人材紹介で海外人材を紹介するメリットとは?具体的な手順も解説

近年、IT産業の急速な成長やダイバーシティの広がりにより、海外人材の需要が高まっています。競争が激しい人材紹介業にとって、海外人材の紹介は他社との差別化を図る上で重要な手段です。

しかし、「海外人材の紹介を行いたいけど資格や申請など、必要な手続きがわからない、、、」「日本企業に紹介する上で海外人材をどのようにサポートすれば良いかがわからない、、、」などとお悩みの方も多くいらっしゃると思います。

そこでこの記事では、日本で海外人材の紹介をするメリットと必要な手続き、海外人材を扱う上で必要なサポートについて解説していきます。

海外人材を紹介するメリットとは?

海外人材の紹介は、人材紹介会社にとって大きな利点があります。以下では、海外人材紹介のメリットについて紹介していきます。

他社との差別化

競争が激しい人材紹介業にとって他社との差別化は難しい課題です。以下の資料からわかる通り、民営職業紹介事業所数は2022年度時点で3万事業所近くに達しており、紹介会社間での人材や紹介先の獲得競争もより加熱化していることが伺えます。

出典:厚生労働省「民営職業紹介事業所数の推移

このような状況下では、他社との差別化がより重要な経営戦略となりますが、その有効な手段の一つとして、海外人材の紹介を行うことによって人材の専門性を高めることが挙げられます。特に近年の日本のIT産業では人工知能(AI)やブロックチェーンなどの新興技術の専門家が不足しており、国内での採用が難しい状況です。

また、専門家のみならず一般的なIT人材に関しても国内のエンジニアが慢性的に不足しており、需要に供給が追いついていない状況です。そのため、現在国内では海外エンジニアの需要が非常に高く、大手IT企業からベンチャー企業まで、海外の優秀なエンジニアの採用を強化する動きが盛んになっています。

また、技術職のみならず、深刻な人手不足である介護、建築といった専門職でも海外人材を積極的に採用する流れが強まっており、一般職においてもグローバル化、ダイバーシティの拡大に伴った海外人材の需要は年々高まっています。

こうした流れの中で、海外人材の紹介は大きな需要があり、自社の専門性を高める手段として非常に効果的と言えます。

取引先の拡大

海外人材を扱うことによって、より多様な企業に人材紹介を行うことができます。前述の通り、海外人材の需要は現在多くの業種で高まっており、海外人材を求めている企業も増えています。海外人材を扱うことによって国内の人材を扱うだけでは対応できなかったそれら企業のニーズに対応することができ、より多様な企業へ人材紹介を行うことができるようになります。

特に、国内での人材不足が深刻な介護や運送業、建築業、飲食業などにおいては、今まで国内人材だけでは補いきれなかった部分を海外人材の活用によって補える可能性があります。

海外人材紹介のデメリットとは?

海外人材の紹介には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。ここでは、海外人材紹介のデメリットについて、詳しく解説していきます。

言語と文化の壁

まず、海外人材を紹介するデメリットとして言語と文化の壁が挙げられます。海外人材が日本で業務を行う際には、日本語や日本のビジネス文化に適応する必要があります。

しかしながら、紹介する人材によっては日本語が十分に理解できていない場合や、異文化間のコミュニケーションがうまく取れない場合も多くあり、人材紹介後の業務に支障をきたす場合があります。こういった問題を未然に防ぎ、取引先との良好な関係性を築くためには、言語、文化面でのサポートも重要であり、一定の時間と労力が必要となります。

法的規制の複雑性

海外人材の紹介には国内人材の紹介とは異なる法的規制が適用される場合があります。

例えば、外国人が日本で働く際には、ビザの取得や労働許可などの法的手続きが必要ですが、これらの手続きは煩雑であり、時間と費用がかかることがあります。

また、外国人労働者に対する労働条件や就労制限に関する法律も日本国内と海外で異なるため、適切な法的サポートが不可欠です。

海外人材紹介を行うための具体的な手続き

これまで海外人材紹介のメリット、デメリットについて紹介してきましたが、実際に海外人材を日本企業に紹介するには様々な手続きが必要です。ここでは、海外人材紹介を行うための具体的な手続きについて、詳しく解説していきます。

特定技能の登録支援機関の申請をおこなう

特定技能外国人を紹介する場合は、特定技能の登録支援機関の申請が必要となります。
「特定技能」とは2019年に創設された、人手不足とされる12の分野で外国人の就労が可能な在留資格のことを言います。特定技能外国人とはその在留資格を持っている外国人のことです。

この資格の創設により、海外人材の日本国内での雇用が活発化することが期待され、日本産業の人材不足を解決する足がかりとして注目されています。特定技能について詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
特定技能とはどんな在留資格?制度や技能実習との違い、採用方法をわかりやすく解説

「登録支援機関」とは、特定技能外国人を採用する企業に代わって、外国人への生活や職務に必要なサポートをする団体です。特定技能を持った外国人を紹介するには人材会社が「登録支援機関」として認められる必要があります。

申請には複数の要件があり、以下の法務省のホームページから確認できます。
出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律


また、申請に必要となる種類は以下の4つです。

・登録支援機関登録(更新)申請書
・立証資料(登記事項証明書、定款又は寄付行為の写し、役員の住民票の写し等)
・手数料納付書
・返信用封筒(角形2号封筒に宛先を明記の上、470円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの)


各提出書類と一覧表は以下の法務省のホームページからダウンロードできます。
登録支援機関の登録申請 | 出入国在留管理庁

有料職業紹介事業許可証の取扱職種の範囲を変更する

現時点で国外にいる海外人材を紹介する際は、有料職業紹介事業許可証の取扱範囲の変更が必要となります。有料職業紹介事業許可証の「取扱職種の範囲等」と記載された欄に「国内」とのみ記載されている場合、取扱範囲を変更するために申請書類を管轄の労働局に提出しましょう。必要となる書類と要件は以下の表からご確認ください。

この変更手続きを行わないまま海外人材の紹介を行なった場合、30万円以下の罰金が課される対象となりますので忘れずに届出をしましょう。

海外人材の紹介を行う上で意識すべきこと

海外人材の紹介は言語や文化の違いから様々な問題が起こりやすいです。こういった問題に適切に対応し、外国人労働者の長期雇用に繋げるために意識すべきことについて解説していきます。

言語面でのサポート

海外人材を日本企業に紹介する際には、言語面でのサポートが欠かせません。外国人労働者が日本で業務を行う際には、日本語の理解やコミュニケーション能力が必要です。また、「特定技能」ビザを取得するためにも日本語能力評価試験で一定の基準に達している必要があります。日本語能力評価試験には

・「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」
・「日本語能力試験(JLPT)」


の2種類があり、それぞれA2レベル、N4以上の取得がビザ取得の条件になっています。紹介後のトラブルを防ぎ、取引先と良好な関係を築くためにも、日本語のトレーニングや通訳サービスの提供など、言語面でのサポートをしっかりと行いましょう。

文化面でのサポート

海外人材を日本企業に紹介する際には、文化面でのサポートも重要です。日本企業での業務においては、日本独自のビジネス文化や社会慣習に適応する必要があります。そのため、日本のビジネスマナーや社会常識、礼儀作法などを外国人労働者に適切に伝えることが重要です。

また、日本の文化を伝えるだけでなく、労働者側の文化についても汲み取り、誠実な対応をすることが大切です。特に食文化や宗教観の違いなどについてはしっかりとヒアリングを行い、企業に紹介する際もそれらの事情を考慮した上で紹介先を選びましょう。これらの文化的差異について適切に対応することで、外国人労働者と会社の信頼関係が構築され、長期の雇用契約維持に繋がります。

海外人材紹介の展望

海外人材の日本企業への紹介は今後ますます重要性を増すことが予測されます。最後に海外人材紹介の将来的なトレンドと展望について、詳しく解説していきます。

グローバル化の加速

近年、世界経済のグローバル化が進展しています。このグローバル化の流れにより、日本企業もますます国際市場での競争力を高める必要が生じています。そのため、日本企業が海外人材を積極的に採用し、国際的なチームを形成する動きが加速することが予測されます。

特に、技術分野や専門職における海外人材の需要が高まると考えられます。例えば、AIやIoTなどの新興技術を活用したプロジェクトにおいては、世界中から優秀な技術者を採用することで、イノベーションを加速させることが期待されます。

多様性の重視

また、多様性の重視が進む中で、日本企業も多様な人材を積極的に採用する動きが加速することが予測されます。多様なバックグラウンドや文化的な視点を持つ人材が、企業のイノベーションや成長に貢献することが期待されます。

このような多様性の重視の中で、日本企業が海外人材を採用する機会が増加すると予測されます。特に、外国人留学生や日本で働く外国人労働者の数が増加する中で、日本企業は多様な人材を積極的に採用していくと予想されます。

技術の発展とリモートワークの普及

さらに、技術の発展とリモートワークの普及により、海外人材の紹介や採用がより柔軟になると予測されます。特に、オンライン面接やリモートワークを活用することで、地理的な制約を乗り越えて、世界中から優秀な人材を採用することが可能になります。

このような技術の進化により、海外人材の紹介プロセスが効率化され、日本企業がより簡単に海外人材を採用することができるようになると考えられます。

まとめ

この記事では、海外人材を日本企業に紹介するメリットと方法、意識すべき点について解説しました。専門職の人手不足やIT産業の発展、グローバル化の広がりなどによって国内における海外人材雇用の流れは今後ますます広がっていくと考えられます。海外人材の国内企業への紹介は国内産業の発展に寄与するとともに大きなビジネスチャンスにもなり得ます。海外人材と日本企業が長期的な雇用契約を維持できるようにするためにも、必要な手続きやサポートをしっかりと意識した上で紹介事業を行なっていくことが大切です。

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