注目を集める「お試し転職」とは 副業から始める天職の掴み方を考えてみよう

現代は、動きが早く先が読めない時代です。経団連が終身雇用の見直しを発言した(*1)こともあり、今後、多くの企業は終身雇用(メンバーシップ制雇用)からジョブ型雇用へ移っていく流れは、間違いがないでしょう。

人生が長くなり、転職を考える人もますます増加していくと思われます。

「ジョブ型」雇用の時代になると、誰もが転職を考えざるを得ない

そんな環境にあっては、長い人生をずっと一つの会社の中で過ごして本当にいいのだろうか?と悩むこともあるでしょう。

とは言っても、まだまだ終身雇用前提の「続けることがよし」とされている日本文化。転職へのハードルは高いと思っている方も多いかもしれません。

会社を辞めたいけれども、「転職先がなかったらどうしよう」「転職に失敗したらどうしよう」と心理的なハードルがあって、なかなか踏み切れないというのが本音でもあるでしょう。

特に新卒からずっと同じ会社に勤めている場合、そもそも転職の経験値がゼロです。

周囲から、転職の失敗談を耳にすることもあるでしょう。

「毎月入ってくる給与」が突然なくなるのが怖い人がいても、何も不思議なことではありません。

そんな中、時代の変化とともに、空いた時間に「副業として」別の仕事を体験する方法が広がりを見せています。

要するに、自分が持っているスキルを細分化して、まずは副業で売ってみるのです。

そして、問題なければ転職するーーそんな「お試し転職」「副業転職」や「社会人インターンシップ」に注目するビジネスパーソンが増えています。

お試し転職とはどんなもの?

お試し転職・副業転職とはどういったものでしょうか。以下は日経新聞の記事です。

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「お試し転職」。副業で業務を経験してからの転職はこう呼ばれるようになった。1人を採用することのインパクトが大きい小規模なスタートアップやベンチャー企業を中心に広がりを見せている。

前出の副業・転職マッチングサービスを運営するYOUTRUST(東京・渋谷)が20年9~10月に利用者235人から回答を得た調査では、副業経験があると答えた153人の中で「今の副業先に転職する可能性がある」「すでに副業先の企業に転職した」人は計37.3%に上った。同年11~12月の調査(利用者294人が回答)では、「21年にチャレンジしたい働き方」として回答者の38.4%が「転職を見据えてお試し転職をする」を選んだ。従来のような一般的な「転職をする」と回答した割合(32.7%)を上回った。(*2)

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この方法は、実は応募側にも採用側にも利点があるようです。

応募側のメリットとしては、将来やってみたい仕事や会社の実像が、詳細に見えることがあります。また、自分の向き不向きもわかります。

採用側は、採用前に、「自社の組織文化に合うかどうか」が、一緒に働くことで見えるのです。

お互いに情報が見えない中で面接を何度も繰り返し、言葉によって相手を理解するよりも、実際に仕事をして、相手の人柄や実力を見た方が、ずっとわかることが多いーーこれはビジネスパーソンなら皆、ある程度は実感できるのではないでしょうか。

副業で事務職が体験できる時代

「お試し副業」が広まってきた背景には、2つの理由があると思われます。

1つは、副業を解禁する会社が増えたこと。

もう1つは、それに伴い、副業自体が増えてきたことです。なかには副業専門のマッチングサイトも登場しています。

以前、副業の仕事内容といえば、デザイナーやプログラマー、ライターなど特殊な能力に偏ったイメージがあったかもしれません。

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これまでクラウドソーシングというと、どうしても単純作業か、プログラマー、デザイナー、イラストレーター、通訳といった特定の職業に偏りがちでした。しかし、リモートワーク先進国のアメリカではもっと広がりがあって、離れて仕事をしている人たちを束ねるプロジェクトマネジャーや、何かトラブルが発生したときに先方と対応して調整する人が必要になっています。これは、オフィス勤務のホワイトカラーが日々やっていることです。つまり、ホワイトカラーの仕事もリモートワークの対象になってきているのです。

実際、ぼくはリモートで東京のカンファレンスやイベントにボランティアで参加して、プロジェクトマネジャー的な仕事をしています。

(*3)

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この本は少し前(2018年)に書かれた本ですが、この通りのことが日本でも起きています。

副業の種類もどんどん増えつつあります。副業サイトを検索してみると、「秘書」「事務職」「エンジニア」「セールス」「プロジェクトマネージャー」「PR」など様々です。ホワイトカラーの仕事の多くが「副業」市場に出ているのです。

例えば、知り合いのある方は、日本でパートタイムでまとまった仕事をしながら、空いた時間に複数人のオンライン秘書を請け負っています。

別の方は、デザイナーをしながら、企業のカスタマー・サポートとして週に数時間だけ時給で働いています。普段はマーケティング担当として企業で働きながら、空いた時間で語学教師をしている方もいます。

こんなふうに細かく副業する人は非常に増えてきました。

「社会人インターンシップ」という方法もある

そうは言っても、業界が特殊だったりして、「何の技術もないのに、どうやっていきなり副業するのか」と不安な方もいると思います。

まったくの初心者が目指せるものとしては「社会人インターンシップ」があります。社会人インターンシップとは、社会人が、企業の現場で一定期間の勤務体験をするものです。こちらは副業と違い、有償・無償があります。ただし、副業と違って、一定の年齢制限を求めるところも多いようです。まったく未経験の場合はボランティアからはじめる方法もありでしょう。

労働市場が柔軟になってきた今、副業を通して働き方の可能性を広げていく方法が、広がっているのです。


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【エビデンス】
*1 日本経済新聞「雇用制度全般の見直しを」中西経団連会長
*2 日本経済新聞 「お試し転職」じわり広がる 副業が人材流動化に風穴
*3 尾原 和啓. どこでも誰とでも働ける12の会社で学んだこれからの仕事と転職のルール Kindle 版


【著者】のもときょうこ
早稲田大学法学部卒業。損保会社を経て95年アスキー入社。雑誌「MacPower」「ASAhIパソコン」「アサヒカメラ」編集者、「マレーシアマガジン」編集長などを歴任。著書に「日本人には『やめる練習』が足りていない」(集英社)「いいね!フェイスブック」(朝日新聞出版)ほか。編集に松井博氏「僕がアップルで学んだこと」ほか。2013年ごろから、マレーシアの教育分野についての情報を発信している。