「女性活躍」や「ダイバーシティ」といった課題に取り組む企業が増えてきました。
政府も女性活躍推進法の改正などを行い、女性が活躍できる社会を目指しています。*1
しかし子育てと仕事を両立するためには、さまざまな変化を受け入れながら、自分で悩みを解決していくことが大切です。
今回は、働くママが子育てと仕事を両立するための方法について紹介していきます。
自分の手で「子育てと仕事を両立しやすい環境」を整えていきましょう。
働くママはどのくらいいる?
2019年に厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」によると、働くママの割合は、正規雇用が26.2%、非正規雇用が37.8%、その他8.5%という結果でした。*2
全体で見ても、子どもがいる女性の7割以上が働いていることがわかります。
2004年から2019年の15年の間で、約15%増加しました。
同時に、専業主婦の割合は減少傾向にあります。
働くママのタイムスケジュール
子育てと仕事を両立するためには、時間管理を工夫することが大切です。
働くママは、毎日どのようなスケジュールで動いているのでしょうか。
具体的なタイムスケジュールを参考*3に、毎日をうまく乗り切るコツを探っていきましょう。
フルタイムの場合
フルタイムで働くママは、子どもの送り迎えをパパと分担したり、洗濯乾燥機などの家電を上手に利用したりする工夫が目立ちます。
しかし、早起きをして家事をする人や、子どもたちを寝かしつけてから仕事を再開する人など、睡眠時間や食事の時間を削っている人もいるようです。
5時 起床
7時 朝食を作り、片づけ、掃除
8時半→16時半 仕事(昼食なし)
18時 夕食準備or外食
20時 風呂・団らん
21時 洗濯(自動乾燥)を回したまま就寝
時短勤務・パートタイムの場合
時短勤務・パートタイムを選択しているママは、フルタイムで働くママよりも、自分の時間や睡眠時間を確保することができています。
しかし、フルタイムで働くママよりも年収は低くなることが多いようです。
6時半 起床
7時20分 子どもを学校に送る
8時20分 子どもを園に送る
8時40分→17時 仕事
17時半 晩ごはん
19時半 お風呂
21時半 寝かしつけ
22時半 就寝
5時半 起床
7時 朝食
8時半 子どもを幼稚園に送る
9時~ 仕事
14時半 仕事を終えて子どもの迎え
17時半 夕食
19時 入浴
20時 就寝
家庭や自分の時間を大切にしたいのか、キャリアや収入を重視したいのかで、選択すべき働き方は変わります。
自分の理想に合わせた働き方を選択することが大切です。
子育てと仕事を両立させるポイント
ここでは子育てと仕事を両立させるポイントについて紹介していきます。
家庭でできることを確認していきましょう。
・家事は夫婦で協力する
・地域の子育て支援サービスを活用する
・時短家電を取り入れる
家事は夫婦で協力する
子育てと仕事を両立させるためには、夫婦の助け合いが必要です。
家の中にどれだけの家事があるのかを可視化し、家事・育児の役割分担と進め方を共有しましょう。
「自分でやった方が早い」「言ってもやってくれない」と諦めて、家事も育児も一人でがんばりすぎてしまうと、体調を崩す原因になります。
地域の子育て支援サービスを活用する
保育園や幼稚園、学童保育など、地域の子育て支援サービスを積極的に活用しましょう。
預け時間の延長ができたり、長期休みも預けることができたりと、施設によって受けられるサービスは異なります。
生活スタイルに合う、地域の子育て支援サービスを探してみてください。
また、厚生労働省が運営する「ファミリーサポートセンター」の活用もおすすめです。
ファミリーサポートセンターは、子育ての援助を受けたい人と、援助を行いたい人とをマッチングさせる制度です。*4
保育施設の開始前や終了後の時間、冠婚葬祭、買い物などの外出の際に、子どもを預かってくれます。
時短家電を取り入れる
時短家電を取り入れて、家事の負担を減らすこともおすすめです。
洗濯乾燥機を取り入れれば、洗濯物を干す時間も乾かす時間も削減できます。
食器洗い乾燥機があれば、毎日の食器洗いの時間がゼロになり、家族との時間や自分の時間を確保することができるでしょう。
時短家電をうまく取り入れて、家事のストレスを軽減していくことが大切です。
時間に余裕ができれば、心の余裕も生まれてきます。
子育てと仕事を両立させる働き方
子育てと仕事を両立させるためには、働き方を工夫することも大切です。
自分に合う働き方を見つけましょう。
・勤務時間を短くする
・勤務時間帯を変更する
・在宅勤務できる仕事を選ぶ
勤務時間を短くする
子育てをしながら、出産前と同じように働きたいという女性におすすめの制度が、「育児短時間勤務(時短勤務)」です。
短時間勤務制度は、「3歳未満の子を養育する従業員について、従業員が希望すれば利用できる短時間勤務制度を設けなければならない」と育児・介護休業法で定められています。*5
下記の条件を満たせば、利用することができます。
1. 3歳未満の子を養育する従業員であって、短時間勤務をする期間に育児休業をしていないこと。
2. 日々雇用される従業員でないこと。
3. 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと。
4. 労使協定により適用除外とされた従業員でないこと。
(引用)厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」P3
また、「育児時間」を活用するのもおすすめです。
育児時間とは、生後満1年に達しない乳児を育てる女性は、一般の休憩時間とは別に、1日2回、それぞれ少なくとも30分の育児時間を請求することができる制度です。*6
労働基準法第67条で定められています。
一般の休憩時間のように、労働時間の途中に与えなければならないという制約がありませんので、始業時刻から30分と終業時刻前30分というように請求することが可能です。
また、1回にまとめて1時間取ることもできます。
「育児短時間勤務」や「育児時間」をうまく活用し、勤務時間を短くすることで、時間に余裕が生まれ、子育てと仕事を両立しやすくなるでしょう。
勤務時間帯を変更する
「フレックスタイム制」などを利用すれば、フルタイム勤務のまま勤務する時間帯を変更することができます。
フレックスタイム制とは、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が毎日の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度です。*7
日々の都合に合わせて、出勤時間や退勤時間を決められるので、子育てと仕事が両立しやすくなります。
フレックスタイム制を利用できるかは、企業によって異なります。
上司や担当者に確認してみてください。
在宅勤務できる仕事を選ぶ
在宅勤務(テレワーク・リモートワーク)は、自宅にいながら遠隔で業務を行う勤務形態のことです。
通勤をせずに済むため、時間に余裕が生まれ、保育園への送り迎えや、子どもの急な発熱などにも対応しやすくなります。
最近では、多くの企業で在宅勤務が導入され、今後導入予定がある企業を含めた割合は6割近くに達しました。*8
在宅勤務ができるかは、仕事内容や会社の規定などにもよりますので、まずは勤務先の規則や前例を確認してみましょう。
今の仕事のままでは在宅勤務が難しい場合は、在宅勤務が可能な部署に異動したり、転職を検討したりするのもおすすめです。
まとめ
10人中7人のママが、子育てをしながら働いている時代になりました。
「子育てと仕事を両立させたい」という気持ちは、多くの女性が持っているものです。
夫婦で家事を分担したり、子育て支援サービスを活用したり、働き方を工夫したりしながら、「子育てと仕事を両立しやすい環境」を整えていきましょう。
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【エビデンス】
*1 厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)」
*2 厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」P8
*3 マイナビ子育て「ワーママのリアル! みんなの働き方・収入・タイムスケジュールと仕事への満足度を調査」
*4 厚生労働省「子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)の概要」
*5 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」P3
*6 広島県商工労働局「5-4 育児時間は2回に分けて取らなければいけないのか|労働相談Q&A」
*7 厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」P3
*8 総務省「令和2年通信利用動向調査の結果」P5
【著者】髙橋 めぐみ
求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供するプライム市場上場企業(元東証1部)に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在はこれまでの経験を活かし、人材や教育に関する記事を中心にフリーライターとして活動中。
5時半 起床、洗濯して朝食作り、その後に洗い物と掃除
朝は子どものことは夫が担当
8時 出発
8時半→17時 仕事
17時半 子どもをお迎えして買い物
19時半 夕食
20時半 子どもとお風呂
21時頃 子どもを寝かしつけ、その後、持ち帰り残業務対応と夫婦の時間
23時 就寝