企業が円滑にビジネスを進めていくためには、良好なコミュニケーションが欠かせません。
社員同士のコミュニケーションが活発になれば、生産性の向上や社員満足度の向上なども期待できます。*1
しかし、社内コミュニケーションに「課題を感じている」人は57.2%です。*2
そこで今回は、社内でコミュニケーション課題が生まれる原因と、上司と部下のコミュニケーションの取り方を紹介します。
コミュニケーション課題の原因
上司と部下の間でコミュニケーション課題が生じる原因は、さまざまなものがあります。
・世代間ギャップ
・経験や知識の違い
・リモートワークの増加
世代間ギャップ
上司と部下との間でコミュニケーションがうまくいかない原因として、「世代間ギャップ」があります。
企業の上司・部下を対象とした世代間ギャップに関する調査では、部下の51.6%、上司の44.8%が世代間ギャップを「感じている」と回答しました。*3
日本人は同じ日本語をしゃべって生活をしているため、自分の話や気持ちは通じていると信じています。
しかし、生まれた時代や育った環境、個人の体験などによって、それぞれの脳みそにバージョンの違うパソコンが搭載されているようなものなのです。*4
働き始めた時期の時代背景などによって、価値観や会話の特徴が異なり、世代間のコミュニケーション課題が生まれています。
経験や知識の違い
上司と部下では、仕事における経験や知識の量に差があることも、コミュニケーション課題が生じる原因のひとつです。
上司は、自分と部下には経験や知識に差があることを前提としてコミュニケーションを取らなければ、言いたいことが正確に伝わりません。
「言っていることが理解できない」「指示が不明瞭」という状況が続くと、部下はコミュニケーションに苦手意識を持ちやすくなってしまいます。
リモートワークの増加
コロナ禍の影響で急速にリモートワークが広がり、オンライン会議が増加しました。
オンライン会議が増えたことで、対面で会議を行っていたときより「メンタルが疲労するようになった」と感じている人が増えています。*5
さらに、「相手の表情が分かりにくく、相手の感情が読み取れず考え込んでしまい疲労を感じる」「雑談がしづらく、本筋の話しかできないためアイデアの発散がしづらい」など、コミュニケーションに課題を感じている人もいるようです。*5
リモートワークが定着したことで、オンライン上でのコミュニケーションにおける「疲労感」や「質の低下」などの課題が出始めています。
部下とのコミュニケーションの取り方
そのような中、部下とのコミュニケーションを円滑にするために、どのようなことが必要なのでしょうか。
以下の点から考えてみましょう。
・相談しやすい雰囲気をつくる
・挨拶や感謝の言葉を大切にする
・ポジティブな言葉を使う
・個別ミーティングを設定する
相談しやすい雰囲気をつくる
まずは、相談しやすい雰囲気をつくることから始めましょう。
忙しい雰囲気を出していると、部下は声をかけられず相談ができなくなってしまいます。
相談しやすい雰囲気をつくるためには、「部下に話しかけられたら作業の手を止める」
「部下の目を見て話しを聞く」などの工夫が必要です。
相談しやすい雰囲気をつくることで、部下は相談や報告を積極的に行うようになり、コミュニケーション不足によるミスを防ぐことができます。
さらに、上司や先輩社員とのコミュニケーションの頻度が多いほど、会社への好感度が高く、仕事へのやりがいを感じるという調査結果もあります。*6
相談しやすい雰囲気をつくり、コミュニケーションの頻度を増やせば、部下のモチベーションを高めることにもつながるでしょう。
挨拶や感謝の言葉を大切にする
出勤時や退勤時の挨拶をしたり、日頃から感謝の気持ちを言葉に出したりすることで、人間関係を良好にすることができます。
挨拶のときに目と目を合わせるだけでも、部下は「自分に関心を持ってくれている」と感じ、信頼関係を強くするのに役立つでしょう。
挨拶や感謝の言葉を大切にできている職場は、職場内の雰囲気もよくなり、コミュニケーションの活性化につながります。
ポジティブな言葉を使う
部下と話すときには、ポジティブな言葉を使うことを意識しましょう。
ポジティブな言葉を使うことで、お互いの気持ちが明るくなります。
また、部下を褒めることも大切です。
8割以上の人が、上司から「ほめられたい」と思っています。*7
自分の行動に対して「いいね」と認めてもらえ続けると、そのことに勇気をもらい、励まされ、「頑張ろう」とポジティブに動くようになります。*8
個別ミーティングを設定する
リモートワークを行っている企業では、個別ミーティングを設定することもおすすめです。
リモートワークでは、業務でわからないことや悩み事があっても、気軽に相談することができず、孤独感や寂しさ、不安などのネガティブな感情を抱きやすくなります。
そのため、部下の体調、メンタル面を含めた状態を把握するために、リモートで個別ミーティングを行いましょう。
部下が自分の悩みや抱えている問題を自由に話せる場を設け、コミュニケーションを取る機会を増やすことで、モチベーションの低下や離職を未然に防げるようになります。*9
上司とのコミュニケーションの取り方
次に部下目線で見た時、上司とコミュニケーションを取る際に必要なことはどのような点にあるのでしょうか。
以下、見ていきましょう。
・上司の視点で考えてみる
・報連相を行う
・アドバイスを求める
上司の視点で考えてみる
部下にもやはり、上司の視点や立場に立って物事を考えてみることが必要です。
仕事を任せられたときや、トラブルを上司に相談・報告するときに、「自分が上司ならどうするのか」「部下がどう動けば助かるのか」などと考えてみてください。
上司が「何を考えてこの指示を出しているのか」などが理解できるようになり、コミュニケーションが取りやすくなります。
また、上司の仕事の進め方を真似したり、上司が大切にしていることを取り入れてみたりするのもおすすめです。
報連相を行う
仕事を進める上で、こまめな「報告」「連絡」「相談」を行うことは非常に大切です。
部下が上司に現状を報告すれば、上司はすぐに適切な判断を行って、新たな指示を出すことができます。
また、問題やトラブルが発生してもすぐに相談すれば、大きなトラブルになる前に早急に対処することが可能です。
つまり、報連相を行う習慣が身につけば、コミュニケーション不足によるミスを減らし、業務効率を向上させることができます。
アドバイスを求める
上司にアドバイスを求め、そのアドバイスに基づいて業務を進めることで、上司から信頼されるようになります。
その結果、上司も部下の意見に耳を傾けるようになったり、注意して気にかけてくれたりするようになるでしょう。
まとめ
良好なコミュニケーションは、職場の雰囲気を明るくし、業務効率を上げるだけでなく、あなた自身の成長も促進させます。
上司と部下が良好なコミュニケーションを行うためには、世代も価値観も異なる二人が歩み寄り、信頼関係を構築することが必要です。
日頃からコミュニケーションの取り方を意識し、長期的な目線でコミュニケーション力を高めていきましょう。
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<エビデンス>
*1 マイナビウーマン「ビジネスコミュニケーションについて。目的やメリット・能力向上させる方法」
*2 マイナビニュース「正社員57%「社内コミュニケーションに課題を感じる」、どんな課題?」
*3 マイナビニュース「上司・部下1,000人に調査! 「片思い上司」と「仮面部下」の実態」
*4 日経ビジネス「なぜ上司と部下は言葉が通じない 世代間ギャップと使う言葉の違い」
*5 マイナビウーマン「オンライン会議でメンタル疲労? コミュニケーションへの影響を調査」
*6 マイナビBiz「新入社員のエンゲージメントと職場環境に関する調査 (2021年)」
*7 マイナビニュース「部下から見た「上司のコミュニケーション能力」の問題点、1位は?」
*8 東洋経済ONLINE「「イマドキの部下」の扱いに悩む上司に欠けた視点」
*9 DIAMONDonline「テレワークでは上司と部下の「個別ミーティング」が重要な理由」
【著者】髙橋 めぐみ
求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供するプライム市場上場企業(元 東証1部)に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在はこれまでの経験を活かし、人材や教育に関する記事を中心にフリーライターとして活動中。