ダイバーシティ促進で広がる男性の育児休業!育休を取得するメリットとは?

ダイバーシティ&インクルージョンや女性の活躍が求められる中で、男性の育児休業についても関心が高まっています。

2020年度の育児休業取得率は12.65%と初めて1割を超え、過去最高を記録しました。*1

さらに2022年4月には「育児・介護休業法」が改正され、男性も育児休業が取りやすい環境が整い始めています。

しかし男性の育休取得率が約1割に留まっているのは、男性の育休の仕組みやメリットを理解していない人が多いからでしょう。

今回は男性が育休を取得するメリットや、企業の事例について紹介していきます。

男性の育児休業制度とは

育児休業制度とは、育児・介護休業法に定められた両立支援制度のことです。*2
子どもが1歳に達するまで、申し出により育児休業が取得できます。

下記の制度もありますので、上手く活用しましょう。*3

パパ休暇出産後8週間以内の期間に、パパが育児休業を取得した場合は、特別な事情がなくても、再度パパが育児休業を取得できる
パパ・ママ育休プラス両親ともに育児休業を取得する場合は、子どもが1歳2か月に達するまで育児休業期間が延長される

「私の会社には育休制度がないから取得できない」と考えている人もいますが、育児休業は性別にかかわらず、「育児・介護休業法」に基づく労働者の権利です。

就業規則などに規定がなくても、法の要件を満たす労働者からの申し出があれば、企業は休業を認めなければなりません。*4

育児・介護休業法の改正

育児・介護休業法の改正は、2022年4月から3段階で施行されます。*5

2022年4月1日施行1.雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化
2.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
2022年10月1日施行3.産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
4.育児休業の分割取得
2023年4月1日施行5.育児休業取得状況の公表の義務化

育児・介護休業法の改正により、育児休業を分割して取得できるようになったり、育休取得中も仕事をすることが認められたりと、より柔軟な制度へと変化しています。

また、育休取得対象の男性に企業が取得の意向を個別に確認することや、従業員数1,000人超の企業は育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務付けられます。

今後は「育休を取得できる雰囲気ではない」「言い出せない」という風土は、少しずつ変わっていくことでしょう。

男性の育休取得のメリット

男性の育児休業取得は、従業員と企業の双方にメリットがあります。

従業員のメリット

従業員が育児休業を取得した場合のメリットとして、以下のような効果が考えられるでしょう。

・夫婦仲が良好になる
・妻のキャリアロスを短縮できる

夫婦仲が良好になる

妻の出産後に夫が育児休業を取得すると、夫婦仲が良好になるでしょう。
また大変な乳幼児期に夫婦が協力し合って子育てをした場合は、妻の夫に対する愛情がV字回復していくという調査結果があります。*6

育児休業を取得し育児を手伝うことで夫婦仲が良好になるのですから、積極的な取得と子育て参加を心がけたいものです。

妻のキャリアロスを短縮できる

夫が育児休業を取得し育児に参加することによって、妻は復職を早めることができ、キャリアロスを短縮できます。

実際に「夫が育児休業を取得してくれたおかげで、仕事へ1年以内に復職でき、復帰後の順応も比較的ラクだった」という声もありました。*7

企業のメリット

企業のメリットとしては、以下のような効果が考えられるでしょう。

・企業イメージや評価が向上する
・社員の帰属意識が高まる

企業イメージや評価が向上する

高い育休取得率を公表することによって、「育休に注力している」「社員を大切にしている」「柔軟な働き方ができる」というイメージになり、企業の評価が向上します。

また若手就労者の間では、育休取得の意向が年々高まっており、就活男性の77.5%が「男性育休に注力している企業を選びたい」と回答しています。*8

男性も育休を取得できる環境が整っていることは、若手の人材を確保する際に積極的にアピールできるポイントになるでしょう。

社員の帰属意識が高まる

男性も育児休業を取得できる環境を整えることで、社員の帰属意識が高まり、離職率の低下が期待できます。

内閣府の調査によると、育休取得者は「会社への好感度が強まった」「会社への帰属意識が強まった」と回答した比率が高く、逆に「転職への関心が強まった」という回答の比率は低くなっています。*9

この結果から、育休後には会社への帰属意識や好感度が高まり、社内でのキャリア形成意欲が向上していることが分かります。

育休が取得できる環境を整えることは、優秀な人材の流出を防ぐことにも役立つでしょう。

男性の育児休業促進の企業事例

男性の育児休業促進の企業事例として、厚生労働省が行った「イクメン企業アワード2020」でグランプリに輝いた2社を紹介します。*10

・株式会社技研製作所(高知県)
・積水ハウス株式会社(大阪府)

株式会社技研製作所

株式会社技研製作所では、2008年度から2018年度までの男性育休取得率は0%でした。

そこで育休取得をしやすい環境整備のために、社内プロジェクトチームを発足。
全社員に「男性育休に関する知識・意識調査」を実施し、率直な不安や要望を収集・分析しました。

その結果、収入面の不安が浮き彫りになったため、育児休業期間中の収入への不安の軽減として、休業期間中の収入予測ツールを導入します。
さらに社員の意識改革を目的に、男性の育休取得の対象者とその上司に「妻の負担を軽減してあげられるのは夫しかいない」ことなどを伝える育休説明会を開催しました。

取り組みの効果として、男性の育児休業取得実績は2019年度には30%にまで向上し、取得日数も平均110.2日と非常に高い水準を記録しています。

積水ハウス株式会社

積水ハウス株式会社では、2018年9月に「イクメン休業」制度の運用を開始し、法定を上回る3年間を取得可能期間として、対象の男性従業員に1か月以上の育児休業取得を推進しています。

また、休業取得による「経済的不安」や「物理的な取得のしにくさ」などを軽減するため、最初の取得日から1か月間を有給扱いにするとともに、休業(1か月以内)が昇給昇格・賞与・退職金の算定に影響しないようにしています。

取り組みの効果として、2019年2月以降に取得期限を迎えた男性従業員は、全員1か月以上の育休を取得しており、イクメン休業制度における取得率100%を維持しているようです。

まとめ

日本では、男性の育休取得率が低いのが実情です。

しかし、ダイバーシティ&インクルージョンや女性の活躍が求められる中で、男性の育休取得促進の取り組みはさらに加速していくことでしょう。

夫が育児に参加するかどうかで、未来の家族のあり方は変わってきます。
あなたも育児休暇を取得して、育児に参加してみてはいかがでしょうか。

もし、男性の育児休暇を推奨していない企業に勤めている場合は、「男性の育休取得実績がある企業」への転職を検討してみるのもおすすめです。


【無料】人材紹介事業者向けセミナーのアーカイブ配信

現在、人材紹介事業を行っている方はもちろん、
人材紹介事業の起業を検討中の方向けの動画もご用意しております。
求職者集客から求人開拓まで、幅広いテーマを揃えていますので、お気軽にご視聴ください!
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
視聴料 :無料
視聴手順:
①下記ボタンをクリック
②気になるセミナー動画を選ぶ
③リンク先にて、動画視聴お申込みフォームにご登録
④アーカイブ配信視聴用URLをメールにてご送付
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –


【エビデンス】
*1 NIKKEI STYLE「男性育休の取得率、初の1割超え 業界・企業規模で差
*2 イクメンプロジェクト「男性の育休に取り組む育児休業制度とは
*3 厚生労働省「両親で育児休業を取得しましょう!
*4 イクメンプロジェクト「男性の育休に取り組む育児休業等についてよくある質問
*5 厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内 令和4年4月1日から3段階で施行
*6 東京都「パパの育児と愛情曲線!?
*7 厚生労働省「パパの育児休業を応援します!!
*8 マイナビニュース「就活生74%が「男性育休に注⼒している企業を選びたい」–企業の現状は?」
*9 内閣府「男性の育児休業取得が働き方、家事・育児参画、夫婦関係等に与える影響」P26
*10 イクメンプロジェクト「イクメン企業アワード2020」P6-P9


【著者】髙橋 めぐみ
求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供するプライム市場上場企業(元東証1部)に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在はこれまでの経験を活かし、人材や教育に関する記事を中心にフリーライターとして活動中。