人間関係や業務上の悩みが原因で、一度は転職を考えたことがある人も少なくないでしょう。
悩みを解消する手段として、転職を考えるのは悪いことではありません。
しかし、強いストレス状態にあり判断力が低下しているときには、転職の決断はおすすめしません。
もし転職に失敗したら職を失う可能性もありますし、新しい環境に慣れるまではストレスが強くなります。
このように、転職にはリスクもあるのです。
では、精神面が不調な状態で転職を成功させるためには、どのようにしたらいいのでしょうか?
今回は、仕事での悩みが原因で転職を考えている方に向けて、判断ミスで転職を失敗しないようにするためにはどうすればいいのか解説します。
職場でのストレスは仕事量や対人関係が多い
ストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことをいいます。*1
気温の寒暖差や突然の騒音、業務負担の増加など、ストレスは私たちの身近なところに溢れています。
意外なのは、ストレスにはネガティブなものだけではなく、ポジティブなものもあるということです。
例えば、結婚や昇進など喜ばしいことも、人間関係や環境の変化が多少あるため、ストレスになり得ます。
ストレスに対する人間の反応はさまざまです。
スルーできるときもあれば、気分の落ち込みや睡眠障害、食欲不振など体調面に変化が出ることもあります。
ストレスへの反応や受け止め方は、その人や状況によって異なります。
そして、ストレスが必ずしも悪いものというわけではありません。
多少のストレスがあることで、よい緊張感がうまれ、想像以上のパフォーマンスが出せることもあります。
そもそも、ストレスは完全になくすことができないので、私たちはストレスとうまく付き合っていく必要があります。
では、職場でのストレスは具体的にどのようなものがあるでしょうか。
厚生労働省の調査によると、現在の仕事や職業生活に関することで強いストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は58.0%でした。
その内容(主なもの3つ以内)をみると、「仕事の質・量」が59.4%と最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が34.0%、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」が31.3%という結果でした。*2
次に、転職理由で多いものについてです。
令和3年上半期の転職入職者が前職を辞めた理由のうち、個人的理由に絞って見てみると、男性では「その他の個人的理由」が21.0%で最も多く、「給料等収入が少なかった」7.4%、「職場の人間関係が好ましくなかった」7.1%と続きます。
女性では、「その他の個人的理由」が22.7%で最も高く、次いで「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が10.3%、「職場の人間関係が好ましくなかった」が8.9%でした。
これらのデータから、
- 仕事そのものの質や量
- 仕事のミスや責任
- 労働時間や休日、給与等の労働条件
- 職場の人間関係
などにストレスを感じ、転職につながっていることが分かります。
うつ状態やうつ病とは?ストレスが判断力に及ぼす影響
うつ病とは、何をやっても気分が晴れない、眠れないなどの精神面・身体面両方に不調をきたす病気です。
何かしらのストレスが原因で発症すると思われがちですが、現在のところはっきりとした原因は分かっていません。
ただし可能性として、脳の機能が低下し、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質のバランスが崩れ、情報伝達が滞ってしまうことが指摘されています。*4
うつ病と診断されなくても、気分が落ち込む、食欲がないなどの症状が続き、うつ状態になることもあります。
ストレスによって、うつ状態になるのは誰にでもあり得ることです。
しかし、これらの症状が長く続いたり、休んでもなかなか改善されず生活に支障をきたす場合には、早急に病院を受診しましょう。
強いストレスがあったり長く続いたりすると、思考力や判断力が低下します。
なぜなら、先ほども紹介した神経伝達物質のバランスが崩れやすくなるためです。
これにより、何もかもうまくいかないように思えたり、視野が狭くなって柔軟な考え方ができなくなったりします。
うつ状態での転職は危険?!
「職場が合わないのであれば、早く転職した方がいい」「いつまでも悩んでいるなんて、時間の無駄だ」といった意見を聞くことがあります。
ブラックな労働環境やパワハラなどがあり、身体面にも症状が出ているのであれば、早めに職場を変えた方がいいでしょう。
もしそうでない場合、安易に転職するのはおすすめしません。
特に、うつ状態のときに転職の決断をするのは危険です。
なぜなら、上の見出しでもお話した通り、判断力が鈍っていて正しい判断ができないためです。
「転職しか方法がない」「条件はそれほど良くないが、今の職場よりもマシだろう」と思いがちですが、ここは冷静に考えてみましょう。
転職には、リスクもあります。
もし新しい職場が決まっていない場合は収入がゼロになりますし、転職できたとしても新しい職場環境に慣れるには時間がかかります。
このような状況もまた、ストレスにつながります。
精神面が不安定なとき、うつ状態のときには、焦って決断しないことが大切です。
後悔しない転職をするための3ステップ
転職は大きな決断ですし、せっかく転職するからこそ新しい職場では生き生きと働きたいものです。
でもいきなり転職を決める前に、段階を踏んで進めてほしいことがあります。
今回は、3ステップで紹介します。
まずは休む
仕事で悩みがあるとき、「続けるか」「辞めるか」の2択になりがちです。
これまでお話してきた通り、精神面が不安定なときは判断力が低下するため、この決断はおすすめしません。
まずは休んで、心身共に回復させることが最優先です。
規定の休日だけで足りない場合は有休を使うのもよいですし、明らかな不調がある場合には病院で診断書をもらって休むこともできます。
しっかり休息をとることで、少しずつ精神面も判断力も回復します。
何が原因か明確にする
十分に休んで回復できたら、仕事を辞めたいと思った原因が何か明確にしましょう。
仕事のミスを叱責された、長時間の通勤がつらいなど、さまざまあると思います。
精神的に落ち込んでいるときにはマイナスにしか思えなくても、回復するとポジティブに考えられることもあります。
そして、その原因が一時的なものなのか長期的なものなのかによっても、考え方が変わるでしょう。
原因を明確にすることで、転職以外の方法も見えてくるかもしれません。
転職以外の方法も検討する
仕事での悩みを解決する方法は、転職以外にもあります。
同僚や上司に相談する、異動願いを出す、休職するなどさまざまです。
例えば、業務の責任の重さから転職を考えているとしましょう。
責任の重さは、どのようにしたら軽減できるでしょうか。
分からないことは勉強したり質問したりする、先輩にお願いして練習相手になってもらうなど、方法が考えられます。
ストレスとなる原因を解消するために、自分にはどのような選択肢があるのか、冷静に検討しましょう。
転職を決断するのは、このような段階を踏んでからでも遅くはありません。
まとめ
昔に比べると、職業の選択の幅が広がり、転職も珍しいことではなくなりました。
しかし、精神的に落ち込んでいるときは判断力が低下しているので、正しい判断ができない可能性があります。
まずは休んで心身共に回復してからストレスの原因を把握し、それを解消するためにはどのような手段が最適なのか考えましょう。
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【エビデンス】
*1 厚生労働省 「みんなのメンタルヘルス ストレスって何?」
*2 厚生労働省 「平成30年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況 労働者調査」p4
*3 厚生労働省 「令和3年上半期雇用動向調査結果の概況」p17
*4 厚生労働省 「こころの耳 2 精神障害の基礎知識とその正しい理解」
【著者】浅野 すずか
フリーライター。看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。