感染症流行期の転職活動は避けるべき?気をつけるべきポイントを医師が解説

新型コロナウイルス感染症の流行は、感染者の増減を繰り返しながらも、いまだ続いています。

「コロナの流行があるので、転職活動は避けたほうが良いのかも」
「転職は今はできないかもしれない」
感染への不安から、こうした悩みを持つ人は少なくないでしょう。

しかし、新型コロナウイルスの他にも、インフルエンザのように注意が必要な感染症はたくさんあります。

そこで、今回は感染症流行期に転職活動をする際に、気をつけるべきポイントをいくつか紹介します。
転職活動中の方や、近いうちに転職活動を始める方にとって、参考になれば幸いです。

感染症流行期に転職活動は避けるべき?

新型コロナウイルス感染症(以降、新型コロナ)は、2020年1月に日本でも患者が確認され、それ以降、社会的な影響を与え続けています。
しかし、新型コロナの他にも、例えばインフルエンザや*1、ノロウイルス*2など、様々なものがあります。
もし、新型コロナの流行が収束を迎えたとしても、依然として、他の感染症の流行は起こりえるのです。

そうはいっても、やはり他の感染症と比較すると、新型コロナをめぐる状況はめまぐるしく変わってきました。
そして、変化する状況を受けて、企業の採用条件や募集状況も刻一刻と変化しています。
変化する状況の中でありながら、転職活動を避けることは、大切な情報収集がおろそかになる恐れがあります。
すると、せっかくの転職の機会を失ってしまうことにもつながりかねません。
感染症流行期であっても転職活動を避けるべきではなく、むしろ続けざるを得ないのが現実的といえるでしょう。

とはいえ、小さなお子さんや、高齢のご両親などと同居している場合、また、自分自身もしくは同居者が基礎疾患をお持ちの場合などは、感染不安もあって、なかなか転職活動に踏み切れないという場合もあるかもしれません。

そこで、以下の項目では、感染症流行期の転職活動で気をつけるべきポイントを医師の観点から解説していきます。

感染症流行期の転職活動でのポイントは?

基本的には感染対策をしっかりととることが重要となります。
また、特にこの新型コロナの流行期においては、自宅で過ごす時間が多くなったという方も多いと考えられますので、この時期ならではの転職活動のポイントもあります。

(1)基本的な感染対策を取る

まずは、感染症にかからない・うつさないということを念頭において生活をしましょう。
具体的には、必要な場面でのマスクの着用・手洗い・三密の回避・換気を徹底することが大切です。*3

*3 引用)内閣官房 新型コロナウイルス感染症対策 感染拡大防止に向けた取組

また、感染症は、以下の3つの要素が揃うことで感染します。*4

*4 引用)厚生労働省 感染対策の基礎知識|1-厚生労働省 p1

1)病原体(細菌・ウイルス・寄生虫など)
2)感染経路(病原体が侵入する経路。接触感染・飛沫感染・空気感染)
3)宿主(しゅくしゅと読みます)(感染を受ける人)

これらのうち、3)の宿主の要素については、その人の抵抗力が高いかどうかによって決まってきます。
しっかり栄養のある食事をとる、睡眠を十分にとる、そして適度な運動をすることなどで、抵抗力を高めるようにしましょう。

同様に、同居者がいる場合には、できる範囲でそうした人たちにも感染対策をとってもらうようにすると良いでしょう。

学校に通っているなど、集団行動をしている同居者がいる場合は、感染症がその場所で流行することもあると考えられます。
そういった環境でも感染を予防する、または発症しないようにするという意味も含め、同居している人たちが一丸となって感染症対策に取り組むのもよいですね。

(2)じっくりと情報収集をする

新型コロナの影響で、外出自粛やテレワーク導入により、今までよりも情報収集や自己分析などに時間を割くことができるようになった人も多いのではないでしょうか。

実際に、マイナビ転職会員を対象として2020年6月に行われたアンケート調査では、8割の人が「新型コロナが転職活動に影響している」と回答しています。
そして、影響を受けた人のうち、15%の人が「じっくりと活動する時間ができた」と回答しています。*5

新型コロナの影響で、テレワークを許容する、また継続する企業も広がっていくと予想されます。*6
従来と比べ、働き方の選択肢が広がっている時期ですので、自分に合った転職先をじっくりと探しましょう。

*6
引用)東京都 産業労働局 報道発表資料 テレワークに関する実態調査の結果をお知らせします!p4

(3)WEB面接を導入している企業を選ぶのも一つの方法

感染対策という観点からは、先に述べた「感染経路の遮断」という点で、他人となるべく接触しないことも方法の一つとなります。

そのため、例えば、WEB面接を導入している企業を選ぶ、というのも選択肢として上がるでしょう。
マイナビの2020年中途採用実態調査によると、WEB面接は2019年12月以前では20%であったものが、2020年7月ごろには40%強となっています。*7

WEB面接の導入が進んでいることがわかります。

極力、対面面接を避けたい方は、そういった視点から転職先を考えることも、一度検討してみてはいかがでしょうか。

*7 引用)マイナビ NEWS RELEASE 「中途採用実態調査(2020年)」を発表 
図4 中途採用活動の面接実施方法(月次推移)

面接直前に感染症にかかってしまったら?

今までに述べてきた対策をとり、十分に注意をしていても、感染症にかかり、発熱や咳などの呼吸器症状、また下痢や嘔吐などの消化器症状が出てしまうこともあるでしょう。

それでは、もしも対面での面接直前にそういった体調不良が出てしまったら、どのようにすればよいのでしょうか。

まずは、すぐに感染症に罹患した、あるいは何らかの症状が出ているということを、面接を受ける予定の企業担当者に連絡するようにしましょう。
体調不良を隠して面接会場に行ってしまうと、周りの人にも感染を広げてしまうリスクがあります。
さらに、新型コロナの場合であれば、面接会場や待合場所などでの状況によっては、濃厚接触者に該当する人がでてくるかもしれません。*8
濃厚接触者と判断された場合、出勤停止などの対応をとる企業も少なくはありません。
自分の行いによって、企業の活動に悪影響を与えることに繋がります。

また、自分自身も体調が悪いのに無理をしてしまうと、感染症からの回復が遅くなってしまうことも懸念されます。
診断がついていない場合であっても、何らかの体調不良がある場合は、当日の対面での面接は中止するように企業側に伝えるべきでしょう。

仮に、WEB面接だったとした場合は、面接を予定通り行うことは可能かもしれません。
しかしながら、体調が万全でない状態ではいつも通りの応対ができるとは限りません。
できれば中止し、まずは感染症の治療に専念することをおすすめします。

【まとめ】

新型コロナ以外にも、インフルエンザやノロウイルスなど、季節的に流行する感染症はあります。

感染症流行期の転職活動のポイントとして、まずは基本的な感染症対策をとることを説明しました。
同居人がいる場合には、その人たちとも一緒に感染症対策に取り組むようにしましょう。

また、WEB面接を取り入れている企業はあるか、という視点で転職活動をするのも一つの案です。

万が一、感染症を疑う症状が現れた場合は、すぐに面接相手に伝えるようにするのがマナーです。
良識ある会社であれば、再度日程を組むことを検討してくれる可能性もあります。

感染症対策をしっかりとして、納得のいく転職ができるようにしてくださいね。


【無料】人材紹介事業者向けセミナーのアーカイブ配信

現在、人材紹介事業を行っている方はもちろん、
人材紹介事業の起業を検討中の方向けの動画もご用意しております。
求職者集客から求人開拓まで、幅広いテーマを揃えていますので、お気軽にご視聴ください!
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
視聴料 :無料
視聴手順:
①下記ボタンをクリック
②気になるセミナー動画を選ぶ
③リンク先にて、動画視聴お申込みフォームにご登録
④アーカイブ配信視聴用URLをメールにてご送付
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –

【エビデンス】
*1 NIID国立感染症研究所 インフルエンザとは
*2 厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A Q8 どんな時期にノロウイルス食中毒は発生しやすいのですか?
*3 内閣官房 新型コロナウイルス感染症対策 感染拡大防止に向けた取組
*4 厚生労働省 感染対策の基礎知識|1-厚生労働省
*5 マイナビ転職サイト 転職のノウハウ 「新型コロナが転職活動に与えた影響は?」Q2(2022年9月14日最終閲覧)
*6 東京都 産業労働局 報道発表資料  テレワークに関する実態調査の結果をお知らせします!p4
*7 マイナビ NEWS RELEASE 「中途採用実態調査(2020年)」を発表 図4 中途採用活動の面接実施方法(月次推移)
*8 厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)3.新型コロナウイルス感染症の予防法 問3 濃厚接触者とはどのような人でしょうか。濃厚接触者となった場合は、どんなことに注意すればよいでしょう。


【著者】nishicherry2480
行政機関である保健センターで、感染症対策等主査として勤務した経験があり新型コロナウイルス感染症にも対応した。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。