「子供を2時間だけ預けたい」
「どうしても外せない仕事があるのに子供が熱を出した」
など、育児中は様々な困難が立ちはだかります。
そんな時に役に立つのが「子育て支援サービス」です。
安価な金額で気軽に利用でき、両親が遠方に住んでいる方や、共働きの方、シングルの方の強い味方となります。
本稿では、各サービスの内容や利用金額などを解説します。
子育てとキャリアの両立を図る上で、上手に使いこなしてみましょう。
意外と身近な育児中の「うつ」
妊娠中、育児中の女性は、様々な要因で「うつ」に罹患することがあります。
妊娠中のうつ病は約10%、産後うつ病はおよそ10~15%の罹患率があり、ママの10人に1人が罹患する身近な症状です。
発症の背景要因としては、うつ病の既往の他、パートナーからのサポート不足など育児環境要因による影響も大きいとされています。
妊娠中から不安やうつの問題がおこっている場合も少なくないため、妊娠中からケアを行う必要があるのです。*1
メンタルヘルスの不調は男性にも波及している
「自分は男なので、育児中のうつなど心配ない」
「夫はメンタルが強いので関係ない」
と思っている方も、他人事ではありません。
実は育児中の男性も、うつのリスクが高いことが分かってきたからです。
国立成育医療研究センターの研究グループは、産後1年間に夫婦が同時期に「メンタルヘルスの不調のリスクあり」と判定される世帯の割合と、その関連要因について解析を行いました。
その結果、夫婦が同時期に「メンタルヘルスの不調のリスクあり」と判定された世帯は3.4%に達することが分かったのです。
2019 年の出生数 86.5 万人をもとに考えてみると、一時的な不調も含め、夫婦が同時期に苦しんでいる可能性のある世帯は 3万世帯弱と推計されます。
とてつもない数字ですが、これが日本人の育児の実態です。
この背景には、父親の長時間労働や母親の睡眠不足、子どもが生後半年から1年の時期であることなども示唆されています。 *2
上記のグラフによると、父親が「産後1年間にメンタルヘルスの不調のリスクあり」と判定される割合は11.0%と 、母親の場合とほぼ同程度(10.8%)でした。
この調査から、父親側のメンタルも、母子と同程度の水準でケアしていく必要があることが分かります。
育児中は、男性も女性も等しくストレスを抱えているのです。
日本人の育児は常にうつと隣り合わせの状態で、まさに「明日は我が身」なのかもしれません。
産後うつには超強メンタルも勝てない
かくいう筆者も、産後うつのような症状に陥ったことがありました。
病院にいかなかったために診断されなかっただけで、恐らく産後うつだったのではないかと思うのです。
だからこそ、育児に悩むパパママの気持ちが痛いほど分かります。
正直なことをいうと、筆者は「超強メンタル」だと思います。
上司から理不尽に怒られている最中、しゅんとした表情を作りながら、上司の頭の輝きに思いを馳せることができるタイプです。
多少ミスが重なったとしても、「ま、いっか!」とあまり気にしないテキトー人間でもあります。
誰にも彼にも「うつになどなり得ない」と言われてきた筆者でさえ、産後うつのような症状があったのです。
出産後には、子供のため常に笑顔でいなくてはいけないと、自分を鼓舞し続けていました。
仕事があるのに、離乳食作りや寝かしつけを頑張ってくれる夫には、弱音など吐けません。
実家が遠方にあったこともあり実母は頼ることが出来ず、近所に住む優しい義母にも頼りすぎては申し訳ないと、一人で頑張ろうとしてしまったのが良くなかったのだと思います。
産後3週間もしたころでしょうか、筆者は次第にイライラした気持ちがコントロールできなくなり、夫にも子供にもそのイライラをぶつけるようになってしまいました。
当然夫とも険悪になりますし、子供は泣いてばかりいます。
その都度、「私はなんてダメな母親なんだ」と夜中に独り涙したものです。
これではいけないと思い、何とかこの状況を打破したいと調べた結果、国や地方自治体の支援サービスに出会いました。
筆者は、この出会いに救われたのです。
両親を育児ストレスから開放する一手とは
少子化が進む中、現在は国や自治体が総力を挙げて、育児に追われる両親をサポートしています。
誰でも利用することができ、いざという時に非常に役立つものばかりです。
本稿では、主に未就学児を対象とした一部のサービスをご紹介します。
まずはココに相談を!「利用者支援」
「最近、子育てが辛い…」
「どんなサービスを利用できるか分からない」
「持病の通院のために、少しだけ子供を預けたい」
「施設の利用手続きを教えてほしい」
などの様々な悩みに対して、利用者支援専門員が情報の提供や支援の紹介をしてくれるサービスです。
地域子育て支援拠点や行政窓口に、利用者支援専門員が常駐しています。
関係機関や地域と連携して運営されているため、何か悩みがあればまず「利用者支援」を活用するのがオススメです。*3
例えば八王子市では、下記のようなサイトを運営しています。
■八王子市子育て応援サイト「利用者支援事業」
このようなサイトは各自治体ごとに設けられており、相談場所や利用時間などの詳細が記載されています。
筆者も、まずこのサービスを利用し、様々な支援方法があるのだと知りました。
あの時に担当してくれた利用者支援専門員さんには、今でも心から感謝しています。
無料で相談でき、非常に便利なサービスです。
ぜひネットで検索してみてください。
リフレッシュ目的でもOKな「一時預かり」
急な用事や、短期のパートタイム就労のほかにも、リフレッシュしたい時などに利用できるサービスです。
保育所などの施設や地域子育て支援拠点などで、子どもを預けることができます。*4
利用料金は自治体によって異なりますが、さいたま市では2000円程度で利用できるなど、安価なのも特徴です。*5
「乳幼児を育てていて両親ともに寝不足」
「子育てから少し離れて、自分の時間が欲しい」
このようなときはぜひ利用してみてください。
宿泊が必要なら「子育て短期支援」
保護者の出張や冠婚葬祭、病気などで、子どもの保育ができない場合に、短期間の宿泊で子どもを預けることができます。*6
利用料金は自治体によって異なりますが、横浜市では年齢や時間帯によって1時間400円~700円、24時間の上限は1万円で預けることができます。
別途1食ごとに食事代がかかるため、注意が必要です。
住民税非課税世帯やひとり親世帯など、特定の条件に該当すると最大5割減免されるなど、減免制度がある自治体もあります。*7
外せない仕事の日に急な発熱!困ったときは「病児保育」
自分が病気になってしまったり、病後の子どもを家庭で保育できない場合に、病院・保育所などに付設されたスペースで預かってくれるサービスです。
筆者もこのサービスには大変お世話になりました。
保育所などの施設によっては、保育中の体調不良児を、保護者の迎えまで安静に預かってくれるところもあります。
平成28年からは、保育園や幼稚園で保育中に具合の悪くなった子どもを、看護師等が送迎し病児保育施設で保育してもらえるようになるなど、利便性も増しています。*8
利用料金は自治体によって異なりますが、千葉市では1人1日2,050円、6時間1,230円と非常
に安価に利用できます。
1食ごとに食事代がかかること、場合によっては医師の診察代がかかることもあるようです。*9
利用する際には、事前に「利用登録票」を記入し、利用したい施設の窓口で登録手続きを済ませなければなりません。
ご自宅近くの施設を探し、事前に登録しておくと良いでしょう。
このように、現在は国と地方自治体が一丸となって、様々なサービスを運営しています。
自分の心と身体と相談しながら、積極的に利用を検討してみてください。
まとめ
江戸時代には、長屋に住むご近所さんがみんなで子供を育てたそうです。
沢山の大人たちが一緒になって、子供の安全と健康を守っていたのでしょう。
子育ては一人でするものではありません。
しかし、現在の日本では、配偶者の仕事内容や義両親・両親との関係など、様々な状況が重なって、ワンオペ育児を余儀なくされる方が多くいらっしゃるのも事実です。
ですから、辛い時には誰かを頼りましょう。
自分自身がボロボロになってしまったら、元も子もありません。
「子供が可愛い」と思えているのは、自分のメンタルが健全だからです。
ご飯がおいしい、よく眠れる、笑い声が出るのは、健康だからです。
「助けてほしい」と声をあげたら、必ず誰かが手を差し伸べてくれます。役立つサービスもたくさんあります。
決して抱え込まず、辛さを我慢せず、自分が楽しいと思える状況になるまで、存分に頼ってください。
共に、育児を楽しみながら生きていけたらいいですね。
本稿が、その助けになりましたら幸いです。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
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【エビデンス】
*1 公益社団法人 日本産婦人科医会「産後うつ病について教えてください」
*2 国立成育医療研究センター「NEWS RELEASE 産後、同時期にメンタルヘルスの不調で苦しんでいる夫婦は年間約3万組!?~母子だけでなく、父親も含め世帯単位での支援やアセスメントが必要~ 」p.1-3
*3 内閣府・文部科学省・厚生労働省「子ども・子育て支援新制度なるほどBOOK平成28年4月改訂版」p.11
*4 内閣府・文部科学省・厚生労働省「子ども・子育て支援新制度なるほどBOOK平成28年4月改訂版」p.9
*5 さいたま子育てWEB「一時預かり(一時保育)」
*6 内閣府・文部科学省・厚生労働省「子ども・子育て支援新制度なるほどBOOK平成28年4月改訂版」p.10
*7 横浜市「24時間型緊急一時保育について」
*8 内閣府・文部科学省・厚生労働省「子ども・子育て支援新制度なるほどBOOK平成28年4月改訂版」p.9
*9 千葉市「病児・病後児保育事業のご案内」
【著者】FPかぴさん
フリーライター。某大手コスメ紹介サイトから保険ショップへ転職をした美容オタク。特にクリニックの肌治療とネイルにはうるさい。複数のメディアでコラムを執筆する2児の母。FP上位資格のAFP取得済み。