在宅ワークの効率を高める方法は?休憩の上手な取り方と併せて看護師が解説

在宅ワークは、出勤時間がなくなりプライベートの予定と調整しやすく、新しい働き方として浸透してきました。
このようなメリットがあるものの、反対に「休憩がとりづらい」というデメリットもあります。
働く場とプライベートの場が一緒となる在宅ワークでは、意識して休憩をとらないとダラダラと働いてしまいがちです。
そうすると労働時間が長くなり、余計に休憩できず疲労がたまってしまいます。

そこで今回は、在宅ワークの特徴を踏まえながら休憩をとり、効率的に働くためにはどのようにすればよいか考えていきたいと思います。

在宅ワークにはどのような悩みがあるのか

まず、在宅ワークで働く方がどのようなことで悩んでいるのか見てみましょう。

厚生労働省の資料によると、テレワークのデメリットだと感じる点は、「勤務時間とそれ以外の時間の区別がつけづらい」が44.9%と最も多く、次いで「運動不足になる」、「上司、同僚とのコミュニケーションが不足する」、「業務の効率が低下する」という結果でした。*1
その他の回答からも、在宅ワークで働く方は、メリットだけでなく様々なデメリットも感じていることが分かります。

引用)厚生労働省 「テレワークを巡る現状について」p7

そして、2020年4月以降、テレワークの際に通常の出勤の勤務よりも長時間労働になることがどのくらいあったかという調査では、「よくあった」「ときどきあった」「まれにあった」の合計は51.5%でした。*2
テレワークでは、オフィスでの勤務よりも長時間労働になったことがある方は約半数いることが分かります。

引用)厚生労働省 「テレワークを巡る現状について」p8

なぜ在宅ワークで効率よく仕事を進められないのか

在宅ワークを効率よく進められない原因には、環境による影響が多くあります。

オンオフの切り替えが難しい

前述のように、在宅ワークはオンオフの切り替えが難しいという特徴があります。
在宅ワークでは、働く場所とプライベートの場所が同じです。
そもそも自宅は休憩の場なので、仕事のスイッチが入りにくくなります。
家族がいて、個別のスペースを確保できない場合は、より切り替えが難しくなります。

一人で働くことでメリハリがつきづらい

在宅ワークは、オフィス勤務と比べて成果主義になりがちです。
例えば、途中でだらけて進捗が遅くなっても、終業時間に間に合えばよい場合もあります。
同僚や上司の目がなくなるので、強制力が働かなくなってしまうのです。

また、オフィスの場合、同僚と雑談したり会議室まで移動したりと、業務中に切り替えの場面がありますが、在宅ワークだとそのような機会が減ってしまいます。
そうすると、業務中のメリハリがつきづらく、効率の悪い働き方になっていきます。

休憩をとらないことによる脳への影響

仕事の効率について可視化するひとつの手段として、疲労感と脳の血流について調査した結果があるので紹介します。

独立行政法人労働者健康安全機構のサイトで、疲労感と脳血流の関係を調べた結果が掲載されています。
うつ病不調期・うつ回復期・健康者について、SDS(うつに関する20の質問項目に対する自己記入式の心理検査法)*3というチェックリストから自覚的な疲労感について調査しました。 そして、その疲労感の得点と脳血流との相関関係を調べた結果、図のように、疲労感を強く感じている人ほど前頭葉に特徴的な血流量の低下(黄色)が表示されています。*4

引用)独立行政法人 労働者健康安全機構 「労災疾病等医学研究普及サイト メンタルヘルス

脳の血流量が低下するということは、脳に酸素や栄養が十分に行き渡らなくなるということです。

前頭葉は思考力や判断力に関わっているので、血流が低下することでこれらの機能も低下し、効率よく仕事をこなせない可能性が高まります。
労働時間が長くなるので、さらに休憩がとれなくなるという負のスパイラルに入ってしまいます。

この調査は疲労に対する自覚症状に関しての調査ですが、疲労は自覚症状がない場合もあります。
例えば、緊張するプレゼンの前はアドレナリンが出て、疲れがあったとしても「成功させなければ」という緊張感でいっぱいになり、疲労感は感じないでしょう。
また、いつもお世話になっている上司から「あなたにしか頼めない仕事なんだ」と言われれば、上司に役に立ちたいという気持ちからやる気が出て頑張れてしまいます。
このような場合でも、疲労感は決してなくなったわけではありません。
そのため、疲労感の有無に関わらず適切に休憩をとることで、結果的には効率よく働けます。

効率的な休憩のとり方とは

では、効率よく休憩をとるためには、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。

① ルーティーンを作り、休憩時間も予定に組み込む

まず、一日のルーティーンを作り、仕事モードに入りやすくしましょう。
そうすることで、仕事と休憩のメリハリをつけることができ、休憩も効率よくとることができます。

在宅ワークの場合、周囲の目がないので、休憩しようと思えばいつでも休憩できてしまいます。
反対に、「あともう少し」と頑張ってしまい、働きすぎてしまう方もいるかもしれません。
例えば、「この業務がここまで進んだら、10分休憩する」「1時間に1回は席を立つ」など、あらかじめ休憩のタイミングも考えてみてください。
その際、休憩時間も一緒に決めておくと長引くのを防げます。

その他にも、休憩時間の楽しみを作るのもよい方法です。
好きな飲み物を飲む、少し値段の張るお菓子を食べるなど簡単なものでもいいので、取り入れることで仕事と休憩のメリハリがつけられます。

② 運動やストレッチをする

一見休憩とは正反対のように思われるかもしれませんが、運動やストレッチも休憩のひとつです。
休憩には、積極的休養(アクティブレスト)と消極的休養(パッシブレスト)の2種類があります。
運動は積極的休養にあたり、体を動かすことで脳の血流量が増加し、気分転換にもなります。
前述のように、脳の血流量は仕事の効率化に欠かせません。
在宅ワークは座っている時間が長くなりがちなので、お昼休みに近所を散歩したり、難しい人はストレッチをしたりなど、気軽にできるものから取り入れてみましょう。

③ パソコンやスマホはできるだけ見ない

休憩時間に、動画やSNSを見る方も多いかもしれません。
しかし、在宅ワークでパソコンを使い目が疲れている状況で、休憩時間にもパソコンやスマホを見てしまうと、気分転換にはなるかもしれませんが疲労感はあまり解消されません。
場面の切り替えもできず、時間があっという間に過ぎてしまったように感じ、「休憩したはずなのに疲れがとれていない」状態になってしまいます。
目も疲れてしまうので、休憩時はできるだけパソコンやスマホを見ないことをおすすめします。
例えば、部屋の窓から外の景色を眺めてみたり、座ったまま目を閉じたりするのもよい方法です。

まとめ

在宅ワークは、環境の要因によって適切な休憩がとりづらく、ダラダラ働きがちです。
しかし、事前にこのことを理解しておくことで、対策がたてられます。
在宅ワークはメリハリがつきにくいので、意識して休憩をとることで、仕事の効率を高められます。
できそうなものから、ぜひ試してみてください。


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【エビデンス】
*1 厚生労働省 「テレワークを巡る現状について」p7
*2 厚生労働省 「テレワークを巡る現状について」p8
*3 独立行政法人 労働者健康安全機構 「労災疾病等医学研究普及サイト メンタルヘルス 用語解説
*4 独立行政法人 労働者健康安全機構 「労災疾病等医学研究普及サイト メンタルヘルス


【著者】 浅野 すずか
フリーライター。看護師として病院や介護の現場で勤務後、子育てをきっかけにライターに転身。看護師の経験を活かし、主に医療や介護の分野において根拠に基づいた分かりやすい記事を執筆。