女性の社会進出が進んだ影響もあり、今日では夫婦共働き世帯も珍しくなくなりました。
共働きには収入が増えるなどの多くのメリットがありますが、家庭と仕事を上手に分散する必要があるなどの苦労も存在します。
そこで本記事では、共働き世帯の現状からメリット・デメリット、これから共働きに向けて就活する場合に準備すべきことをお伝えします。
共働きを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
共働き世帯の現状
まずは共働き世帯の割合と、共働き世帯が増えた理由について解説していきます。
共働き世帯の割合
男女共同参画白書によると、昭和55年以降、夫婦共に雇用者の共働き世帯は年々増加しています。*1
平成9年には共働き世帯数が、男性雇用者と無業の妻から成る世帯数を上回りました。
そして平成24年頃から、その差は急速に拡大しています。
令和2年には、共働き世帯が1,240万世帯、男性雇用者と無業の妻から成る世帯は571万世帯です。
割合としては全体の68.4% が共働き世帯となりました。
同時に「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」は減少し続けており、昭和55年の時点では1,114万世帯であったのに対して、令和2年の時点で571万世帯にまで減少しています。
データから見ても、現在の日本では共働き世帯が多数派であり、共働きがスタンダードな家庭のスタイルになっていると言えるでしょう。
共働き世帯が増えた理由
共働き世帯の割合が大幅に増えた理由は、社会の意識の変化などが大きく関わっています。
ここでは共働き世帯が増えた理由について、2つの側面から説明していきます。
性別役割分担意識の変化
共働きが増えた1つ目の理由として、「性別役割分担意識の変化」が挙げられます。
性別役割分担意識とは、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方のことです。
この考え方に反対する男女の割合は年々増加傾向にあります。
令和元年の調査では、反対する者の割合が女性で63.4%、男性は55.7%でした。*1
世間は女性が働くことに前向きな意見が大勢になりつつあります。
この意識の変化が、女性の社会進出を後押ししていると考えられます。
世帯年収の減少
世帯所得の減少も、共働きが増えた理由の1つだと考えられます。
1世帯あたりの全世帯の平均所得金額は、平成6年の664万円をピークに少しずつ減少しています。
減った分の所得を補うためには、妻が働くことが1番簡単な解決方法です。
共働きが増えるのは自然な流れと言えるでしょう。
共働きのメリットとデメリット
それでは、共働きのメリットとデメリットを説明します。
共働きのメリットとデメリットを確認したうえで、「共働きを選択するのか」を夫婦で話し合いましょう。
メリット
まずは、共働きのメリットについて紹介します。
共働きすることによって、金銭面で大きなメリットを得られます。
・収入が増える
・経済的なリスクを分散できる
・将来の年金が増える
1つずつ確認してきましょう。
収入が増える
共働きの最大のメリットは、収入が増えることです。
夫婦両方がフルタイムで働けば、単純計算で収入は2倍近くに増えます。
国税庁の民間給与実態調査によると、令和元年度の平均給与は男性が540万円、女性が296万円です。*2
共働きとして男女の平均給与を足すと、世帯年収は800万円を超える計算となります。
経済的なリスクを分散できる
万が一、病気や事故、勤務先の倒産といった事態となり、片方の収入が断たれたとしても、共働きをしていれば、もう一方の収入で生活をキープできます。
療養や再就職のための活動を焦らずに行うことも可能です。
またどちらかの勤務先の経営状態が悪化して、ボーナスがカットされてしまうなどといったケースでも、二馬力で働けることの安心感は大きいと言えるでしょう。
将来の年金が増える
将来的に貰える年金が増えるのもメリットの一つです。
専業主婦(夫)だった場合は、年金は基本的に国民年金となります。
一方で正社員で夫婦共働きの場合、両方が厚生年金に加入することができるので、定年後に支給される年金も増えます。
令和2年度の年金額改定によるモデル年金額は、夫婦共働きの場合は1か月あたり28万3000円です。*3
一方、一人で働き続けていた家庭の場合は22万724円です。
比較すると、共働きで両方が厚生年金に加入していた場合は月額6万円ほど増える計算になります。
デメリット
共働きを選択するのであれば、メリットだけではなくデメリットに注目することも大切です。
金銭面には余裕が生まれたとしても、精神的・体力的にストレスを抱えてしまうことも少なくありません。
メリットとデメリット、自分たちにはどちらの方が大きいのか比較する必要があります。
・家事がおろそかになりやすい
・自由な時間がなくなる
・子どもとの時間が減ってしまう
3つのデメリットを確認していきましょう。
家事がおろそかになりやすい
共働きをしていると、どうしても家事に割く時間は少なくなってしまいます。
家事をしっかりこなしたい方にとっては、大きなストレスになるでしょう。
夫婦の間で家事の分担を行っていたとしても、帰宅時間が遅かったり、休日が不定期になったりすると、決めた分担通りにこなすことができないこともあります。
お互いに協力し合う姿勢が必要です。
自由な時間がなくなる
共働きをすると、どうしても自由な時間がなくなります。
ベネッセコーポレーションとプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパンが0~10歳までの子を持つ20~40代の有職女性267名に対して行った調査では、仕事と家庭の効率化を行ってできた時間を何に使いたいか尋ねたところ、「自由な(追われない)時間」(76.4%)が最も多い回答となりました。*4
共働きになると自分の時間がほとんどとれなくなり、ストレスが溜まる可能性が高いでしょう。
子どもとの時間が減ってしまう
共働きになると、子どもと過ごす時間が減ってしまいます。
子どもが小さい場合には保育園などに預けて働くことになりますが、子どもが成長する姿やその瞬間に立ち会えない場合があります。
初めて立った瞬間、初めて歩いた瞬間など、我が子の初めてを見逃してしまう可能性もあります。
共働きに向けて準備すべきこと
これから共働きに向けて動き出そうという方は、就職活動を始める前に3つの準備をしておきましょう。
・家族設計と働き方を考える
・家事や育児の分担について話し合う
・デリケートな質問への返答準備
事前に働き始めた後のことや、将来のことを考えておくことが大切です。
家族設計と働き方を考える
出産や育児は、共働きをする上で大きな壁となります。
共働きを始める前に「子どもがいつの段階で欲しいのか」を事前に話し合いましょう。
そして、その家族設計に合わせて働き方を考えることが大切です。
例えば、数年後に1人目の子どもが欲しいという場合は、産休や育休が取りやすい企業を探して就職するという選択肢や、給与が良い企業に勤めて貯金を増やすことを優先するという選択肢などがあります。
また子育てを優先したい場合には、時間に融通が利くパートタイムや、在宅勤務やフレックスタイム制を導入している企業を探してみるなどの選択肢もあります。
今後の生活を具体的にイメージして、家族設計とそれに合わせた働き方を夫婦で考えてみましょう。
家事や育児の分担について話し合う
家事や育児の分担について話し合いましょう。
明確に役割を分担しておけば、後々家事のことで揉める可能性を抑えることができます。
しかし負担が偏っていると、夫婦喧嘩の原因になりかねません。
自分たちにとって必要な家事を、バランス良く割り振るように心がけてください。
全てをこなすのが難しい場合は、家事代行サービスを利用することや、時短家電の購入を検討してみましょう。
デリケートな質問への返答準備
「結婚、出産しても働き続けられますか?」「子どもの予定は?」などの就職差別につながるおそれのある不適切な質問は、男女雇用機会均等法の趣旨に違反する採用選考につながるとされています。*5
しかし面接官は「妊娠・出産をきっかけに退職してしまうのではないか」ということを懸念し、似たような質問をするかもしれません。
内容によって回答する必要はありませんが、予め想定しておくと自分の考え方や姿勢を上手に伝えることができるでしょう。
まとめ
今回は、共働き世帯の現状からメリット・デメリットなどについてお伝えしてきました。
現代の日本では共働き世帯の割合は6割を超えており、珍しいものではなくなりました。
しかし共働きが多数派だからと言って、良いと決まったわけではありません。
共働きには収入が増えるなどのメリットはありますが、家事や子育てなどの面で問題が生じる可能性もあります。
夫婦の考え方や環境によって、何を優先させ、何を大切にするかは異なります。
共働きのメリットとデメリットを確認したうえで、自分たち夫婦に合っているスタイルを検討してみてください。
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【エビデンス】
*1 男女共同参画局「男女共同参画白書 令和3年版」P110
*2 国税庁「令和元年分 民間給与実態統計調査」
*3 DIAMONDonline「最強の老後対策は「夫婦共働き」と断言できる3つの理由」
*4 マイナビニュース「子を持つ共働き家庭の女性が悩んでいること、1位は?」
*5 厚生労働省大阪労働局「就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例」
【著者】髙橋 めぐみ
求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供する一部上場企業に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在はこれまでの経験を活かし、人材や教育に関する記事を中心にフリーライターとして活動中。