近年のマーケティングにおいて重要視されている概念に「顧客ロイヤルティ」があります。
顧客ロイヤルティは、顧客である求人企業と末永いお付き合いを続けていく鍵を握るものです。
しかし、
「顧客ロイヤルティとは何なのか、いまひとつ理解し切れていない」
「具体的に何をすれば顧客ロイヤルティが高まるのかイメージできない」
という声をよく聞きます。
そこで本記事では「人材紹介会社の顧客ロイヤルティの高め方」を、初心者の方にもわかりやすく解説しましょう。
顧客ロイヤルティとは何か
そもそも「顧客ロイヤルティ」とは何なのか、基礎知識から見ていきましょう。
ロイヤルティ=忠誠心
顧客ロイヤルティ(Customer Loyalty、CL)とは、直訳すれば「顧客忠誠心」という意味になります。
何に対する忠誠心かといえば、“競合他社に浮気することなく、継続して特定の企業やブランド、商品・サービスを購入し続ける”ことを指しています。
「顧客忠誠心」の直訳は日本語としてわかりづらいため、一般的には「顧客ロイヤルティ=愛着や信頼」と解説されることが多いでしょう。
愛着や信頼は漠然とした言葉ですが、ここに“忠誠心”のニュアンスが含まれることを押さえると、顧客ロイヤルティの概念を理解しやすくなります。
「この企業・このブランドを、ずっと選び続ける」と忠誠心を持つほどの強い愛着や特別な信頼を、顧客ロイヤルティと呼びます。
人材紹介会社の顧客ロイヤルティとは
次に、人材紹介会社の顧客ロイヤルティについて考えてみましょう。
あなたの人材紹介会社の顧客企業のなかで、あなたの会社に対して高い顧客ロイヤルティを持っている企業は、こんな思いを抱いています。
・これから先も、人材紹介はずっとこの会社に任せたい
・ほかの会社には依頼したくない、この会社だからお願いしたい
・同じお金を支払うなら、この会社に支払いたい
「この会社がいい、この会社でなければ嫌」という“こだわり”が見られるのが特徴です。
顧客ロイヤルティの高い顧客企業は、こちらから営業をかけなくても自発的にリピート発注し、頻度や金額も高くなる傾向にあります。
ロイヤル顧客が増えるほど売上は上がりコストは下がる
人材紹介会社が、なぜ顧客ロイヤルティを高めるべきなのか?といえば、その理由は事業の安定的な収益に直結するからです。
顧客ロイヤルティが高い顧客のことを「ロイヤル顧客」と呼びますが、ロイヤル顧客が増えるほど売上は上がり、コストは下がります。
ロイヤル顧客は、多額の営業コストや広告コストをかけなくてもリピート受注が見込める、企業の利益への貢献度が高い顧客です。
ロイヤル顧客の育成なしには、中長期的な事業成長は見込めないといっても過言ではありません。
顧客ロイヤルティを高める3つの重要ポイント
人材紹介会社の経営を軌道に乗せ、安定的に成長させるために欠かせない「顧客ロイヤルティ」ですが、何をすれば高まるのでしょうか。
押さえておきたい3つの重要ポイントを解説しましょう。
・ニーズに対する“基本的な顧客満足”を提供する
・感情が大きく動く“特別な顧客体験”を創出する
・自分たちが何者なのかを明らかにする
(1)ニーズに対する“基本的な顧客満足”を提供する
1つめのポイントは「ニーズに対する“基本的な顧客満足”を提供する」ことです。
顧客満足(Customer Satisfaction、CS)は、顧客ロイヤルティを醸成する基礎といえます。顧客満足度が低ければ、顧客ロイヤルティが高まる前に顧客離反が起きるためです。
最近は「顧客満足よりも顧客ロイヤルティが重要」という勘違いのもと、顧客満足を軽視するケースが散見されますが、これは誤りですから注意しましょう。
顧客ロイヤルティを高めたいのであれば、まずは愚直に顧客満足度を高めることが必須です。
顧客が抱えるニーズにきっちりと応え、高い顧客満足度をキープできているか、点検してください。顧客ロイヤルティを考えるのは、この基礎がしっかりできてからです。
(2)感情が大きく動く“特別な顧客体験”を創出する
2つめのポイントは「感情が大きく動く“特別な顧客体験”を創出する」ことです。
前述のとおり、顧客満足は顧客ロイヤルティを醸成するための必要条件ですが、顧客満足度を高めるだけでは顧客ロイヤルティは高まりません。
顧客ロイヤルティを高めるために重要なのは「感情レベルの結びつき」です。
感情レベルの結びつきを作るために必要となるのが、感情が大きく動く特別な顧客体験(Customer Experience、CX)となります。
▼ 感情が大きく動く特別な顧客体験の例
・あっと驚いて声も出ないほどの素晴らしいサービス
・思わず感謝の念が湧いて止まらない特別な対応
・「本当によくわかってくれている」と感激するやり取り
言い換えれば「忘れられない体験」の創出が、顧客ロイヤルティのスイッチを入れるきっかけとなります。
あなたの会社では、顧客企業にどんな「忘れられない体験」を残しているか、考えてみましょう。
(3)自分たちが何者なのかを明らかにする
3つめのポイントは「自分たちが何者なのかを明らかにする」ことです。
私たちは、“よくわからない相手”に忠誠心を抱くことはできません。
相手がどんな考え方で、どんな性格で、どんな信念を持ち、どんな思いを抱いているのか知りながら、徐々に好感を持ち、尊敬し、信頼し、愛着を抱く——という具合に、「相手を知るプロセス」が必須です。
顧客ロイヤルティにおいても、「自分たちが何者なのか、何を果たす存在なのか」をはっきりさせ、自己開示することが重要な意味を持ちます。
▼ 自己開示の例
・コーポレートサイトの企業理念ページを充実させる(ミッション・ビジョン・バリュー、行動規範、メッセージの掲載など)
・商談時には営業トークだけでなく自社のビジョンを語る
・ときには担当者と深い話をして思いを打ち明ける
なお、そもそも自分たちが何者なのか、明確に定義できていない場合には、ぜひこの機会に定義することをおすすめします。
顧客ロイヤルティの醸成に貢献するのはもちろん、組織が成長していく指針となるはずです。
さいごに
最後にひとつ付け加えるなら、「有事の際の対応」は顧客ロイヤルティに大きく影響を与えると感じます。
例えば、想定外のトラブルに見舞われたとき、プライベートで大変な状況に陥ったとき、大きなピンチに見舞われたとき——など、“困ったときにしてもらった対応”を、人は忘れないものです。
筆者自身、家族が緊急手術することになり、仕事に支障を来した経験があります。
そのとき、温かい言葉をかけてくださった取引先企業の担当者へのご恩は一生忘れませんし、先方に困ったことがあれば、できる限り力になりたいという“忠誠心”を持っています。
「顧客ロイヤルティを高める」と表現すれば、マーケティング手法としての側面が強く感じられるでしょう。
しかし手法のテクニックより重要かつ効果的なのは、「本当に相手を思う気持ち」ともいえるかもしれません。それが意図せず露呈するのが「有事の際の対応」です。
いざというとき、私たちは顧客企業に何ができるのか——。そんな自問自答こそ、本物の顧客ロイヤルティの醸成につながっていくことでしょう。
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【著者】三島 つむぎ
ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。