コロナで失業、雇用保険はいくら貰える?再就職活動支援制度と併せて詳しく解説

総務省が8月31日に発表した7月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は、2カ月連続で改善しました。

しかし、新型コロナウイルス禍は長期化しており、厚労省は「雇用情勢は回復に向かっているわけではなく、依然厳しい状況」としています。*1

今回は、新型コロナウイルス拡大の影響で失業してしまった時に何をするべきか説明していきます。

将来への備えとして是非ご活用ください。

新型コロナウイルスの影響力

新型コロナウイルスの影響で経済活動の抑制が続いており、失業の長期化が懸念されています。

総務省が2021年8月10日に発表した労働力調査(詳細集計)では、2021年4~6月の失業者233万人のうち、仕事につけない期間が1年以上に及ぶ人は74万人で3割以上を占めており、全体数も増加傾向が続いています。*2

また、2021年7月の産業別の就業者数を新型コロナウイルス前の2019年7月と比べると、就業者が増えているのは3つの産業のみで、ほとんどの産業で、就業者数が減っています。

(参考)労働政策研究・研修機構「労働力調査(基本集計)」を参考に筆者作成
https://www.stat.go.jp/data/roudou/rireki/tsuki/pdf/201907.pdf
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf

特に「建設業」「生活関連サービス業、娯楽業」「宿泊業、飲食サービス業」は、どちらも20万人以上が減少しており、厳しい状況が続いています。

2021年8月10日の記者会見では当時の田村憲久厚生労働相も、「特定の産業に新型コロナウイルスが影響を与え続けている。同じ職を探しても、長期的に勤める先がない状況もある」と、現状を分析しています。*2

新型コロナウイルスの影響で失業してしまった場合の支援

それでは実際に、自分自身が新型コロナウイルスの影響で失業してしまった場合にはどうしたら良いのかを、見ていきましょう。

知識として知っているだけでも、いざという時にあなたの力になるはずです。

・雇用保険の基本手当等
・未払賃金立替払制度
・求職者支援(職業訓練受講給付金)
・求職者支援資金融資

雇用保険の基本手当等

新型コロナウイルスの影響を受けて失業した人は、被保険者期間等の要件を満たせば、雇用保険の基本手当を受給することができます。

雇用保険の基本手当は、離職前の賃金の50%~80%の金額を3か月以上受給できます。

求職期間の生活費にすることができるでしょう。

雇用保険の基本手当が支給されるまでには時間がかかる場合があります。

退職したらすぐにハローワークに行きましょう。

未払賃金立替払制度

新型コロナウイルスの影響を受け、企業が倒産してしまった時に、賃金が支払われないままになってしまうケースがあります。

賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、その未払賃金の一定範囲について政府が代わって支払ってくれる制度が、未払賃金立替払制度です。

全額とまではいかなくとも、80%は受け取ることができます。

上記に当てはまる場合は、必ず申請しましょう。

求職者支援(職業訓練受講給付金)

雇用保険を受給できない求職者や、雇用保険の受給を終了した求職者が、ハローワークの支援指示により職業訓練を受講する場合、職業訓練期間中の生活を支援するための給付を受けることができます。

職業訓練とは、就職に役立つ知識やスキルを、基本的に無料で習得することのできる公的な制度のことです。

雇用保険の受給中、職業訓練受講給付金を受給することはできませんが、職業訓練を受けることはできます。

未経験の業界や職種にチャレンジしたい人は、職業訓練の受講を検討してみましょう。

求職者支援資金融資

職業訓練受講給付金を受給しても、その給付金だけでは訓練受講中の生活費が不足する場合には、追加で融資を受けることができます。

コロナ失業した時の行動

次に、新型コロナウイルスの影響を受けて失業してしまった場合には、どのようなことから始めたら良いのかについてもご案内します。

急な失業で焦る気持ちもあると思いますが、落ち着いて行動しましょう。

①ハローワークで雇用保険の申請
②自己分析
③情報収集
④職業訓練の検討

①ハローワークで雇用保険の申請

一番最初に、ハローワークで雇用保険の申請を行いましょう。

求職活動が長引いた時のことも考えて、生活に必要な手当がもらえる準備をしておくことが大切です。

雇用保険は申請しても、すぐに受給できるわけではありません。

書類の準備や説明会への参加など、様々な手続きを段階的に行う必要があるため、給付までに時間がかかります。

また、雇用保険の手続きをしておけば、早めに内定を得た時に受給の3分の1以上が残っていれば「再就職手当て」を受給することも可能です。

金銭面での焦りは、間違った判断を引き寄せやすくなります。

その焦りを生まないようにするためにも、必要な手続きです。

②自己分析

求職活動では、何よりも自分が本当に活躍できる就業先を検討しなければなりません。

その際、最初に2つの大きな分かれ道があります。

  • 「経験のある業界や職種で、スキルを活かす仕事」を選択
  • 「未経験の業界、職種の仕事」に挑戦する選択

自分のやりたいことはどんなことなのか、自分を見つめ直して判断しましょう。

また同時に、自分の経験とスキルの棚卸しも必要です。

自分の経験とスキルの棚卸しをすることで、自分のチカラを活かせる仕事かどうかを判断しやすくなり、履歴書や職務経歴書でアピールすべきことが整理できます。

自分で自己分析が難しい場合は、人材紹介会社に相談しましょう。

キャリアアドバイザーがサポートしてくれるはずです。

③情報収集

自己分析で企業に求めるものが明確になったら、情報収集を行いましょう。

企業の求人情報を探すには以下のような方法があります。

  • 転職サイトや求人誌などの転職メディア
  • 人材紹介会社などの職業紹介事業者
  • 業界団体や、転職支援企業が開催する転職イベント
  • 各企業のHP
  • 知人経由

求人の内容だけで判断せず、企業のHPで経営理念や事業内容を確認するなど、その企業の特徴を把握することもおすすめです。

④職業訓練も検討

勤めていた業界や職種によっては、同じ職種を希望しても求職活動が難航する可能性があります。

求職活動では自分の可能性を広げるチャンスと捉え、幅広い業界や未経験の職種も検討してみましょう。

その際に、力になってくれるのが職業訓練です。

職業訓練は、希望する仕事に就くために必要な職業スキルや知識などを無料で習得することができる公的制度です。

求職活動に苦戦している場合は、職業訓練を利用すれば、自分の可能性を広げることができます。

まとめ

コロナ失業をしてしまった時に、心強い公的制度が雇用保険です。

雇用形態にかかわらず、まとまった時間、期間で働いている人なら、雇用保険を受け取れる可能性があります。

また急な失業で困ったら、一人で悩んだり、安易にお金を借りたりする前に、ハローワークや人材紹介会社に相談をしてみてください。

経済的に追い詰められて、焦って新しい仕事に飛びつくと失敗に繋がります。

国の支援などを受けながら、効率的に求職活動を進めていきましょう。


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【エビデンス】
*1 日本経済新聞「失業率、2ヵ月連続改善7月2.8%、雇用情勢「依然厳しい」
*2 日本経済新聞「失業「1年以上」が3割超 4~6月74万人、長期化懸念
  内閣官房「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける国民の皆様へ


【著者】髙橋 めぐみ
求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供する一部上場企業に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在はこれまでの経験を活かし、人材や教育に関する記事を中心にフリーライターとして活動中。