収入印紙は人材紹介の契約書に必要?印紙の基礎知識や注意点までマルっと解説!

人材紹介の契約書とは、主に人材紹介会社と求人企業が契約を締結するための書類を指します。

契約書を締結する際に収入印紙が必要になる書類が多い中、人材紹介の契約書に人材紹介の契約書が必要か否か迷ってしまう人は少なくないと思います。
そこで本記事では人材紹介の契約書に収入印紙が必要かどうかについて解説します。さらに収入印紙が必要な書類や収入印紙が必要な時・不必要な時についても解説し、収入印紙について理解を深めていただきたいと思います。

人材紹介の契約書とは?

冒頭でも記載したように人材紹介の契約書とは、主に人材紹介会社と求人企業が契約を締結するための書類を指します。
契約書に含めるべき主な条項として

・人材紹介の業務内容
・手数料の発生条件・計算方法・支払方法
・払戻金制度|短期間での退職時の手数料返還
・直接取引の禁止
・その他

があります。こちらにつきましては詳細に説明をしている記事がありますので、そちらの記事を参考にしてください。

人材紹介契約を締結する際の注意点は?主要な条項・職業安定法上の留意事項を弁護士が解説

人材紹介の契約書に印紙の貼付は必要なのか?

人材紹介の契約書について簡単に解説したところで、本題である人材紹介の契約書に印紙の添付が不要なのか解説していきます。

人材紹介の契約書に収入印紙の貼付は「不要」となります。

収入印紙が不要になることは理解できたけれど、そもそも収入印紙がどのようなものか理解できないとなぜ人材紹介の契約書に収入印紙を貼る必要がないか十分に理解することができません。なぜ、収入印紙を貼付する必要が無いのでしょうか?
ここからは収入印紙の貼付が不要になる理由を、印紙の概要を含めて解説していきます。

収入印紙とは?

「収入印紙」とは、公的な手続きにおいて税金や手数料を支払うために、証票を特定の書類に貼り付けることで使用されます。

通常、収入印紙は印紙税の支払いに使用されるものです。印紙税の納税額に相当する収入印紙を購入して書類に貼り付け、消印をすることで印紙税を納税したことを証明します。

印紙税の課税対象となる書類には、領収書や契約書、約束手形などがあり、法律によって細かく規定されているのでどの書類に印紙を添付するか正しく理解しなければなりません。

印紙税の他に、国家試験の受験手数料を納める場合や免許の交付手数料を納める場合など収入印紙を使用する場面はさまざまです。

人材紹介の契約書に印紙を貼付する必要がない理由

収入印紙について解説しました。契約書には収入印紙を貼る必要がありますが、なぜ人材紹介の契約書には印紙を貼る必要がないのでしょうか。

収入印紙が必要となる契約書は「請負」に関する契約書です。
一方、人材紹介業で取り扱う契約書は「委任」に関する契約書です。
「委任」に関する契約書は収入印紙を貼る必要がありません。よって、人材紹介業で取り扱う契約書に収入印紙を貼る必要はありません。

ここからは委任と請負の違いについて説明していきます。

委任と請負の違い

委任と請負の違いは「完成品が明確に定められて、その完成品を提出するか否か」です。

民法の視点で違いを見ると、

委任は「法律行為をすること」を相手に求めますが
請負は「仕事の完成」を相手に求めます。

別の視点では、

委任」は仕事の完成にかかわらず、行った業務に対し報酬を請求しますが
請負」は仕事を完成させたときに報酬を請求するという違いがあります。

人材紹介業者は、求人者である企業に対して人材を紹介することを保証しているわけではありません。
候補者が選考中に辞退するリスクもあることや、企業が求める条件に合った人材を見つけることができない可能性があります。人材紹介業者はそのリスクを認識し、企業に適切に事実を提供する必要があるのです。

このような背景から、人材紹介業者と企業との契約は、単に人材の紹介サービスを提供することが目的であり、人材を紹介すること(仕事の完成)を確約するものではありません。
従って、人材紹介業は「請負」には該当せず「委任」に該当するため、「課税文書」ではなく、収入印紙を貼る必要がなくなります。

収入印紙が必要な時・不要な時

人材紹介における契約書には収入印紙の貼付が「不要」となりますが、実際に収入印紙が必要な書類はどのようなものでしょうか。
契約書以外にも収入印紙を貼らなければならない書類があり、注意が必要です。どの書類に収入印紙が必要になるのか理解しておく必要があります。
この項目では収入印紙が必要な時・不要な時についてそれぞれ解説します。
ここから紹介する書類は人材紹介とは関係のない書類になるのでそれを理解した上で読み進めていってください。

収入印紙が必要な時

収入印紙が必要な場合は以下の通りになります。

・不動産の譲渡や運送などに関する契約書
・請負に関する契約書
・約束手形、為替手形
・その他の課税文書(5万円を超える受取書)

参考:印紙税額(2023年4月現在)|国税庁

それぞれの場合について詳しく紹介していきます。

不動産の譲渡や運送などに関する契約書

契約書を作成する際には収入印紙を貼付しなければなりません。ここではどの契約書で収入印紙が必要になるのかご紹介します。

・不動産、鉱業権、無体財産権。船舶若しくは航空機又は営業の上地に関する契約書
・地上権又は土地の貸借権の設定又は譲渡に関する契約書
・消費貸借に関する契約書
・運送に関する契約書

以上に関する契約書で記載された契約金額が1万円以上であると課税文書となり収入印紙を貼付しなければなりません。

請負に関する契約書

「収入印紙とは?」の項目でご紹介したように「請負」に関する契約書は収入印紙を貼ることが必要となっていました。
ここでは、具体的にどのような契約書があるのかご紹介します。

・工事請負契約書
・広告契約書
・映画俳優専属契約書
・工事注文請書
・請負金額変更契約書

など

以上に関する契約書で記載された契約金額が1万円以上であると課税文書となります。

約束手形、為替手形

印紙を貼る契約書について紹介してきましたが、契約書以外にも印紙を貼る必要がある書類がありますので紹介します。その書類は、約束手形と為替手形の二つです。
手形は期日までに特定の金額を支払うことを約束する有価証券です。
約束手形と為替手形は似た性質を持ちますが少し仕組みが異なることに注意が必要です。
約束手形は手形を発行した人が手形を受け取った人に対して支払いを約束する二者間の取引になります。
一方為替手形は約束手形で二者間の取引だったものに対してもう1人追加した三者間での取引です。
具体的な違いとして、約束手形では手形を発行した人と支払う人が同一人物になります。
一方為替手形では、手形を発行する人と支払う人が別の人物になります。

約束手形、為替手形を発行する際にも収入印紙の貼付が必要です。

その他の課税文書

収入印紙の貼付が必要な文書は以上で説明した文書以外にもたくさんあります。
ここでは一部例を挙げてご紹介します。

・定款
・保険証券
・信用状
・預金証書、貯金証書
・5万円以上の受取書

これ以外にもさまざまな種類の文書が課税対象となっています。国税庁が公開している印紙税額を見ていただくと、ここでは紹介しきれなかった文書の種類やそれぞれの項目に対応した印紙税額が記載していますのでそちらをご覧ください。

参考:印紙税額(2023年5月現在)|国税庁

収入印紙が不要な時

ここまでは収入印紙が必要な時について紹介してきましたが、収入印紙が不要な時もあるのでそちらについてもご紹介いたします。

・請求書
・クレジットカードで支払った際の領収書
・電子契約書

請求書

請求書は非課税文書に該当しますので収入印紙を貼付する必要がありません。
5万円以上の取引がある場合でも請求書では収入印紙の貼付をする必要がないことに注意が必要です。

参考:No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書 (2023年5月現在)|国税庁

クレジットカードで支払った際の領収書

クレジットカードで支払った際の領収書も収入印紙を貼付する必要がありません。ただし領収書にクレジットカードで払った旨を記載しないと課税対象になるので注意が必要になります。

電子契約書

電子契約書で契約を締結した場合でも収入印紙を貼付する必要がありません。紙の書類にのみ印紙税法が適用されるので、電子契約書は印紙税法が適用されず、収入印紙の貼付を必要としません。

参考:コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い(2023年5月現在)|国税庁

収入印紙の購入方法

最後に、収入印紙の購入方法について紹介していきます。ここまでは収入印紙ついて紹介してきましたが、そもそも収入印紙はどこで買うことができるのでしょうか?
ここでは収入印紙のそれぞれの購入場所におけるメリット・デメリットについて紹介します。

各購入場所でのメリット・デメリット

・法務局や規模が大きい郵便局

メリット:全ての額面を購入することができる
デメリット:24時間営業ではないので営業時間内に印紙を買う必要がある

・コンビニやスーパー

メリット:他と比較して簡単に訪れることができる
デメリット:取り扱っている額面が200円のみだったり、そもそも取り扱っていなかったりする

・金券ショップ

メリット:安い価格で購入できる可能性がある
デメリット:自分が希望する額面を入手できるとは限らない・大量購入できない

ここまでメリットとデメリットを紹介してきましたが、自身の都合に応じて購入する場所を選ぶことが重要となります。
法人の場合、複数種類の印紙を大量に購入するため、法務局や郵便局だと購入しやすくなります。

まとめ

ここまで人材紹介の契約書に収入印紙が必要か、収入印紙についての基礎知識についてご紹介してきました。人材紹介の契約書には収入印紙は「不要」となります。しかし、収入印紙が必要となるタイミングが多いことも事実ですのでしっかり把握し人材紹介事業を行ってください。
また、人材紹介の契約書について詳しく紹介している記事がありますのでそちらも併せて参考にしていただけますと幸いです。


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