民間企業から公務員への転職は可能?

公務員への転職に興味を持っていても、「今さら挑戦なんてできない」と諦めている方も多いのではないでしょうか。
しかし近年では、公務員の中途採用は増えており、民間企業を経験してから公務員になっている人も少なくありません。

そこで今回は、転職で公務員を目指す人に、事前に知っておいてほしい情報をご紹介します。

民間企業から公務員への転職は可能?

一昔前までは、民間企業から公務員への転職は難しいものだと考えられてきました。

しかし現在では少子高齢化を背景に、公務員にも現場の人手不足感が強まっており、各自治体は採用ルールの見直しを進めるなど、受験のチャンスは広がっています。*1

経験者採用や社会人枠といわれる社会人経験者の採用では、上限が59歳となっている自治体が多く、実際に横浜市の社会人採用試験の受験資格年齢を確認すると、31歳から59歳までとなっています。*2

更に横浜市では「就職氷河期世代を対象とした横浜市職員採用試験」も行っており、35 歳から 50 歳までであれば、職務経験等も不問で受験することが可能です。*3

このように民間企業から公務員への転職は非常に身近なものになってきました。
自分に合う職種や自治体を探して、公務員へ挑戦してみましょう。

公務員の種類と仕事内容

一言で公務員と言っても、その中身はさまざまであり、国の機関で働く「国家公務員」と、地方自治体で働く「地方公務員」の2種類があります。

ここでは、国家公務員と地方公務員ついて簡単に解説していきます。

国家公務員

国家公務員は、国の行政機関や独立行政法人など、国全体の運営に関わる業務を行います。
国家公務員には特別職と一般職があり、下記のように分けられています。

特別職大臣や副大臣、大公使、裁判官、裁判所職員、国会職員、防衛省職員、特定独立行政法人役員など
一般職検察官や特定独立行政法人職員、防衛省以外の省庁に勤務する職員など

国家公務員は、社会全体のために自分の能力を発揮できるとともに、国家単位の大きなスケールのプロジェクトに取り組めるのが特徴です。*4

地方公務員

地方公務員は、都道府県庁や市役所、区役所、町役場など地方公共団体(地方自治体)で勤務している公務員です。

地域に密着し、住民が暮らしやすい生活環境をつくるために能力を発揮することが求められています。

地方公務員も特別職と一般職に分けられています。

特別職都道府県知事や副知事、市区町村長や副市区町村長など
一般職都道府県庁や市役所の職員、消防士、公立機関で働く看護師・薬剤師・獣医師・保健師・栄養士・司書など

都道府県庁などで務めた場合は、市区町村の区域を超える業務や市区町村と国との調整など、より規模の大きな広域的な行政サービスを行うことになります。*5

市区町村庁などの場合は、地域住民と近い距離での行政サービスが中心で、地域住民の反応をダイレクトに実感することができるでしょう。

公務員への転職活動の前に知っておきたいこと

公務員への転職を考えるにあたって、事前に押さえておきたい基礎知識をご紹介します。
転職活動を始める前に必ず確認してください。

公務員試験の受験には年齢制限がある

公務員への転職を目指す場合には、年齢制限があることを覚えておきましょう。
年齢制限は自治体によって異なります。
国家公務員総合職、国家公務員一般職は、受験可能な年齢は30歳までとなっています。*6

地方公務員の場合は、35歳を年齢上限としているところが多いのですが、茨城県つくば市などは59歳まで受験資格があります。*7

自治体によって設けている受験資格は異なりますので、必ず確認しましょう。
受験する年度によって変更されることもあるのでご注意ください。

資格が必要な場合がある

公務員の中には、定められた資格を取得することが必要となる職種もあります。
例えば、看護師、教師、保育士、栄養士、獣医師、薬剤師などです。
しかし、同じ職種でも受験先により資格要件が異なる場合があるので注意してください。
例えば、東京都や特別区を「福祉」区分で受験する場合には、「保育士」や「社会福祉士」などの資格が必要となります。*8

しかし埼玉県では、同じ「福祉」区分で受験する場合でも、社会福祉主事の任用資格で受験ができ、主事の任用資格は大学で必要単位を取得していれば要件を満たします。*9
つまり埼玉県であれば要件を満たせば、資格を持っている必要はないのです。
自分が希望する自治体の受験資格を、事前に確認しましょう。

公務員になるための方法

民間企業から公務員を目指す場合、「一般枠」か「社会人枠」で受験をすることになります。
社会人経験が浅く、若いうちに転職を目指す場合は「一般枠」、社会人経験がある程度ある人は「社会人枠」から受験するのがおすすめです。
それぞれについて説明していきます。

一般枠を受験

一般枠での公務員試験は、年齢の要件を満たせば誰でも受験が可能です。

「公務員には学歴が必要」というイメージがあるかもしれませんが、学歴はあくまでも試験問題の難易度の目安として試験名に入っているだけです。
高卒の人が、「上級(大卒程度)」となっている上級の地方公務員試験を受験することも可能です。

具体的な試験内容は、基本的に一次試験で「筆記試験」、二次試験で「面接試験」が実施されます。
筆記試験は「教養試験」「専門試験」「論文試験」の3つで構成されるのが一般的です。

社会人枠を受験

民間企業等での有用な職務経験を有する人を、即戦力とし行政に活かすことを目的に行われる採用試験です。*10
受験のためには年齢要件を満たすだけでなく、一定年数以上の社会人経験などが必要です。
年齢要件は一般枠よりも上限が高く設定されていることが多いので、必ず確認しましょう。

また社会人経験年数は、志望先によって異なりますが3年から5年のケースが多く、具体的な試験内容は「教養試験」「論文試験」「面接試験」「職務経験論文」が行われるところが多くなっています。
公務員試験の勉強だけでなく、自分のキャリアの棚卸をしておく必要があります。

臨時職員・非常勤職員に応募

臨時職員や非常勤職員は、公務員として働く非正規職員のことで、一時的な欠員や、臨時の職がある場合に雇用される職員です。
任用期間や報酬などの条件は募集によって異なります。

臨時職員・非常勤職員は随時募集をかけており、選考も「書類審査」と「面接」のところが多いので、公務員が自分に合っているか試してみたいという人は、臨時職員や非常勤職員も検討してみると良いでしょう。

正規の公務員になるためには、上記の公務員採用試験に合格する必要があります。

公務員への転職を失敗しないために

公務員への転職をする前に「転職したい理由」についてよく考えることが大切です。

「公務員は定時で帰れて楽そう」「給与も高いし安定していて安心」などというイメージから転職をしてしまうと、「思っていたのと違った」ということになりかねません。

公務員と一言で言っても、職種も仕事内容はさまざまです。
職種によっては毎日業務に追われ残業が多かったり、業務量のわりに給与が良くないと感じたりすることもあるでしょう。

「残業を無くしたい」「給与を上げたい」という理由なら、公務員でなくても叶えられる可能性があります。
「転職したい理由」を明確にし公務員の仕事内容や試験内容についてよく調べてから、公務員への転職活動をスタートさせてください。

まとめ

民間企業から公務員に転職するためには、希望する職種の仕事内容や試験内容を確認し、しっかりと対策を立てる必要があります。
特に働きながら公務員への転職を目指す場合は、試験勉強の時間をうまく確保していくことが大切です。

公務員にはなりたいけれど、「まだ自分の希望する職種が分からない」という場合は、求人サイトや人材紹介会社に登録してみるのもおすすめです。
求人サイトや人材紹介会社を通して募集をかける地方自治体もあります。
また公務員よりも、あなたに向いている企業が見つかるかもしれません。

自分の可能性を狭めずに、多くのことに挑戦していってください。
あなたの転職活動が上手くいくことを願っています。


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【エビデンス】
*1 産経新聞「職員採用年齢制限撤廃広がる 東大阪市は来月にも
*2 横浜市「令和3年度横浜市職員(社会人)採用試験受験案内
*3 横浜市「令和3年度就職氷河期世代を対象とした横浜市職員採用試験験案内
*4 マイナビ2023「国家公務員の職種
*5 マイナビ2023「地方公務員の職種
*6 人事院「国家公務員採用
*7 つくば市「2022年4月1日採用
*8 東京都福祉保健局「福祉(2類)
*9 埼玉県「令和3年度埼玉県職員採用上級試験等 受験案内
*10 東京都「特別区(東京 23 区)職員経験者 採用試験・選考案内


【著者】髙橋 めぐみ
求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供する一部上場企業に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在はこれまでの経験を活かし、人材や教育に関する記事を中心にフリーライターとして活動中。