在宅ワーク中の運動不足、どう解消する?簡単お手軽な健康習慣を看護師が解説

コロナの影響で、在宅ワークが増えたという方も多いのではないでしょうか。
在宅ワークになると通勤がなくなり、またオフィス内での移動や営業の外回りなどもなくなるため、座ったままの姿勢で過ごすことが多くなりがちです。
そんな時、自宅で簡単に取り入れられる運動があれば、良い気分転換と健康維持に役立つでしょう。

そこで今回は、運動不足による影響や運動により得られるメリットを解説したうえで、自宅で取り入れられる運動方法をご紹介します。
スキマ時間に運動を取り入れて、健康維持と仕事の効率アップを目指しましょう。

忙しくて運動できない!成人のスポーツ実施率は?

まず、世間の人は普段どのくらい運動をしているのか、データを見ながら実態を把握していきましょう。

スポーツ庁が令和元年度に実施した「スポーツの実施状況等に関する世論調査」によると、
成人の週1日以上のスポーツ実施率は53.6%(前年度55.1%)でした。
男性の40代と50代、女性の60代では、前年度を上回っている一方で、20代を中心に各年代で低下していることが分かりました。*1

以下のグラフは、成人のスポーツ実施率の推移を表しています。
実施率は年々上昇傾向にありますが、昨年に比べると低下していることが分かります。

次に、運動をしていない人に関するデータも見てみましょう。
「この1年間に運動・スポーツはしなかった」かつ「現在運動・スポーツはしておらず今後もするつもりがない」と答えた「無関心層」は15.2%(前年度14.8%)でした。
実施頻度が減ったあるいは増やせない理由としては、「仕事や家事が忙しいから」が43.7%と最も多く、その次に「面倒くさいから」などが続きます。*1

このように、運動に関して無関心な方がいる一方で、大切だと思っている方は多くいます。
運動・スポーツに関して、「大切」「まあ大切」と答えた人は、全体の71.7%でした。*2

これらのデータから、運動の大切さは分かっているものの、日々の忙しさからなかなか実施できなかったり、運動を取り入れることへのハードルが高く面倒くさいと思っているということが分かります。

座りっぱなしは危険?運動不足により起こり得るリスクとは

座っている時間が長く運動不足になると、身体面や精神面、仕事へも悪影響を及ぼしてしまいます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

(1)身体面への影響

運動不足による影響をイメージしたとき、真っ先に思い浮かぶのが身体面への影響ではないでしょうか。
運動不足によって消費エネルギーが少なくなると、肥満のリスクが高まり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病につながります。
高血圧や糖尿病は、目立った初期症状がないこともあり、自覚しにくい病気です。
治療が遅れると、心筋梗塞や脳出血になり、最悪の場合死に至ることもあります。

厚生労働省のまとめによると、身体活動が不足していることによって日本で年間52,500人もの方々が亡くなったというデータがあります。
今より10分多くからだを動かすだけで、死亡、生活習慣病、がんのリスクを3〜4%減らせることが分かっているのです。*3

引用)厚生労働省 健康寿命をのばそう SMART LIFE PROJECT 「身体活動・運動

このような怖い病気だけでなく、運動不足により自律神経のバランスが崩れてめまいやだるさなどの症状が現れることもあります。
また、骨粗しょう症にもなりやすく、年齢が上がるにつれて介護が必要になるリスクも高まるのです。

(2)精神面への影響

運動不足になると、一般にストレスが増えることを自覚する人も多いのではないでしょうか。
その理由のひとつが、メンタルを安定させる神経伝達物質であるセロトニンやエンドルフィンが少なくなってしまうためです。
ストレスを感じることが増えると、うつ病や睡眠障害につながり、日常生活に支障をきたす可能性があるのです。

(3)仕事への影響

運動不足になると、全身の血液の流れが悪くなる影響も見逃せません。
脳に供給される酸素の量が低下し、集中力の低下や作業効率の悪化が起こってしまうためです。
また、腰痛や肩こりなども原因にもなるので、より効率が悪くなってしまい、悪循環に陥ってしまうでしょう。

運動によってどのような効果やメリットが得られるか

運動不足による悪影響を紹介しましたが、ここでは運動によるよい効果について見ていきましょう。

(1)血流がよくなる

運動すると、全身の血の流れがよくなります。
そうすると、脳へ供給される酸素量が増えるので、集中力が高まる効果が期待できます。
ホルモンや自律神経のバランスも整い、メンタルが安定した状態で過ごせる効果も見逃せません。
また、体温が上がることで免疫力アップにもつながり、丈夫な体を作ることにもつながるでしょう。

(2)筋肉量が増加し、エネルギー消費量が増える

運動をすることで、筋肉量が増え内臓脂肪の減少に繋がれば、多くの良い効果が期待できます。
肥満傾向にある方の場合は、引き締まった体になり、適正な体重を維持できるでしょう。
もちろん、生活習慣病のリスクが低下する効果もあります。
また、筋肉量が増えると正しい姿勢を保つことができるので、腰痛や肩こりなどの予防にも繋がるでしょう。

(3)心肺機能が向上する

心肺機能の向上とは、心臓や肺の機能が高まり、多くの酸素を体の隅々まで届けることができるということです。
心肺機能が高いと、スタミナを維持でき、疲れにくい体になれます。
仕事やプライベートが忙しくても、充実した毎日を過ごすことができるようになるでしょう。

無理せず取り入れたい!適度な運動の具体例とは?

適度な運動が大切なのは分かりましたが、具体的にどの程度運動すればいいのかイメージがわかない方も多いと思います。
ここでは、厚生労働省が発表している「健康づくりのための身体活動基準2013」を中心に見ていきましょう。

18歳~64歳の場合、「身体活動(生活活動・運動)」の基準は、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分以上行うこと、考え方としては現在の身体活動量を少しでも増やす(例えば今より毎日10分ずつ長く歩くようにする)としています。

「運動」の基準は、具体的には息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分行うこと、考え方としては運動習慣をもつようにする(具体的には30分以上の運動を週2日以上行う)と定めています。*4

また、厚生労働省が国民の健康づくりを促進するために行っている「SMART LIFE PROJECT」のサイトの中で、以下の表に分かりやすくまとめられています。

引用 厚生労働省 健康寿命をのばそう SMART LIFE PROJECT 「身体活動・運動

さらに、具体的な運動内容については、厚生労働省のサイトが参考になります。
「新しい生活様式における身体活動のポイント」として、以下のようにまとめています。

  1. 屋外で運動する時は、人に近づきすぎず、他の人が触れる場所にできるだけ触らないようにしましょう。
  2. 家の中で、身体活動のための動画やテレビ番組、ラジオ放送などを利用して体を動かしてみましょう。
  3. 長時間の座りすぎをできるだけ減らし、できれば30分ごとに3分程度、少なくとも1時間に5分程度は、立ち上がって体を動かすようにしましょう。*5

インターネットで検索すると、運動に関する動画やコンテンツがたくさん見つかります。
無理のない範囲で、自分に合ったものを探して取り入れてみてください。

運動を無理せず続けるコツは、今の生活習慣に自然に取り入れることです。
例えば、下記のイラストのように、

  1. いつもより多めに歩く
  2. エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う
  3. 座ったままできる運動をする

などです。
これらは少し意識をすることで取り入れられますので、参考にしてみてください。

引用 厚生労働省 健康寿命をのばそう SMART LIFE PROJECT 「身体活動・運動

まとめ

コロナ禍では家の中で過ごすことが多くなるので、運動をしたくてもなかなか難しいと感じる方もいるかもしれません。
しかし、少しの工夫と意識で、家の中でも運動ができます。
運動は健康維持にも役立ちますし、仕事の効率アップにもつながります。
まずはひとつでもいいので、運動習慣を取り入れていきましょう。


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【エビデンス】
*1 スポーツ庁 「令和元年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」について
*2 スポーツ庁 「令和元年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の概要」p12
*3 厚生労働省 健康寿命をのばそう SMART LIFE PROJECT 「身体活動・運動
*4 厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供] 「健康づくりのための身体活動基準2013
*5 厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供] 「「新しい生活様式」において体を動かす工夫


【著者】浅野 すずか
フリーライター。看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。