人材紹介会社がリスティング広告を活用するメリットとは?活用法をご紹介


人材紹介サービスを行うにあたり、一人でも多くの集客をはかることは事業計画を進める上で必ず行わなければなりません。多くの人材紹介会社では積極的にWeb広告を活用していますが、免許を取ったばかりなどスタートアップの状態ですとコスト面が気になるでしょうし、「何をどのようにすればいいかわからない」と悩んでいるところも多いと思います。

本記事では人材紹介における集客にかかるコストパフォーマンスや戦略に関する課題解決法として、リスティング広告の活用について紹介しています。「質の高い求職者との出会いの機会を増やしたい」と考えている人材紹介会社や転職エージェントの担当の方は、ぜひ参考にしてください。

リスティング広告がスタートアップに有効である理由

大手人材サービス会社などが提供するスカウトメールなど、集客支援サービスに登録するのも有効的な手段ではありますが、裾野の広い集客をはかるのであれば単体ではなく複数のサービスを利用する必要があります。

しかし、いくつものサービスを利用すれば、必然的にコストがかかり過ぎるという懸念もあるでしょう。特に予算繰りに苦労しがちなスタートアップには負担が大きい上、どのサービスが効果的かもわからないはずです。

その点、求職者の顕在化したニーズに沿ったアプローチができるリスティング広告ならば、比較的ローコストでスタートできる上、マーケティングに関するリソースがなくても理想とする求職者へリーチする可能性が高くなります。

リスティング広告で得られるメリットは

リスティング広告を活用することで、人材紹介会社はどのようなメリットを受けることができるのでしょうか。実は単純に求職者への認知向上だけではなく、運用で得られたデータが有効活用できるリソースとなるという特性があります。つまり、リスティング広告で得られた情報をストックすることでノウハウ化し、今後の事業展開において大きなメリットが得られるのです。

狙いたいターゲット層へ直接アプローチできる

リスティング広告を展開するにあたっては、あらかじめアプローチしたいターゲットのペルソナを想定するところからスタートします。ITや不動産などの業界、エンジニアや営業、事務などの職種、20代や30代などの属性をキーワードとして設定することが可能となります。

予算にもよりますが、人材紹介会社は2万9856所※ とも言われるほど競争の激しい市場です。当然、競合他社とのユーザーの奪い合いが考えられます。属性を明確にし、キーワード化することにより、転職意欲のある人材へ直接アプローチし、多くの集客を目指すことができるのです。

※厚生労働省|2022年度「民営職業紹介事業所数の推移

効果測定がしやすく、PDCAサイクルをまわしやすい

リスティング広告はWeb広告の一種でもありますので、広告を見た人の年齢や性別、世帯などの個人データが収集できるほか、リーチ数やクリック数、広告スコアなどの運用データや行動データの収集や分析を行うことが可能となります。

データを蓄積した上で効果測定を繰り返して行うことで、マーケティングに関するオリジナルのリソースが得られますので、より効率的かつ戦略的な集客を展開することが可能になります。

自社独自のプロモーション活動が可能になる

人材紹介会社向けの集客サービス、特にスカウトメールの運用などにおいては、各社それぞれ決められたルールやフロー内で運用しなければなりません。場合によってはアピールしたいことができなかったり、タイトなスケジュールを求められたりと、特に少人数の社員で構成されるところが多い人材紹介会社ですと、煩わしさを感じてしまうかもしれません。

その点、リスティング広告であれば基本的に自社サイトへの動線として広告を打つことになるため、景品表示法などに注意を払えば比較的自由な形でプロモーション活動を行うことができます。キャンペーンを打ちたい時も、キャッチコピー的に表現することでより多くの求職者の関心を引き寄せられるでしょう。

リスティング広告での集客を成功させるポイント

人材紹介会社がリスティング広告を活用し、上記のメリットを享受するために準備すること、行うべきいくつかのポイントについてご紹介いたします。

自社の「強み」となるところを明確にする

(例)
【IT業界の転職に強い】
【20代・初めての転職に自信あり】
【東京23区・首都圏の転職案件が豊富】

競合他社との差別化をはかる上で、業界や求職者の年齢層、募集エリアなどにおける自社の強みを明確にしておきましょう。その強みをクリエイティブやターゲティングに反映することで、確度の高い集客が可能となります。

ターゲットが集まりやすい媒体を選択する

とはいえ、リスティング広告を闇雲に打つのは却って余計なコストがかかりますので、集客したい求職者が利用するであろうメディアをあらかじめ選定することも必要となります。ターゲットを広く設定し、より多くの求職者へアプローチをかけたいのであれば、利用者数が多いGoogleを使うのがお勧めです。

しかし、セキュリティに厳しい会社のパソコンを使用する機会が多い、いわゆる現役層にターゲットを絞りたいなら、FireWallに引っかかりやすいGoogleよりも、企業PCに多くインストールされているMicrosoftのBingを選定するのが良いでしょう。

リスティング広告の運用期間を定める

リスティング広告を出した直後は、どうしても多くの反響に期待しがちです。しかし出稿した直後は、なかなか反応が出ないことも考えられます。Wen広告は長期的に展開することで、ロングタームによる反響を獲得できる特色があります。したがって、リスティング広告のスタートダッシュがうまくいかなかったからと短期で終了するのは得策ではありません。

とはいえ、だらだらと長く出稿しても運用コストが余計にかかってしまう恐れがあります。短期的に判断することも、延々と運用し続けるのもマイナスとなりやすいので、まずは3ヶ月程度の期限を決めて、そこで収集したデータを検証して次の戦略構築へとつなげていくのが理想的。PDCAサイクルを回すことにより、メリハリをつけながら効率的な運用を目指していきましょう。

独自のプロモーションも打ち出してみる

リスティング広告を定期的に運用し、ある程度のスタイルが固まってきたら、より多くの集客をはかるためのプロモーション施策を打ち出してみるのもお勧めです。実際に大手を含む人材紹介会社の中には、独自のキャンペーンを広告展開するケースも多く見受けられます。

たとえばリスティング広告の一部に「面談終了後にAmazonギフト券進呈」などパッと目をひくアプローチを入れた上で、エントリーフォームなどでも告知。導入部分で工夫を施すことで、多くの求職者がクリックしやすい流れをつくっていきましょう。

気をつけたい!リスティング広告のデメリット

リスティング広告が人材紹介会社に対し、いくつものメリットがあることはご理解いただけたと思います。しかし、どのような施策であっても必ずデメリットは存在するものです。

リスティング広告のいいところだけではなく、弱みやデメリットについて理解することで、より効率の良い集客が可能となります。そこでいくつかのポイントを紹介いたします。

マッチングの精度は常に一定ではない

リスティング広告は、あくまでも「広告」です。中には転職意欲が低くても、偶然キーワードにヒットしてしまう可能性も考えられます。一般広告であっても百発百中は有り得ません。

また、キーワードをより詳細に設定するなど、リスティング広告の表現をブラッシュアップできたとしても、不特定多数のネットユーザーが利用するメディアでのリスティング広告には、過度な期待を抱かない方がいいでしょう。人材紹介に多少の関心があったとしても、「とりあえず登録だけ」というユーザーもいることを認識しておくべきです。この場合、潜在層を獲得したという認識をもって対処していく必要があるでしょう。

運用コストをゼロにすることはできない

ノーリスク・ハイリターンは、ビジネスの世界では絶対に不可能です。あくまでもリスティング広告はコストを抑えることが可能ですが、ターゲットとなる求職者にリーチしたり、アプローチの方向性などを見直したりする際には、必ずコストがかかることを忘れてはなりません。

また、目に見えにくい時間・人的コストは、どのような状況であっても必ず負担がかかることを認識しておくべきです。人材紹介サービスをしっかり提供していくためにも、誰かに任せっぱなしにする、自分一人ですべてを抱えてしまうことのないよう、気をつけていきたいところです。

代理店はどこも人材に強いとは限らない

リスティング広告の代理店は大手から中小など様々存在していますが、代理店によって強みや弱みは必ずあります。人材紹介に造詣がない代理店にお願いすると、CPA(顧客獲得単価)しか見ない、あるいはリードの質を気にしないで運用されるという懸念もあります。

コストパフォーマンスなど効率を考える上で、できるだけ人材紹介に強い、または見識のある代理店にお願いしていきましょう。ゆくゆくは人材紹介会社向けの求職者集客サービスの併用も考えた際、お互いのノウハウや知見を融合させての集客戦略の構築も可能となるはずです。

(記事のまとめ) リスティング広告で集客戦略の基盤をつくり、メディアミックスで集客アップを狙いたい

これから人材紹介会社として事業展開を行うにあたり、リスティング広告の活用が有効的であることを紹介しました。効率の良い集客をはかるにあたっては自社の強みを把握した上で、ターゲットが関心を寄せる情報をキーワードに設定することで得られる反響は、後々の集客戦略において有効性の高いノウハウとなっていくはずです。

しかし、ゆくゆくはリスティング広告単体では勝負するにも限界が来ますので、蓄積されたノウハウをベースに、大手人材会社の求職者集客サービスやスカウトメールと併用することをお勧めします。メディアミックスを展開することによって戦略のブラッシュアップと新たな集客戦略の構築をはかり、集客アップを目指していきましょう。


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【著者】山口 嘉久
関東キー局の情報番組ADを経て、某大手情報会社へ入社。求人広告の制作に従事する。
その後、国内大手メーカーの販促プロモーションのプランナーや求人広告・スクール広告・ブライダル広告などのコピーライターを経て、現在はフリーランスにて人材採用に関する取材および執筆活動を展開中。
取材企業は年間およそ200社を数え、東証プライム上場から業界大手のリーディングカンパニー、地方の優良企業まで様々な経営者や事業キーマンとのヒアリング経験を持つ。