる賃金額の11%(免税事業者は 10.3%)が設定できる手数料の上限です。

理論年収とは想定年収とも呼ばれ、想定される年収を算出したものです。基本給×12ヶ月に賞与や諸手当などを足して算出されます。

競合サービスの状況も調査し、相場を踏まえた手数料を決定しましょう。

(記事のまとめ)副業として人材紹介業の運営を成功させよう

本記事では、以下の内容を解説しました。

  • 人材紹介業が副業に向いている理由
  • 副業として人材紹介業を運営する際の注意点
  • 副業として人材紹介業を運営する際に設定すべき手数料

人材紹介は参入のハードルが低い職種であり、副業には向いています。ただし、免許を取得して労働局から許可を得た上で事業を行いましょう。

本記事を参考にして、副業として人材紹介業をはじめてみてはいかがでしょうか。


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