【看護師が解説】アフターコロナの転職活動に備えよう 免疫力の低下で現れる病気は?

新型コロナウイルス感染症の拡大により、ウイルスとの共存が日常になりつつあります。
このような状況によって「免疫力が低下すると感染しやすくなる」ということが、以前に比べて知られるようになりました。

免疫力が低下すると、感染しやすくなるだけでなく、もともと体にあるウイルスが活性化することにもつながります。
その代表的なものが、ヘルペスウイルスです。
ヘルペスウイルスは、一度感染すると治癒したあとも体の中に残り、免疫力が低下すると症状が現れます。
健康に過ごすためには、免疫力を維持することが大切です。

今回は、ヘルペスウイルスの特徴や症状、免疫力を維持するためのポイントなどを解説します。

ヘルペスウイルスとは?口唇ヘルペスと帯状疱疹のウイルスは違う!

ヘルペスは、聞いたことがある人も多い病気なのではないでしょうか。

ヘルペスとは、ヘルペスウイルスによる感染症です。
ヘルペスウイルスには多くの種類がありますが、病気としては口唇ヘルペス、性器ヘルペス、帯状疱疹の3つがよく知られています。

ヘルペスウイルスの特徴は、一度感染すると症状が治まったあとも体に残り、再発を繰り返すことです。
抗ウイルス薬がありますが、ヘルペスウイルスを完全に排除するものではなく、ウイルスの増殖を抑えるためのものなので、場合によっては再発する可能性があります。

私たちの身近でよく聞くヘルペスウイルスは、以下の2つです。

① 単純ヘルペスウイルス(HSV)

単純ヘルペスウイルスには、HSV-1とHSV-2の2種類あります。
HSV-1は、顔や口唇に感染し、口唇ヘルペスの原因となります。
HSV-2は性器ヘルペスを引き起こすウイルスで、性器に感染します。

② 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)

帯状疱疹の原因となるウイルスです。
VZVに初めて感染すると、水ぼうそうになります。

「ヘルペス」と聞くと全て同じウイルスと思いがちですが、このように種類の異なるヘルペスウイルスが原因となっています。

ヘルペスウイルスが増殖するとどうなる?ヘルペスウイルスが原因の病気とは

ヘルペスウイルスは、さまざまな感染経路によって感染します。

口唇ヘルペスの原因となるHSV-1は、主に接触感染です。
HSV-1は、唾液や皮膚に存在しており、皮膚同士が接触することで感染します。
その他、使用したタオルや食器を通じて感染することもあります。

性器ヘルペスの原因となるHSV-2も接触感染ですが、主に性行為が原因で感染します。
その他、出産時に赤ちゃんに感染する母子感染でうつることもあります。

帯状疱疹の原因となるVZVの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染の3つです。
強い感染力が特徴で、2014年10月からワクチンが定期接種となり、1歳を過ぎた頃に1回目の接種を行います。*1

次に、それぞれのヘルペスウイルスが引き起こす病気について解説します。

(1)HSV-1:口唇ヘルペス

最初は、唇のピリピリとした痛みや違和感から始まります。
口唇ヘルペスの再発を繰り返す人は、この段階で気づくほど特徴のある症状です。
その後、赤みや水ぶくれができ、次第にかさぶたになって治ります。

(2)HSV-2:性器ヘルペス

性器に潰瘍や水ぶくれができますが、無症状のこともあります。
また、感染直後ではなく、数か月から数年後に発症することもある病気です。
無症状だったとしても、粘膜や分泌液中にウイルスが存在していれば、他人に感染させる可能性があります。

(3)VZV:帯状疱疹

通常は、体の左右どちらかの神経に沿って症状が現れます。
最初はチクチクとした神経の痛みから始まり、次第に赤い水ぶくれが現れます。

帯状疱疹の原因となるVZVは、水ぼうそうと同じウイルスです。
そのため、成人のVZVに対する抗体保有率は90%以上と報告されており、成人のほとんどがVZVに感染していて、帯状疱疹の発症リスクがあると言われています。*2

帯状疱疹の患者数は、年々増加傾向にあります。
以下の図で紹介する「宮崎スタディ(1997-2017)」は、最大規模の帯状疱疹の疫学調査です。
1997~2017年にかけての21年間にわたり、宮崎県皮膚科医会に属する皮膚科診療所33施設と総合病院10施設を受診した帯状疱疹の初診患者のみを対象として調査が行われました。
これによると、人口は8.3%減少しているにもかかわらず、帯状疱疹の年総数は54.5%増加し、平均発症率も68.1%上昇しています。
グラフを見ても、少しずつ増加していることが分かります。*3

引用:国立感染症研究所|帯状疱疹大規模疫学調査「宮崎スタディ(1997-2017)」アップデート

ヘルペスウイルスが活性化する原因とは

ヘルペスウイルスは、一度感染すると症状がなくても体の中に留まり、再発する可能性があることは【見出し1】で説明しました。
再発しやすいのは、大まかに言うと免疫力が低下したときです。

主に以下のような場合に、免疫力が低下しやすくなります。

(1)疲れやストレス

睡眠不足や過度なストレスによって、免疫力は低下しやすくなります。

(2)手術

手術は、体に傷をつける行為です。
もちろん病気を治すために必要なのですが、体に傷がつくと免疫細胞やホルモンなどに影響があるため、免疫力が低下します。

(3)悪性腫瘍(がん)

がんになると免疫力が低下しますし、抗がん剤や放射線療法の副作用によっても免疫力が低下します。

(4)紫外線

意外に思われるかもしれませんが、紫外線も免疫力を低下させる要因になります。
過度な紫外線を浴びると、活性酸素が増えてしまい、免疫力が低下します。

(5)加齢

年齢を重ねると、徐々に免疫力が低下していきます。

帯状疱疹も、若い方よりも高齢者の方がかかりやすいというデータがあります。

【見出し2】で紹介した「宮崎スタディ」によると、帯状疱疹は50代から急激に増加し、発症数のピークは男女とも60代で、発症率のピークは女性が70代、男性は80代でした。*3

ヘルペスウイルスの増殖を最小限にするためにできること

ヘルペスウイルスの増殖を最小限にするためには、免疫力の低下を防ぐことと、早めの治療が大切です。

(1)免疫力を低下させない

【見出し3】で挙げた免疫力を低下させる要因の中には、手術や加齢など私たちの努力では対処できないものもあります。
そのため、できる範囲で免疫力を維持する生活習慣を心がけていきましょう。
例えば、以下のポイントを意識してみてください。

  • 気分転換をしてストレスをためないようにする
  • 規則正しい生活(バランスのよい食事、適度な運動、十分な睡眠)を送る

(2)症状が出たら早めに治療をする

ヘルペスウイルスは、早く治療をするほど増殖を抑えることができます。
治りも早くなるので、症状に気づいたら早めに病院を受診しましょう。

口唇ヘルペスの治療薬(塗り薬)は、薬剤師のいる薬局やドラッグストアで購入できます。
ただし、過去に口唇ヘルペスと診断された方が再発した場合のみです。
初めて症状が出た方や治りが遅い場合は、病院を受診してください。

まとめ

ヘルペスウイルスは、多くの大人がすでに感染し体内に潜んでいるウイルスです。
ウイルスの増殖を抑えて発症を防ぐためには、日々の生活習慣が大切になります。
転職活動では、思うような結果が得られなかったり、採用されても環境の変化に慣れなかったり、ストレスを感じやすい状況に陥りやすいです。
無理なくできる健康習慣から始めて、自分が望む未来に一歩ずつ近づいていきましょう。


【無料】人材紹介事業者向けセミナーのアーカイブ配信

現在、人材紹介事業を行っている方はもちろん、
人材紹介事業の起業を検討中の方向けの動画もご用意しております。
求職者集客から求人開拓まで、幅広いテーマを揃えていますので、お気軽にご視聴ください!
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
視聴料 :無料
視聴手順:
①下記ボタンをクリック
②気になるセミナー動画を選ぶ
③リンク先にて、動画視聴お申込みフォームにご登録
④アーカイブ配信視聴用URLをメールにてご送付
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –


【エビデンス】
*1 神奈川県衛生研究所| 水痘
*2 厚生労働省 | 帯状疱疹ワクチン ファクトシート 平成29(2017)年2月10日
*3 国立感染症研究所 | 帯状疱疹大規模疫学調査「宮崎スタディ(1997-2017)」アップデート


【著者】浅野 すずか
フリーライター。看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。