結婚退職はもったいない?働く女性のキャリアと転職をデータから徹底解説

働く女性にとって、結婚は自分のキャリアを考えるきっかけになります。

「このまま働いてキャリアアップしたい」

「新生活のためにもっと収入をアップさせたい」

「仕事よりも新生活を優先させたい」

「新居から今の職場に通うのが難しい」

など、転職や退職も含めていろいろ考えるのではないでしょうか。

そこで今回は、働く女性の現状と結婚を機に働き方を変えたい場合の選択肢についてお伝えします。自分に合う選択肢はどのようなキャリアなのか、見極めるための参考にしてみてください。

働く女性の現状

総務省の労働力調査によると、夫婦ともに就業者である共働き世帯は増加しており、専業主婦世帯は571万世帯に対し、共働き世帯は1,240万世帯にまでのぼります。*1

つまり、結婚後も働く女性の方が多くなっているのです。

しかし、男性と女性の働き方には大きな違いがあります。

先輩女性たちへの調査結果を、まずは詳しく見てみましょう。

女性の就業者は「非正規雇用」が多い

マイナビが行った調査によると、2020年8月時点の15歳以上のすべての就業者を「正社員」「非正規雇用」「自営・役員・家族従事者」の3つの分類で分けたときに、女性は男性に比べて「非正規雇用」の割合が高い結果となっています。*2

女性就業者のうち「非正規雇用」だった割合は48.5%です。

一方で、男性就業者のうち「非正規雇用」だった割合は16.8%にとどまります。

男女では3倍近い差があるのです。

(引用)マイナビ「女性活躍の現状(2021年)~女性のキャリア選択肢を増やすために~」P15
https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2021/03/2021_joseikatsuyaku.pdf

さらに、非正規雇用で働いている女性の中で34.0%が「正社員として勤務したい」と答えており、20代、30代では「正社員として勤務したい」が「正社員になりたくない」を上回っています。

つまり正社員を希望しているものの、非正規雇用で働いている女性が一定数存在しています。

(引用)マイナビ「女性活躍の現状(2021年)~女性のキャリア選択肢を増やすために~」P17
https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2021/03/2021_joseikatsuyaku.pdf

「とりあえず仕事を辞めてから考えよう」と決断する前に、希望するタイミングで正社員に戻れない可能性もあることを念頭に入れ、自分のキャリアについて考えておくことが必要です。

女性の働き方別生涯所得

次に、女性の働き方別生涯所得を見てきましょう。*3

女性が大学を卒業後、同一企業で働き続けた場合(ケースA)の生涯賃金は2億3,660万円、退職金(2,156万円)を合わせると、生涯所得は2億5,816万円になります。

一方で、大学を卒業後、同一企業で働き続ける女性が、二人の子を出産・育休を2回利用し、フルタイムで復職した場合(ケースA-A)の生涯賃金は2億1,152万円で、退職金(1,856万円)を合わせた生涯所得は2億3,008万円です。

ケースAよりもケースA-Aは、-2,808万円となりますが、二人の子を出産し、それぞれ育休を1年利用したとしても、出産なしで働き続けた場合と比べて、生涯所得は1割しか変わりません。

しかし、出産退職して子育てが落ち着いてからパートで再就職した場合(ケースA-R-P)は、約6,147万円となります。

生涯所得で考えると、仕事を続けた場合と一度仕事を辞めた場合では、約2億円という差が生まれてしまうのです。

2億円は決して小さい額ではありません。

仕事を辞める前に結婚や出産にあたって「今後の働き方をどうしていきたいか」を考える必要があります。

(引用)ニッセイ基礎研究所「大学卒女性の働き方別生涯所得の推計」P105
https://www.nli-research.co.jp/files/topics/56140_ext_18_0.pdf?site=nli

結婚を機に働き方を変えたい女性の選択肢

「正社員として働き続けたい。でも今の働き方では続けられない。」

と思ったとき、女性はどうすれば良いのでしょうか。

結婚を機に働き方を変えたい女性の選択肢を紹介していきます。

社内でキャリアチェンジを検討

「働き方を変えたいけれど、今の会社が好き」「転職は不安だ」という人は、

今の会社で働き方を変えられないかを相談をしてみるのがおすすめです。

「部署を異動できないか」「総合職から一般職になれないか」などを会社に相談してみましょう。

もちろん、すべての企業で受け入れてもらえるわけではありません。

しかし人員を募集している部署があれば、新しく採用するよりも費用が抑えられるので、検討してくれる可能性があります。

転職を検討する

「現在の会社では理想の働き方が実現できない」と感じた場合は、転職を検討しましょう。

転職を考えるときに重要なのが、結婚と転職のタイミングです。

結婚する前と後、それぞれのメリット・デメリットをお伝えします。

結婚前に転職をする

結婚前に転職した場合のメリットは以下のようなことが考えられます。

・結婚後の希望に合わせた条件から、仕事を選ぶことができる
・一度にかかるストレスが少なくて済む
・産休・育休までに、新しい職場で信頼関係を築ける期間が長くなる

未婚女性は既婚女性よりもフットワークが軽いと評価する企業があるのは、まだまだ厳しい現実です。

そのため、結婚前に転職する人の方が選べる仕事の幅が広くなるというのは、ひとつの考え方でしょう。

また、結婚により変化した新しい環境や生活に慣れるのには時間がかかります。

結婚前に新しい職場に慣れておけば、一度にかかるストレスを減らすことができるでしょう。

一方で、結婚前に転職した場合のデメリットとして以下のようなことが考えられます。

・休暇が取得しづらい可能性がある
・仕事と家庭の両方で慣れない生活を続けなければならない

結婚をすると、引っ越しの手続きなどで平日に休みをもらう可能性があります。

しかし、有給が取れるのは入社の6か月後というのが一般的です。

入社6か月以内に休みを取る場合は、欠勤扱いになってしまうかもしれません。

また仕事とプライベートが同時に変わる場合は、あなたにとって大きなストレスになることも考えられます。

パートナーと協力しながら、新生活に慣れていけるよう、無理はしすぎないことが大切です。

結婚後に転職をする

結婚後に転職した場合のメリットは、以下のようなことが考えられます。

・勤務条件の優先順位を立てやすい
・職場を選ぶ際の判断軸が明確になっている

結婚生活をある程度経験してから、現実に即した転職先を探せるのが大きなメリットです。

すでに生活パターンが確立しているので、勤務条件の優先順位を立てやすく、プライベートと仕事を両立できる条件がそろった仕事を探すことができます。

一方で、結婚後に転職した場合のデメリットは、以下のようなことが考えられます。

・出産の予定を気にする企業もある
・「育児休業」や「育児休業給付金」の対象外になる恐れがある

結婚したばかりの転職活動は、企業や職種によっては不利になる可能性があります。

出産・子育ての予定がなくても、すぐの退職や休暇に入ることを懸念して採用を控える企業が存在する現実は、まだまだ否定しきれません。

また、転職後すぐは「育児休業」が取得できなかったり、「育児休業給付金」が給付対象外になる恐れがあります。*4

転職後に、自分が条件を満たせるかどうかを確認することが必要です。

まとめ

働く女性の現状と、結婚を機に働き方を変えたい場合の選択肢についてお伝えしてきました。

女性の転職は、状況にあわせて複合的に判断しなくてはいけません。

選択肢が増えれば増えるほど、考える要素が増えてしまい大変です。

どうすればよいか迷ってしまった時には、あなたらしく働ける方法を考えましょう。

「何が大切か」「何を優先したいか」で決めるといいかもしれません。

もちろんパートナーに相談することも大切です。

あなたにとって良い選択ができることを願っています。


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【エビデンス】
*1独立行政法人労働政策研究・研修機構「図12 専業主婦世帯と共働き世帯」
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0212.html
*2マイナビ「女性活躍の現状(2021年)~女性のキャリア選択肢を増やすために~」P15~17
https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2021/03/2021_joseikatsuyaku.pdf
*3ニッセイ基礎研究所「大学卒女性の働き方別生涯所得の推計」P105
https://www.nli-research.co.jp/files/topics/56140_ext_18_0.pdf?site=nli
*4マイナビ「転職直後に妊娠が発覚した場合、産休・育休・給付金はどうなる?」
https://mynavi-agent.jp/knowhow/pregnancy/


【著者】髙橋 めぐみ

求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供する一部上場企業に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在はこれまでの経験を活かし、人材や教育に関する記事を中心にフリーライターとして活動中。