転職エージェント自身の労働環境|モンスター顧客の無茶な要求に要注意!

転職エージェントは、求職者の要望に応じた労働条件のマッチングを担っています。その一方で、転職エージェント自身の労働条件・労働環境については、疎かになってしまいがちです。

特に、顧客企業や求職者から無茶な要求を受けた場合、身体的・精神的に過酷な対応を迫られてしまう可能性があります。もし顧客企業や求職者の要求に困ってしまった場合には、会社と連携して適切に対応しましょう。

今回は、転職エージェント自身の労働条件・労働環境を悪化させないための注意点をまとめました。

転職エージェントは、顧客企業・求職者の要望にどこまで従うべきか?

転職エージェントは、顧客企業と求職者の間で、マッチング成立に向けて尽力する立場にあります。

そのため、顧客企業と求職者の双方から過剰な要望を受けて、板挟みになってしまうこともしばしばです。どこまで要望に従うべきかについては、転職エージェントにとって難しい判断となるケースも多いでしょう。

転職エージェントは成果主義・裁量労働制|対応の線引きが難しい

転職エージェントの給与には、インセンティブ報酬(歩合給)が採用されていることが一般的です。たとえば、成約件数や金額に応じた加算が毎月行われる例がよく見られます。

その一方で、転職エージェントには裁量労働制が適用され、労働時間の制限がないケースも多いようです。裁量労働制が適用される場合、働こうと思えば、かなりの長時間働くことができてしまいます。

上記の給与体系・勤務体系を背景として、顧客企業と求職者の過剰な要望にも、できる限り答えようとする転職エージェントの方が多数いらっしゃいます。
このような姿勢は、プロフェッショナルとして尊敬に値しますが、成果(=成約)を目指すあまりご自身の健康を害しては本末転倒です。

顧客企業や求職者の要望に従うかどうかは、成果と負担のバランスを考えて決めるべきですが、線引きはなかなか難しいのが実情でしょう。

会社の合理的な業務命令がなければ、対応の義務はない

法的な観点から言えば、会社の合理的な業務命令がない限り、転職エージェントが顧客企業や求職者の要望に従う義務はありません。

特に、裁量労働制が適用される転職エージェントについては、業務の遂行手段等について、会社が具体的な指示をすることが禁止されています(労働基準法38条の3第1項第3号、38条の4第1項第1号)。
この場合、顧客企業や求職者の要望を実現するための行動を会社から具体的に指示されたとしても、転職エージェントは従う義務を負わない可能性が高いのです。

継続的に理不尽な要望を受けた場合には、その顧客企業や求職者に拘らずに、対応せず取引を打ち切ってしまうことも検討すべきでしょう。

理不尽な要望にはチームで対応することも選択肢

顧客企業や求職者の理不尽な要望について、一人で対応するのが難しい場合には、上司や同僚を含めたチームで対応することも検討しましょう。複数名で対応することにより、ストレスや責任が分散し、状況の改善に繋がる可能性が高まります。

いざという時はスムーズに相談できるように、日頃から上司・同僚とコミュニケーションを取っておくとよいでしょう。

転職エージェントについて発生しがちな労働問題

転職エージェントについては、労働条件・労働環境に起因して、以下の労働問題が発生しがちです。心当たりがある場合には、必要に応じて弁護士や労働基準監督署の助けを借りながら、会社に対して改善を求めましょう。

深夜手当の未払い

裁量労働制が適用される場合でも、深夜労働(午後10時~午前5時)をした場合には、通常の賃金に対して25%以上の割増賃金が発生します。
しかし、労働基準法のルールを誤って適用し、裁量労働制を理由として深夜手当を支給しないエージェント会社も存在するようです。

転職エージェント自身の健康を維持するため、基本的には深夜労働を避けることが望ましいでしょう。しかし、もし深夜労働を強いられているのに、深夜手当が未払いとなっている場合には、会社への請求をご検討ください。

うつ病・急性ストレス障害などの労働災害

顧客企業や求職者から再三無茶な要望を受けたり、成約件数などについて上司から詰問されたりするなど、転職エージェントはストレスフルな労働環境に置かれる傾向にあります。
その結果、うつ病や急性ストレス障害などの精神疾患を発症する転職エージェントの方も多いようです。

業務上の原因によって精神疾患を発症した場合、労働災害として賠償・補償を受けることができます。
労働基準監督署に労災保険給付の請求を行うほか、状況によっては会社への損害賠償請求もご検討ください。

参考:労災保険給付の概要|厚生労働省

従業員の労働環境を改善するため、エージェント会社が取るべき対応

エージェント会社としては、従業員が過酷な労働環境に置かれがちであることを認識したうえで、労働環境改善のために以下の対応を取ることが考えられます。

従業員が抱えているクレーム状況を適切に把握する

顧客企業や求職者からのクレームを一人で抱え込んでいる従業員は、精神疾患などを発症するリスクが高いと言えます。

定期的に1on1ミーティングを開催するなどして、従業員が抱えているクレーム状況を、上司などが随時把握するように努めましょう。

複数担当者制を導入する

クレーム対応等に関するストレスを分散するため、当初から複数担当者制を導入するのも一つの選択肢です。

たとえば、メイン担当・サブ担当の2名を設置し、立場に応じたインセンティブ報酬を設定するなどの方法が考えられます。

十分な健康・福祉確保措置を講じる

裁量労働制を適用する従業員については、労働基準法によって、会社に健康・福祉確保措置を講ずることが義務付けられています。
会社が講ずべき健康・福祉確保措置の例は、以下のとおりです。

・代償休日や特別休暇の付与
・健康診断の実施
・年次有給休暇の取得促進
・健康問題についての相談窓口の設置
・健康状態に応じた配置転換
・産業医による保健指導
など

従業員の健康状態を把握し、定期的にリフレッシュを図れるような仕組みを、会社の体制・実情に合わせて整えましょう。

まとめ

転職エージェントが、より良い労働条件での転職をサポートするためには、自分自身の労働条件・労働環境にも気を配らなければなりません。

顧客企業や求職者から理不尽なクレームを受けた場合には、一人で抱え込むことなく、上司や同僚に相談することもご検討ください。エージェント会社としても、従業員が潰れてしまわないように、クレーム状況の把握やケアに努めることが重要です。

また、インセンティブ報酬や裁量労働制の影響により、転職エージェントは「働きすぎ」になりがちです。成果を求めることも大切ですが、生活の充実や健康も考慮して、ぜひバランスの取れた働き方を目指してください。


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【著者】阿部 由羅
ゆら総合法律事務所代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。企業法務・ベンチャー支援・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。
HP:https://abeyura.com/
Twitter:https://twitter.com/abeyuralaw