人材紹介会社の顧客満足度を高めるには?基礎知識から施策まで解説

どんな業種であれ、経営していくうえで欠かせないのが「顧客満足」の視点です。

なかでも無形商材を扱う人材紹介会社は、顧客満足への取り組み姿勢次第で、その水準は高くも低くもなります。

良くも悪くも、顧客満足度施策の影響が色濃く出やすい業種といえるでしょう。

そこで本記事では、知っておきたい顧客満足の基礎知識から施策のポイントまで、わかりやすく解説します。

顧客満足とは?基礎知識

まず「そもそも顧客満足とは何なのか」、基礎知識からご紹介しましょう。

顧客満足(CS)とは何か

顧客満足(Customer Satisfaction、CS)とは、企業が提供する商品・サービスに対して、“顧客がどれだけ満足したか”を示すマーケティングの概念です。

マーケティングが企業都合を優先する製品中心の考え方から、顧客視点を重視する顧客中心の考え方に移行していく過程で、顧客満足が注目されるようになりました。

実際、“顧客満足・CS”といった言葉は使っていなくても、日々「お客様に満足していただくこと」を目指して業務にあたっているビジネスパーソンは多いはずです。

高い顧客満足度は「顧客ロイヤルティ」と「評判」をもたらす

いうまでもなく、顧客満足は業績向上や売上アップに欠かせませんが、具体的にどう影響するのかといえば、2つのポイントがあります。

顧客ロイヤルティ

1つめのポイントは「顧客ロイヤルティ」です。顧客ロイヤルティとは、顧客が企業やブランドに対して抱く忠誠心(特別な愛着や信頼)のことで、顧客で居続ける源泉となるものです。

顧客満足と顧客ロイヤルティは因果関係にあり、顧客満足を高めることは、顧客ロイヤルティの醸成へつながっていきます。
※顧客ロイヤルティについて詳しくは「人材紹介会社の顧客ロイヤルティの高め方〜長いお付き合いの顧客を増やすために」をご覧ください。

評判

2つめのポイントは「評判」です。高い満足を得た顧客は、その満足した体験を人に話します。

結果として評判が高まり、新しいご縁につながっていくのです。

特に人材紹介のようなBtoBサービスは、企業間で情報交換が行われる機会が多く、良い評判を得ることが業績に好影響を与えます。

顧客満足度を高めるために必要な2つの施策

顧客満足の重要性については、すでに痛感している方が多いかもしれません。

そこで、

「顧客満足度を高めたいのは山々だが、具体的に何をすれば良いのかは手探り状態」

というとき、ロジカルに打ち手を考えるヒントをご紹介します。

顧客満足度を高めるために必要な施策は、次の2つです。

・顧客期待の適切なコントロール
・知覚品質と知覚価値の向上

(1)顧客期待の適切なコントロール

1つめの施策は「顧客期待の適切なコントロール」です。

この視点は、顧客満足度を高めるうえで不可欠にもかかわらず、重要性が認識されていないケースが散見されるため、ぜひ押さえていただきたいポイントとなります。

顧客満足度とは、「事前に顧客が抱いていた期待」と「実際に感じた結果の良し悪し(実感)」の差分なのです。

筆者作成

仮に実感が同等だとしても、事前に抱いていた期待が高いほど顧客満足度は低くなり、事前に抱いていた期待が低いほど顧客満足度は高くなるというカラクリがあります。

エクスペクテーションコントロールができていないと顧客満足度は低くなる

顧客が事前に抱く期待をコントロールすることを「エクスペクテーションコントロール(Expectation Control)」といいます。

エクスペクテーションコントロールができていないと、顧客満足度は不当に低くなるため、注意が必要です。

多い失敗として、成約したい営業パーソンが熱心になるあまり、できないことまで並べて顧客の期待を過剰に煽ってしまう例があります。

顧客が「こんなことも、あんなこともしてもらえる」と、本来のサービス内容を超過して期待を抱けば、本来のサービス内容を提供しただけでは不満が募り、顧客満足度は低くなってしまうのです。

成約はするが過度な期待を煽らない絶妙な位置を目指す

では“期待を下げれば下げるほど良いのか?”といえば、今度は顧客満足とは別の問題が発生します。

「まったく期待してもらえなければ、そもそも成約しない」という問題です。

理想は、顧客の期待は、“成約はするけれども過度な期待は煽らない”、絶妙な位置で着地させることです。

事前の期待は成約に必要な最低限の分量にとどめ、あとは実際のサービスを見て評価していただくという姿勢が、結果として顧客満足度を高めます。

(2)知覚品質と知覚価値の向上

2つめの施策は「知覚品質と知覚価値の向上」です。

前項で“実際に感じた結果の良し悪し(実感)”という表現を使いましたが、その実体にあたるものが「知覚品質と知覚価値」と捉えてください。

知覚=顧客から見た主観的な受け止め方

知覚品質・知覚価値ともに意味がつかみにくい言葉ですが、どちらも英語のマーケティング用語を和訳したものです。

・パーシブドクオリティ(Perceived Quality):知覚品質
・パーシブドバリュー(Perceived Value):知覚価値

知覚=パーセプションは、「顧客による主観的な受け止め、認識」という意味合いになります。

ここでは、品質(クオリティ)や価値(バリュー)を向上させるとき、客観的な品質や価値ではなく、「顧客の主観的な受け止め方を向上させる」という視点が重要、と押さえておきましょう。

言い換えれば、知覚されない品質や価値を高めても、顧客満足度の向上には直結しないのです。

知覚品質を高める方法

具体的に、「知覚品質(パーシブドクオリティ)」を高めるうえで意識したいポイントは以下のとおりです。

・顧客のニーズに応える品質の提供
・品質の高さを理解してもらうためのコミュニケーション
・サービスリカバリー体制の構築

まず必須となるのが「顧客のニーズに応える品質の提供」です。

顧客が抱える課題、悩み、要望をよく理解し、それらを解決する品質を提供することが、知覚品質を高めます。

次に「品質の高さを理解してもらうためのコミュニケーション」も重要です。

どんなに高い品質を提供していても、その高さを顧客が理解できなければ、知覚品質は向上しないからです。

最後に、何らかのトラブルなどで品質が損なわれたとき、すかさずアフターフォローを行う取り組みが「サービスリカバリー体制の構築」です。

マイナスの印象を与える出来事も、その後の対応次第では、顧客との信頼関係を強化するきっかけとなります。

知覚価値を高める方法

続いて「知覚価値(パーシブドバリュー)」は、知覚品質やコストを総合的に捉えて、顧客が判断する価値のことです。

コストには、顧客がサービスの代金として支払った金銭的費用だけでなく、手間暇といった労力、担当者のやり取りから生じる心理的コストなども含まれます。

知覚価値を高める方法は2つで、1つは前述の知覚品質を高めること。もう1つは顧客のコストを下げることです。

コストを下げる最もシンプルな方法は料金を下げることですが、まずは料金以外に顧客の負担となっているコストがないか、点検するところから始めましょう。

顧客にとって総合的にコストパフォーマンスの良いサービスを提供できれば、知覚価値は高まります。

さいごに

マーケティング界では、さまざまな新しい概念が生まれては消えていくのが常ですが、「顧客満足」はあらゆる概念の根底にあるといっても過言ではありません。

どんな施策を取り入れるにせよ、顧客満足はビジネスの基本として普遍です。

顧客満足度を向上させる取り組みを通じて、地に足の着いた骨太の事業を創り上げていきましょう。


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【著者】三島 つむぎ
ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。