マミートラックとは?マミートラックのメリットとデメリット、対処法を解説

「マミートラック」とは、出産を終えて仕事に復帰したママが、出世コースから外れて昇進や昇給の道が遠のいたり、閉ざされてしまったりするキャリアコースを指す言葉です*1。

以前は営業として第一線に立ち、バリバリ働いていた女性が、
「子どもがいてフルでは働けないから」
などの理由でキャリアダウンし、資料作成やスケジュール管理、報告書の作成などを行う営業アシスタントに異動させられる人事などを指します。

なお、マミートラックの対義語として使われている「ファスト・トラック」は、出世コースを表す言葉として使われています。

今回はこのマミートラックに陥りがちな女性のキャリアと、それを回避し家庭も仕事も両立する女性の生き方について解説していきます。

マミートラックのメリットとデメリット

マミートラックについては、その全てを否定・あるいは肯定されるものではありません。
不本意にそのようなコースに乗ってしまう女性もいれば、中には望んで選ぶ女性もいます。

そのためまずは、マミートラックを選ぶ、もしくはそのようなコースに乗るメリットとデメリットを考察していきましょう。

メリット

マミートラックのメリットについては、以下のような点が考えられるでしょう。

(1)育児も仕事も両立できる
(2)職場の仲間にも負担をかけない
(3)自分への負担が減る

1つずつ説明していきます。

(1)育児も仕事も両立できる

時短勤務もマミートラックの1つです。
短時間勤務制度を利用して働くことで、育児も仕事も両立しやすくなります。

国は企業に対して「3歳に満たない子を養育する労働者に関して、1日の所定労働時間を原則として6時間とする短時間勤務制度を設けなければならない」と定めています。*2

企業によって異なりますが、下記のような働き方を選択することが可能です。

・保育園の送り迎えに合わせて朝と夕方の勤務時間を減らす10時~17時勤務にする
・フレックスタイム制度を利用して、曜日ごとに勤務時間を変える

自分で働き方を選択すれば、育児も仕事もバランス良く行うことができるでしょう。

(2)職場の仲間にも負担をかけない

子どもの体調不良などで急に休みを取る場合、同じ職場で働く仲間には、少なからず負担がかかります。

しかしマミートラックに乗り、仕事の内容をあえて単調な業務にすることで、急な休みでも職場の仲間への負担を最小限にすることができます。

マミートラックには、家族だけでなく、会社にも負担をかけずに仕事をすることができるといったメリットがあります。

(3)自分への負担が減る

育児と仕事の両立はとても大変です。
短時間勤務制度を利用し、仕事の量や勤務時間を減らせば、体力面での負担が大幅に楽になります。

また育児をしながら働く女性は、復帰後に「職場で働きにくい」「気まずい」「肩身が狭い」思いをすることがあります。*3

しかしマミートラックに乗り、同じママさんが多い職場に異動したり、業務量を減らすことでそういった思いをすることも少なくなるでしょう。

体力面でも精神面でも、自分への負担を減らすことができます。

デメリット

一方で本人が望んでいなかった場合、マミートラックには様々な問題点が浮上してきます。
ここでは、マミートラックのデメリットを3つ紹介していきます。

(1)責任のある仕事ができなくなる
(2)仕事にやりがいが持てなくなる
(3)給与が下がる

1つずつ説明していきます。

(1)責任のある仕事ができなくなる

マミートラックの場合、育児のために「残業ができない」「休むことが多い」といった理由から、「時間の融通がきく単調な仕事」を任されることが多くなります。

実際に厚生労働省が行ったヒアリング調査によると、
「出産後、子どもを得ることによって、やりがいのある仕事、高い報酬、同僚からの敬意、出世・昇進・成長、自由に使えるお金と時間を失ったと感じた」
と答える人がいるなど深刻な実態が見えてきます。*4

また別の人は、
「退社時刻以降にあえて会議をセットされたこともある。家事・育児と仕事の両立をしようとする私にとっては苦痛であった」
と回答しています。

責任ある仕事を任せてもらえない場合、昇進・昇給やスキルアップの機会も少なくなります。

(2)仕事にやりがいが持てなくなる

単調な仕事やサポート業務、責任のない業務ばかり与えられてしまうと、達成感や充実感を感じにくくなります。

同時に昇進・昇給の可能性も減るため、モチベーションも低下して仕事にやりがいを持てなくなってしまいます。

損保会社に勤めて8年目のキャリアの女性は、産前まではバリバリの営業職でしたが、復帰後はサポート業務が中心となりました。*5

「今は踏ん張りどころだと自分に言い聞かせて、子育ての制約がなくなったときに第一線で活躍できるようがんばろう、と思っています。ただ、モチベーションが保てず困っています」
と話します。

このような事例は少なくありません。

厚生労働省の行った「労働者アンケート調査結果」によると、「出産・育児等を機に離職した理由」が「仕事にやりがいがなかった(なくなりそうだった)」が4.9%、「仕事を続けていても、将来的にキャリアの進展が見込めなそうだった」が4.7%となっています。*6

今回の女性と同じように悩み、離職してしまう女性も一定数存在しているのです。

(3)給与が下がる

育休明けに時短勤務を選択すると、収入は減ってしまいます。

具体的には8時間勤務をしていた社員が、6時間勤務に変更すると、給与・賞与も勤務時間の短縮分に合わせて25%減ることがあります。*7

「給料は以前と同じ程度もらいたい」と考えている場合は、マミートラックは避け、キャリアを見据えた職場復帰が必要です。

マミートラックの対処法

それでは、「子育てしながらもキャリアアップしたい」「今までと同じように働きたい」と考えていた女性が、本意ではないマミートラックに陥ってしまった時にはどうしたら良いのでしょうか。

予防策

産休・育休前、復帰前に行う予防策について、見ていきましょう。
復帰後もバリバリ働きたい場合は、早めの行動が大切です。

・出産前から出産後の働き方について相談する
・復帰後の不安要素は事前に対策する

出産前から出産後の働き方について相談する

休みに入る前に、上司や会社に「出産後も仕事を大切にしたい」ということと併せ、「自分のキャリアをどのように捉えているのか」を伝えておきましょう。

産休・育休から復帰した女性を、負担や責任の軽い仕事内容にする理由には、「育児が大変だろう」という「思いやり」であることもあります。*8

事前に伝えておくことで、「今まで通りに働きたい」という気持ちを好意的に受け止め、環境を整えてくれる可能性も高まります。

復帰後の不安要素は事前に対策する

マミートラックに乗らずに復帰したい場合は、事前にどのように育児と仕事を両立するか、夫婦で話し合いをしておくことが大切です。

育休後フルタイムで復帰して活躍しているある女性の事例では、休業中に下記のことを決めたそうです。*9

  • 家事省力化のために食器洗い機と自動掃除ロボットを購入
  • 食材は宅配サービスを利用
  • 保育所は最長午後8時すぎまで延長可能な施設を選択
  • 子どもが病気の時に預かってくれるベビーシッターと契約

「復帰後もバリバリ働きたい」と願っても、子育ては思い通りに行かないことがたくさんあります。
不安要素は事前に話し合い、対策を立てておきましょう。

しっかりと対策が出来ていることを復職前面談で伝えれば、会社も安心して仕事を任せてくれるでしょう。

脱出策

続いて、マミートラックに陥ってしまった場合の脱出策について考えてみましょう。

・短時間でも成果を上げる
・働きやすい会社に転職する

短時間でも成果を上げる

マミートラックから抜け出すためには、職場にいる時間が出産前に比べて短くなったとしても、今までと同じ程度、あるいはそれ以上の成果を出すことが必要です。

意欲も仕事の質も出産前と同じであり、戦力になることが日々の業務から伝われば、次第に信頼され「責任のある仕事」を任せられるようになります。

ある部品メーカー勤務の女性の事例では、働き方の見直しを行うことでマミートラックから抜け出しました。*10

初めは時短勤務からフルタイムに変更し、体力の限界まで働いていました。
しかしそれでは身体も家庭も持たないと考え、実際の労働時間にかかわらず一定の手当が支給される「裁量労働制」に変更したのです。
その結果、労働時間は時短の時とあまり変わらないながらも成果を出し、周囲の期待値も上がり、働き方が一変したそうです。

マミートラックに陥ってしまっても、諦めずに期待以上のパフォーマンスをあげられるよう心がけてみましょう。

働きやすい会社に転職する

いくら成果を出しても、上司に訴えても、状況が変わらないという時は、転職活動を始めてみましょう。

子育てしながら今の自分を評価してくれる企業は、子育てしながらも女性が活躍できる環境が整っている企業です。

「子どもが小さいから転職は難しいだろう」と最初から諦めるのではなく、新しい環境へ挑戦する勇気を持つことも忘れないでください。

まとめ

今回は、マミートラックについて解説してきました。

「これからも最前線で働き続けたい」と考える女性にとって、マミートラックは避けたいものであると思います。

もし希望せずにマミートラックに乗ってしまった場合は、自分の気持ちを大切にしつつ、今の状況を前向きに捉える余裕を忘れないようにしてください。

諦めなければ、ファスト・トラックに戻ることもできるはずです。

あなたのことを応援しています。


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【エビデンス】
*1 マイナビ子育て「マミートラックの意味は? メリットと課題、辛いときの対策
*2 厚生労働省「育児・介護休業制度ガイドブック」P7
*3 日経woman「子どもができて「職場で気まずい」人は8割以上
*4 厚生労働省「第7回「仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会
*5 マイナビニュース「復職後、”第一線の仕事”から外れてモチベーションが上がらない
*6 厚生労働省「労働者アンケート調査結果」P23
*7 Nikkei Style「育休後の収入減、家計の危機どう乗り越える
*8 マイナビ子育て「育休復帰後、上司に気をつかわれてつらい #小田桐あさぎのワーママお悩み相談室
*9 NIKKEI STYLE「育休明けママ、即フルタイム 出産後もキャリアつなぐ
*10 日経新聞「産後の女性社員が恐れるマミートラック 出口はどこに?


【著者】髙橋 めぐみ
求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供する一部上場企業に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在はこれまでの経験を活かし、人材や教育に関する記事を中心にフリーライターとして活動中。