新型コロナウイルスの影響を受けて、私たちの生活や仕事の進め方は大きく変化しました。
さまざまな事情から、今の働き方を見直す人も増えているでしょう。
人によっては、転職やキャリアプランの変更を考えている人もいるかも知れませんね。
そこで今回は、新型コロナウイルスが転職市場に及ぼしている影響をデータから分析していきます。
併せて、コロナ禍が原因で退職することになった場合、転職理由や面接での質疑応答のあり方についても考察していきます。
ぜひ、参考にして下さい。
新型コロナウイルスの転職市場への影響
新型コロナウイルスは、転職市場に大きな影響を与えています。
東京商工リサーチの調査によると、2021年7月2日現在の新型コロナ関連の経営破たん(負債1,000万円以上)は、全国で累計1,650件となっています。*1
月別では2月は122件、3月は139件、4月は154件と、3カ月連続で最多件数を更新しました。
その後、5月は124件と2021年1月以来4カ月ぶりに前月を下回りましたが、6月は4月を上回る155件となり、再び過去最多を記録しています。
倒産件数を業種別で見ると、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた「飲食業」が最多の296件です。
一部地域では休業や時短の要請が継続し、営業制限が続く飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっています。
転職活動に対する新型コロナウイルスの影響
次に、マイナビが行った「転職動向調査2021年版」の調査結果から、転職活動に対する新型コロナウイルスの影響をみていきましょう。*2
新型コロナウイルスの影響で、転職活動に積極的になった人の割合は36.9%(「転職に積極的になった」「やや転職に積極的になった」)です。
一方で、転職活動に消極的になった人の割合は19.0%(「転職に慎重になった」「やや転職に慎重になった」)に留まり、積極的になった人の約半分の結果となりました。
特に、20代男性の51.2%が新型コロナウイルスをきっかけに転職活動に積極的になったと回答しています。
また異業種への転職率は48.8%となり、前年(48.2%)から0.6pt増加しました。
業種別にみると、前職の業種が「医療・福祉・介護」「IT・通信・インターネット」だった人は引き続き同業への転職が多くなっています。
一方、前職の業種が「フードサービス」だった人の異業種への転職率は82.4%となっており、前年(56.9%)から25.5ptも増加し、約1.5倍になりました。
新型コロナウイルスが「フードサービス」業界に与えた影響が目に見える結果となりました。
転職活動を始めた理由
マイナビが行った調査によると、転職活動を始めた理由の単一回答の結果は下記の結果となりました。*3
1位:給与が低かった
2位:職場の人間関係が悪かった
3位:会社倒産やリストラ・ハラスメント等の非自発的理由があった
1位は「給与が低かった」が最多で9.9%です。
次いで2位は、2019年に最多だった「職場の人間関係が悪かった」が9.7%で挙げられています。
3位の「会社倒産やリストラ・ハラスメント等の非自発的理由があった」も7.4%となっており、コロナ禍による雇用情勢の悪化が影響している可能性があります。
また、同調査の転職活動を始めた理由の複数回答では、「仕事内容」「給与」「人間関係」「会社の将来性、安定性」「休日や残業時間などの待遇」が多く挙がっています。
順位に変わりがありますが、上位に挙げられる項目は例年と同様の結果となりました。
しかし単一回答と同様に「会社倒産やリストラ・ハラスメント等の非自発的理由があった」が、2018年・2019年よりも増えており、コロナ禍の影響であると考えられます。
コロナ禍が原因で退職した場合の伝え方
ここまで、コロナ禍が私たちの働く環境に大きな影響を与えていることを見てきました。
人によっては、転職活動も現実的な選択肢として考えなくてはならなくなってきているといえるでしょう。
では「コロナ禍が原因」で転職をする場合には、面接でどのように退職理由を伝えれば良いのでしょうか
転職活動の面接では多くの場合、退職理由・転職理由を聞かれます。
この質問の意図は、
「この人は転職に何を求めているのか」
「仕事や働き方において、何を重視するのか」
を確認し、自社の理念や仕事の進め方に合うのかを判断するためです。
今回は、以下3つのパターンに分けて説明していきます。
「倒産」「解雇」の場合
倒産や解雇などの理由で退職する場合は、「会社都合」となります。
コロナ禍による倒産や解雇は、転職者個人の責任ではありません。
面接でも「会社都合」での退職であることをはっきりと伝えましょう。
しかし「解雇」には、勤務態度や個人の業績など、個人への評価が低いことによる理由も含まれています。
解雇が理由の場合には、個人への評価が低いことが原因だと思われないように、退職理由について簡潔に伝えられるようにしておく必要があります。
また面接では、倒産や解雇に至るまでに「会社で自分が奮闘した過程や成果」をセットで伝えられるようにしておくと良いでしょう。
会社が困難なときでも、自分にできることを全力で、前向きに取り組む人材だと評価してもらうことができます。
もし休業や自宅待機などになってしまい、全く仕事に携われなかった場合は、その空いている時間を利用して、どんな自己啓発に取り組んでいたかなどのエピソードを準備しておけば、面接官の目を引くことができます。
退職が会社の業績悪化によるものだとしても、会社のせいにするのではなく、謙虚な姿勢を忘れないようにしてください。
「業績悪化」「経営不振」の場合
会社都合まではいかなくても、コロナ禍による業績が悪化や経営不振が続き、それが理由となり転職活動をはじめる方もいるでしょう。
そのような場合も
「会社の業績が悪化しているから」
「経営不振に陥り会社の先行きが不安だから」
「給与に影響が出ているから」
など、退職理由を率直に伝えても良いでしょう。
ただし、退職理由として伝えるときには
「どの程度、業績が悪化したのか」
「給与カットがどれくらい行われたのか」
など、具体的な事例とともに伝えられるようにしましょう。
単に「業績が悪くなって不安」という理由だけにしてしまうのはリスクがあります。
現在の情勢は、コロナ禍の影響を受けている業界の方が多いので、「業績が悪くなったら、すぐに退職してしまうのでは?」とみられてしまう可能性があります。
退職理由は志望動機とセットで考えましょう。
退職理由の説明は少なめに、前向きでポジティブな転職理由に繋げるようにしてください。
在宅勤務など「働き方」の場合
コロナ禍でも、「会社がリモートワークを認めてくれないので、働く環境を変えたい」という理由で転職を考えている人もいるでしょう。
しかし、それだけを転職理由として面接で伝えるのはおすすめできません。
「家で楽をしたいから」
「家の方が効率が上がりそうだから」
などの浅い考えが転職理由なのではないかと面接官に疑われる可能性があります。
また、入社直後は研修のために出勤が必要である企業や、現在はリモートワークを推奨していても、コロナ禍が落ち着いたらリモートワークを減らす予定の企業もあります。
そのような企業から「あなたの考えは、うちの会社とは合わなそうだ」と思われてしまうかもしれません。
コロナ禍での働き方が転職を考えたきっかけだったとしても、そこからさらに転職理由を掘り下げてみましょう。
面接ではリモートワークや在宅勤務などの働き方の部分は、あくまで二次的な要素として話す程度に留めることをおすすめします。
まとめ
コロナ禍で先行きが不透明な状況が続いています。
しかし業界や職種によっては、積極的な採用を行っている企業もあります。
退職理由を整理し、業界や職種ごとの採用動向を把握すれば、
あなたの転職も上手くいくことでしょう。
前向きな気持ちで転職活動を行ってください。
あなたの転職活動が上手くいくことを心より願っています。
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【エビデンス】
*1東京商工リサーチ「「新型コロナウイルス」関連破たん 1,738件【7月2日16:00 現在】」
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210702_07.html
*2マイナビ「転職動向調査 2021年版(2020年実績)」https://www.mynavi.jp/news/2021/03/post_30246.html
*3マイナビ「転職動向調査 2021年版(2020年実績)」
https://www.mynavi.jp/news/2021/03/post_30246.html
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【著者】髙橋 めぐみ
求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供する一部上場企業に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在はこれまでの経験を活かし、人材や教育に関する記事を中心にフリーライターとして活動中。