子育てをしながら働く女性の転職 どう会社を選ぶ?注意点は?

仕事と子育てを両立している女性のことを「ワーキングマザー」と呼びます。
ワーキングマザーは近年増加しており、厚生労働省でも女性の働き方について様々な政策が行われています。*1
しかしワーキングマザーには多くの障害があり、自分のキャリアや働き方について悩んでいる女性は多くいます。

そこで今回は、ワーキングマザーの現状や、子育て中の転職先選びと面接での注意点など、ワーキングマザーとして活躍していくために必要なことについてお伝えしていきます。

ワーキングマザーの現状

ここでは、2つの調査結果からワーキングマザーの現状について確認していきます。

今の会社の働きやすさ

初めに会社の働きやすさについて確認します。

マイナビ転職が子育て中の女性会社員・公務員800名を対象に「職場の働きやすさ」に対する調査を行いました。

「今の職場の働きやすさを100点満点で表すと」という質問に対する結果は、満足度の高い「90点以上100点未満」の割合は、全体では20.9%でした。*2

(引用)NHK大学生とつくる就活応援ニュースゼミ「会社の子育て支援 理想と現実にはまだ差が

中小企業と大企業で比較すると、「90点以上100点未満」の割合は中小企業が16.6%、大企業が25.3%であり、大手企業のほうが8.7ポイント満足度が高いことがわかります。

大企業の方が、ワーキングマザーが働きやすい環境が整っているようです。

子育て支援制度の理想と現実

次に子育てしながら働くために、勤め先にすでに制度として存在するものと、あったらうれしい理想の制度のギャップはどうなっているのかを確認していきます。

まずは中小企業です。

(引用)NHK大学生とつくる就活応援ニュースゼミ「会社の子育て支援 理想と現実にはまだ差が

最も理想と考える制度は「時短勤務を利用できる(65.5%)」です。
制度がある企業が62.0%にまで達しており、理想と現実のギャップは小さく、多くの女性が制度を利用できる環境にあることがわかります。

しかし「子供の看護休暇(制度あり29.5%/理想の制度52.5%)」や「時差勤務・フレックスタイム制(制度あり26.8%/理想の制度51.0%)」など、多くの部分で理想と現実のギャップが見られました。

制度が整っていないことによる「働きづらさ」を感じている女性が一定数いることが分かります。

一方大企業では下記の結果となりました。

(引用)NHK大学生とつくる就活応援ニュースゼミ「会社の子育て支援 理想と現実にはまだ差が

大企業でも「理想」とする制度の1位は「時短勤務を利用できる(制度あり83.5%/理想の制度77.8%)」であり、理想よりも上回る結果となりました。

他の項目についても中小企業と比べ理想と現実のギャップはそれほど大きなものではなく、大企業の方が制度が整っていることが分かります。

しかし、「事業所内保育施設の利用(制度あり10.8%/理想の制度42.3%)」、「在宅勤務の利用(制度あり43.5%/理想の制度65.5%)」など、理想にはまだ遠い制度もあるようです。*3

ワーキングマザーの健康状態

続いて、ワーキングマザーの健康状態を確認していきましょう。

ウェルネスライフサポート研究所が行った「働く母1000人実態調査~健康×子育て×働き方~」の調査結果をみていきます。

下記のグラフは妊娠中、育休復帰後、現在のそれぞれで心身の不調を感じている女性の割合です。

妊娠中は93.3%、育休復帰後は86.4%、現在でも82.2%という結果になりました。*4
ワーキングマザーの多くは、妊娠中から現在に至るまで心身に何らかの不調を抱えています。

ワーキングマザーのマイナスの感情

ワーキングマザーの精神の状態も、深刻な状態となっています。

女性が仕事と育児を両立していく中で、職場や家族に対して何らかの「罪悪感」を抱えている割合は63.4%です。*4

さらに何らかの「不安」を感じている割合は65.7%、現状を「つらい」と感じている割合は73.1%となりました。

多くのワーキングマザーが、精神的に何らかの問題を抱えながら働いています。

ウェルネスライフサポート研究所の調査結果から、ワーキングマザーは心身ともに常に葛藤をしながら働いていることが見えてきました。

このような状況が続くと、心身不調でパフォーマンスが落ち、仕事の継続が困難になってしまいます。
長く働き続けていくためには、回りのサポートを受けながら、自分の身心と向き合い、罪悪感、不安感、つらさを少しずつ取り除いていくことが必要です。

ワーキングマザーとして活躍するためには

ワーキングマザーとして活躍していくためには、自分の心身と向き合いながら、働きやすい環境を選んでいく必要があります。

自分らしく働くためのヒントとして、下記の3つを参考にしてください。

・自分のやりたいことを明確にする
・働きやすい環境を選ぶ
・自分に合った働き方を模索する

自分のやりたいことを明確にする

ワーキングマザーとして活躍するために重要なことが、「自分がやりたいことは何なのか」「何のために働くか」を明確にすることです。

そして、自分がやりたいことを実現するための方法を考えましょう。

例えば「子育てを重視して時短勤務を選択する」「保育園やベビーシッターを活用しながらフルタイムで働く」「福利厚生が整っている会社に転職する」など様々な選択肢があります。

「育児と仕事が両立できて、どちらも順調にいっていればそれでいい」と漠然と考えていると、「本当はキャリアを諦めたくなかった」「もっと子どもとの時間を作ればよかった」などと後悔する可能性があります。

自分の気持ちに蓋をしていては、不安感やつらさを取り除くことはできません。
やりたいことを明確にすることで、ポジティブな気持ちで働くことができるようになります。

働きやすい環境を選ぶ

ワーキングマザーとして活躍するためには、「働きやすい環境」を選ぶことが大切です。
時短勤務や在宅勤務などの柔軟な働き方ができるのか、有給休暇が取りやすいか、などを確認してみましょう。

また、上司との人間関係もポイントです。
マイナビが行った調査では、職場の環境を「働きやすい」と感じているワーキングマザーは、「上司や同僚との人間関係が良好」「上司に相談しやすい環境である」と答えています。*3

部署異動を希望する場合や、転職を検討する場合には、ワーキングマザーへ対する理解度を測るための1つの手段として、上司や管理職に子育て経験者のある女性がいるかどうかを確認するのがおすすめです。

自分に合った働き方を模索する

自分の状況に合った働き方を模索しましょう。
一度選択したからといって、ずっとその働き方をしなければならないわけではありません。

例えば、復帰直後は時短勤務をしながら子どもとの時間を確保しつつ、子どもが保育園に慣れてきたタイミングで、一度フルタイムに戻ってみるのも1つの方法です。

保育園には夜7時すぎまで預かってくれるところや、土曜日の預かり保育を実施しているところもあります。
家事が心配な方は、家事代行サービスやシッターさんなどの活用を検討してみしましょう。

逆にフルタイムで働いてみたけど、やはり時短勤務にするという選択肢もあります。

会社と相談して様々な制度やサービスを活用しながら、自分に無理のない働き方を模索することが大切です。

転職先選びと面接での注意点

ワーキングマザーの転職活動は容易なことではありません。
しかし、多くのワーキングマザーが転職を成功させていることも事実です。

「今の職場では子育てと仕事が両立できない」「自分らしく働けない」という場合は、怖がらずに転職を検討しましょう。

ここでは、ワーキングマザーの転職先選びと面接での注意点についてご紹介します。

転職先選び

転職先選びでは、2つのポイントをお伝えします。

・働きやすい制度・風土があるか
・職場と自宅と保育園の距離

働きやすい制度・風土があるか

1つ目は、ワーキングマザーが「働きやすい制度・風土があるか」です。

時短勤務やフレックス勤務制度など、柔軟な働き方ができる制度が整っていると安心してしまいます。
しかし、制度はあっても利用実績が無い、配属予定部署では利用対象外という可能性もあります。

求人情報や会社のホームページなどの情報をチェックし、実際にワーキングマザーがどのように働いているかを確認しましょう。

厚生労働省が子育てサポート企業と認定した企業に与える「くるみんマーク」を取得しているどうかも判断の材料になります。*5

職場と自宅と保育園の距離

2つ目は「職場と自宅と保育園の距離」です。
自分のやりたいことや勤務条件を重視していると、優先度が低くなってしまう条件です。

しかし職場と自宅が近ければ、通勤時間を短縮できます。
その時間を家事にも仕事にもあてることが可能です。

さらに保育園など預け先から急なお迎え要請があったときにも、勤務先が近ければすぐに駆けつけることができます。

職場と自宅と保育園の距離は、仕事と子育てを両立するためには重要なポイントです。

面接での注意点

面接官から「残業対応や休日出勤」などを質問をされた場合は、できることと、できないことをはっきりと伝えるようにしましょう。
選考を通過したい気持ちから「できる」と回答してしまうと、入社後に迷惑をかけることになります。

もし子どもの話や働き方の話をしたときに、否定的な反応が多い場合は、ワーキングマザーへの理解がない会社の可能性があります。
内容によっては質問そのものが不適切なケースもあるでしょう。
そのような場合は、入社を再検討しても良いかも知れません。

まとめ

子育てと仕事を両立するのは、想像以上に大変です。
決して無理をしすぎず、ワーキングマザーとして長い目線でキャリアを積み重ねていってください。

今の会社では思うように働けないと感じたときには、転職も検討してみましょう。
忙しくて転職する余裕もないという人は、人材紹介会社に相談するのがおすすめです。

今はつらいことが多いかもしれませんが、「ワーキングマザーとして頑張ってきた」という経験も、とても貴重な財産になります。

子どもの成長に寄り添いながら、自分は何をしたいのか、どのようなキャリアを築いていきたいのかを大切にしてください。


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エビデンス】
*1 厚生労働省「働く女性に関する対策の概況
*2 NHK大学生とつくる就活応援ニュースゼミ「会社の子育て支援 理想と現実にはまだ差が
*3 マイナビ転職「ワーキングマザーの職場の働きやすさは平均69.6点。評価に「上司、同僚との人間関係」が影響
*4 CANVAS「ワーキングマザーの8割超が心身の不調、心の不調は37.9%が「何もしていない」
*5 厚生労働省「くるみんマーク・プラチナくるみんマークについて


【著者】髙橋 めぐみ
求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供する一部上場企業に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在はこれまでの経験を活かし、人材や教育に関する記事を中心にフリーライターとして活動中。