ワーキングマザーが働きやすい職場の条件は?先輩ママたちは何に苦労しているのか

「子どもが産まれて、少し落ち着いたから転職したい」
「今いる職場は子育てしながらだと厳しいので、働きやすい職場に移りたい」

そんなふうに考えるワーキングマザーは多いかもしれません。しかし現実は、なかなかうまくいかないものです。
ではどうすれば、子育てとキャリアを上手に両立できるのでしょうか。今回は、ワーキングマザーへの調査を元に考察を進めていきます。

子どもができてほとんどの人が気づくことーー
それは「思った通りに時間が確保できない」ではないでしょうか。
子どもが突然熱を出した、学校から呼び出しがあった、保育園の運動会、保護者面談、定期健診
ーー
その度合いは、子どもがいなかった時期に「想像していた」のとは相当違う可能性があります。

そのような苦労はそのまま、多くのワーキングマザーが会社を選ぶ時のポイントにもしているようです。

できたら時間が自由になる会社を選びたい

小さな子どもをもつ親が転職する場合、できるだけ「時間に寛容な会社」を選ぶ傾向が見て取れます。

小学生未満の子供を持つ20代~40代の女性会社員(正社員)・公務員800名を対象にWEBで行われたマイナビの調査があります。

それによると、以下のような結果がわかっています。

理想とする職場の制度を教えてもらったところ、「時短勤務」(71.6%)、「子供の看護休暇」(60.9%)、「時差勤務・フレックスタイム制」(58.3%)が上位に。(*1)

つまり、最も皆が気にしているのが「時間」なのです。

できれば、「フレックスタイム制」など、労働時間がある程度融通がきく会社がいいでしょう。ただ、フレックスでも、労働時間が長いと、かなり大変です。夜19時に帰っても、ご飯を食べさせ、お風呂に入れて、就寝するだけで、数時間は消えていきます。

江崎グリコの最近の調査でもこんな声が紹介されています。

フルタイムで働いて、21時までに子供を寝かすのは「無理ゲー」「共働きで家に親が帰るのが夜7時を回ることが当たり前の社会でどうしろと?」「好きで遅く寝かせてるんじゃない」などの声がネット上に上がった。(*2)

何事もなくても、この通り、子どもを21時に寝かせるのは至難の業です。残業で20時まで働いて、その後、21時に子どもを引き取ったら? 
毎日就寝が遅くなり、翌朝は親子揃って遅刻になってしまったり、人によっては「子どもを22時に寝かせるなんてひどい」のような批判に耐えられないかもしれません。

注意したいのは「労働時間」は各自の生産性によっても変わること。向かない仕事だと時間がかかり、自分だけ毎日残業、などということもあるので要注意です。
「あの人は仕事ができないのに早く帰る」などと言われて辛い人もいます。
自分にあった仕事かどうか、早くできるかは重要なポイントです。自分がその仕事をどれだけの時間でこなせるのか、知っておきましょう。

オフィスと自宅・保育園の近さをチェック

通勤時間は「時間」の多くを占める可能性があります。そんなわけで、次に考えるべきは、オフィスと自宅の距離です。
「理想とする職場の制度」でも明らかなように、子どもが小さいうちはとにかく時間に追われます。特に体調不良による「急な呼び出し」が多いのが幼児期というものです。

時には発熱した子どもを迎えに行って、ベビーシッターさんにバトンタッチしたり、医者に連れて行ったり。
子どもが一旦落ち着いたら、夫と交代して会社に戻ったりと、とにかくあっちへ行ったりこっちへ行ったりと忙しいのです。

かと思うと、朝、子どもがぐずぐずしていて、なかなか出かけられないこともあります。10分でも近いところの方が良いのです。
つまり、「送り・お迎え」にかかる時間は短ければ短いほど、ストレスが減ります。

中には、会社のそばに保育園があるケースもありますが、その場合、満員電車に子どもを連れて乗せる必要がないかどうかなどの環境もチェックしましょう。

リモートワークをする場合、育児しながらの仕事は「細切れ」になると心得て

リモートワークを導入した会社を検討するのも、ありかもしれません。
自宅で作業できたり、週に数回は自宅で働けるなど、融通のきく会社もあります。

リモートワークにも種類があり、会社と同様に時間で拘束されるタイプと、成果物さえ出せば問題ない完全成果報酬制の職場があります。

一見よさそうな完全成果報酬制ですが、契約通りの仕事を締め切りまでにこなすには、「自分の仕事が早く終わること」が重要です。よく仕事が時間内に終わらず、結局は子どもが寝てから残りを徹夜してやったーーなどと言う話も聞きますが、これでは負担ばかりが大きくなります。

なかには、子どもを家でみながら仕事したい人もいるかもしれません。リモートワークしながら育児する人は、「中断しながらの仕事」を前提とすることです。

育児は「突然の中断」との戦いです。仕事していても、泣き出したり、ミルクを欲しがったり、おしめを替えたり、少し大きくなれば「聞いて・聞いて」とやってきたり、「お腹がすいた」と訴えたりします。

ですから、仕事を細切れにしておいて、常に戻れるようにしておくこと。「メールをAさんに出す」「パワーポイントを5ページまで進める」「資料を2ページ読む」などと決めて、1つずつ進めていくのです。中断したら、そこから再開することを意識すると良いでしょう。

また、子どもがいても、ながらでできること、例えば公園で子どもを見ながら、ラジオで情報を聞く。子どもの待ち時間に資料を読むなどを想定しておくと、安心して子どもと公園に行くことができるでしょう。

でもやっぱり重要なのは人間関係

先のマイナビの調査で、現在の仕事のしかたや人間関係について、働きやすさの点数が特に高かった(90点~100点)人は、

「同僚との人間関係が良好」(70.7%)
「上司との人間関係が良好」(62.6%)
「上司に相談しやすい環境である」(60.2%)(*1)

と人間関係の良好さを上げたところが多かったようです。
特に、上司や同僚がどの程度子育てに理解があるかがキーといえるでしょう。
チームワークでは、ワーキングマザーはまだまだ少数派であることが多く、どうしても、遠慮してしまうこともあるのでしょう。
「子育て中の人がいるとお荷物になる」と思っている人がいたりすると、一人だけ時短勤務でもなんだか帰りにくいかもしれません。

ワーキングマザー就職・専門業者をあたるのも手

最近では、ワーキングマザーに絞って募集している会社もあるようですから、見てみると良いでしょう。ワーキングマザーならではの生産性の高さを評価してくれる会社もあるようです。

なお、まだ子どもがいない人であれば、ワーキングマザーの日常を描いた映像作品を楽しむのも良いかも知れません。
Netflixで視聴可能な「メイドの手帖」は、暴力的な男性から逃げ出した若い母親がメイドの仕事を始める物語です。
しかし預け先がなかったり、嫌な職場に当たったりしながらも、なんとか生活を立て直していくリアルなストーリーを楽しめるでしょう。
ワーキングマザーなら「あるある」と思うような、子どもの病気や、預け先とのトラブル、移動時間の問題など、さまざまな事例が語られます。

大変なこともありますが、キャリアの道筋は増えています。諦めずに地道に探し、前を向いていきましょう。


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【エビデンス】
*1 ワーキングマザーが理想とする職場の制度、1位は? – 2位子供の看護休暇
*2 日本の働く女性は過酷…こどもを21時までに寝かせるのが「無理ゲー」な理由


【著者】のもときょうこ
文筆家・編集者。早稲田大学法学部卒業。損保会社を経て95年アスキー入社。雑誌「MacPower」「ASAhIパソコン」「アサヒカメラ」編集者、「マレーシアマガジン」編集長などを歴任。著書に「子どもが教育を選ぶ時代へ」「日本人には『やめる練習』が足りていない」(集英社)「いいね!フェイスブック」(朝日新聞出版)「マレーシア小・中・高校生留学の基礎知識: 進学方法と知っておきたいこと 」(キンドル版)。編集に松井博氏「僕がアップルで学んだこと」ほか。