人材採用で重要な「カルチャーフィット」 考え方とメリットとは

「せっかく入社したのに、3か月で退職してしまった。」
「面接では評判が良かったのに、なかなかチームになじまない。」

企業の採用活動において、このような状況は珍しくありません。
こうした早期退職やミスマッチを防止するために注目されているのが「カルチャーフィット」という考え方です。

カルチャーフィットは「企業の文化や社風にどれだけ適しているか」といった意味で使われ、近年注目を集めている採用基準のひとつです。

そこで今回は、カルチャーフィットのメリットや、カルチャーフィットする人材を採用するための考え方をご紹介します。
ぜひ、参考にしてください。

カルチャーフィットとは

カルチャーフィットとは、企業の文化や社風に対しての適応性を示しており、求職者の価値観や性格特性が企業文化と合っているかどうかを採用基準に設ける手法です。*1

新しく採用する人が企業文化に対しての適応があると、企業理念が浸透しやすく、離職率をおさえることができます。

逆にカルチャーフィットがない人だと、企業風土に合わず、早期に離職してしまうリスクも高いでしょう。

カルチャーフィットのメリット

カルチャーフィットは今、採用活動で非常に重視されるようになっています。

特に魅力的な事業を創出している成長ベンチャー各社では、ほぼ100%の確率で、どんなにスキルが高い人でも、自社のビジョンや人材価値観に合致しない人は採用しないという明確さを持っています。*2

いったいなぜカルチャーフィットは、そこまで重要なのでしょうか。
カルチャーフィットのメリットについて、説明していきます。

・離職率が低下する
・生産性の向上につながる

離職率が低下する

カルチャーフィットを採用に取り入れるメリットとして、離職率の低下が挙げられます。

性格や人柄は、人との付き合い方・仕事への向き合い方にも通ずる部分です。
カルチャーフィットしている人材であれば、周囲との考え方も合いやすく、コミュニケーションも円滑に進められます。

また、入社後に「社風が合わなかった」「一緒に働く人との相性が合わなかった」という点も回避できるため、早期離職を防ぐことにもつながります。

実際に経営層・管理職への調査で、転職後に失敗したと感じたことは「社風が合わなかった」(16.8%)、「一緒に働く人との相性が合わなかった」(13.2%)、「経営者との相性が合わなかった」(12.0%)と、カルチャーフィットでのミスマッチが上位の大半を占めました。*3

優秀な人材を逃さないためにも、カルチャーフィットは非常に重要です。

生産性の向上につながる

企業文化に社員の価値観がマッチしていれば、無駄なコミュニケーションコストが掛かりません。

例えば、「企業としてどのような考え方を優先すべきか」という判断が必要になったとき、価値観が醸成されていれば、自分の判断で行動ができるはずです。

自分の価値観や考え方を信じ、自立して仕事ができるので、生産性もおのずと上がるでしょう。

逆に、採用した人の価値観や性格が企業文化に合わなかった場合は、1人だけ仕事に対する考え方や進め方が違ってしまい、円滑に業務を進めるのが難しくなります。

社員それぞれがストレスを抱えやすくなり、社員同士の仲も悪くなる可能性もあります。

結果として成果が出にくい職場環境になり、業務全体の生産性も低下するでしょう。

カルチャーフィットのためにすべきこと

それでは、カルチャーフィットする人材を採用するために、すべきことは何でしょうか。
以下の2つの観点から見ていきましょう。

・企業のカルチャーを明確にする
・求職者への質問の質を上げる

企業のカルチャーを明確にする

カルチャーフィットする人材を採用するためには、企業のカルチャーを明確にすることが必要です。

最初にすべきことは、企業の既存社員に話を聞くことです。*1

「あなたは、何を大切にして仕事をしているのか?」
「自社の好きなところはどこなのか?」
「どうして好きなのか?」

上記の質問をしてみることで、いくつか共通する要素が出てくるはずです。

また、「普段どういうコミュニケーションを取っているのか」「どういう仕事の進め方をしているのか」なども確認していきます。

そうすることで、いきいきと働くために必要な要素がはっきりしてくるでしょう。

そして聞いた内容を言語化し、採用時には定量的に評価できるようにするのが合理的なやり方です。

求職者への質問の質を上げる

求職者がカルチャーフィットする人材かを見極めるためには、言語化した内容に基づいて、自社カルチャーを特徴づける項目を質問していきましょう。

質問をするときには、個々の項目について、どのように体現してきたのかを具体的に説明してもらうのがおすすめです。

例えば、仕事の進め方が合うかを見極めたいときには、「何を基準にして意思決定をしてきたか」「プレゼンテーションするときには何を重視してきたか」などを確認しましょう。

また、自社の大切にしている理念や価値観に求職者が合うかを確認する場合は、感情や価値観が見え隠れしているキーワードを捕まえて掘り下げてください。*4

(引用)サポネット「中途採用向け深堀型面接の極意

もし「協調性を重視する会社」であれば、独りよがりな考え方をしない人物かどうかを、具体的に掘り下げる必要があります。

また「諦めない力を重視する会社」の場合は、試行錯誤した結果、他者が動いてくれなかったのが本当かを確認しましょう。

「絶対に」「どうやっても」といった断定的表現には、個人の思い込みや偏った価値観を持っている可能性もあるので注意が必要です。

カルチャーフィットの注意点

カルチャーフィットを重視しすぎると、組織の多様性を失うことがあります。

多様性を失い同質性が高まると、チーム全員が同様の考え方をするようになり、新しいアイデアが生まれにくくなるでしょう。

また、優秀な人材を見逃してしまう可能性もあります。

企業カルチャーが明確になっていないまま採用活動を行うと、採用担当者の「この人は自社と合っていない気がする」「この人なら自社でやっていけそうだ」という感覚で採用するしかありません。

採用基準にカルチャーフィットを取り入れる場合は、採用活動をする前に自社のカルチャーを明確にして、採用担当者に落とし込むことが重要です。

まとめ

今回はカルチャーフィットのメリットや注意点、カルチャーフィットする人材を採用するためにすべきことについてご紹介しました。

カルチャーフィット採用を導入すると、早期離職を防ぎ、生産性向上が期待できます。

しかしカルチャーフィットを重視しすぎると、新しいアイデアが生まれなくなり、企業としての成長が止まってしまうかもしれません。

これまでの企業の文化や風土と、新しい価値観のバランスを取ることが大切です。


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【エビデンス】
*1サポネット「HRテック活用でミスマッチが激減。カルチャーフィットする人材を見極める方法
*2NIKKEI STYLE「ジョブ型議論に惑わされるな 転職の売りは3点セット
*3NIKKEI STYLE「経営層・管理職の47%が「転職失敗」 その理由と対策
*4サポネット「中途採用向け深堀型面接の極意


【著者】髙橋 めぐみ
求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供するプライム市場上場企業(元東証1部)に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在はこれまでの経験を活かし、人材や教育に関する記事を中心にフリーライターとして活動中。