
スマートフォンの急速な普及や、AI・情報処理技術の発達から、入手できるデータ量が増え、大規模なデータ活用ができるようになりました。
その膨大なデータを分析し、新しい価値を提案できる「データサイエンティスト」の重要性が高まっています。
しかしデータサイエンティストと聞いても、具体的な想像ができない人もいるでしょう。
そこで今回はデータサイエンティストについて、仕事内容や必要なスキル、将来性について説明していきます。
データサイエンティストとは
データサイエンティストとは、膨大なデータからビジネスに活用する知見を引き出し、企業の経営課題を解決するための戦略立案や、意思決定者をサポートする人材のことです。
「データサイエンティスト入門」では、データサイエンティストという職業は、データを分析するだけではなく、ビジネスに応用し新しい付加価値を生むことができて初めて、その存在感を発揮できると説明しています。*1
データサイエンティスト誕生の背景
かつては、「人」「物」「金」の3つが重要な経営資源と言われていました。
しかし近年は、その3つに「情報」が加わっています。
現在はセンサーや人工知能などを駆使して、日常のさまざまな事象をデータとして吸い上げ、活用するビッグデータ時代です。
スマートフォンや、Wi-Fiなどのワイヤレスネットワークの拡大に伴い、これまで把握できなかった粒度の情報もリアルタイムで入手することが可能となりました。
企業はいかに情報を的確に入手し、分析・活用できるかがビジネスを行ううえで、ますます重要になっています。
そうした社会情勢の中で、データサイエンティストは注目されるようになり、「21世紀で最もセクシーな職業」とも言われるようになりました。
データサイエンティストの仕事内容
データサイエンティストの仕事内容を一言で表すと、「データを分析し、ビジネスに活用させること」です。
通常、企業や機関が収集・蓄積した情報やデータは、適切な整理や分類がされていません。
そんなビックデータを、統計学やコンピューターサイエンスなどの知識を使って、整理・分析・解析を行い、ビジネスに活用できるようなデータに加工し、レポートを作成するのがデータサイエンティストの仕事です。*2
「ビッグデータを分析する」というところにフォーカスされがちですが、あくまでも「ビジネスに応用して新しい付加価値を生むこと」「ビジネスへの貢献を図ること」が主眼となります。
データサイエンティストに必要な3つのスキル
データサイエンティストに求められるスキルは、「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニア力」の3つです。*3

データエンジニアリング力として、IT関連スキルは必須です。
膨大な情報を整理し分析するために、コンピューターを使用し、プログラミング言語で記述するコーディングスキルが求められます。
データサイエンス力では、情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の幅広い知識と、分析に当たる業種や業界に関する専門知識も必要です。
そしてビジネス力では、データを取得・分析する能力だけでなく、ビジネスの理解や、現場の人とのコミュニケーション能力も求められます。
3つのスキルセットはとても重要なファクターで、どれか1つが欠けてもデータサイエンティストとして十分な力を発揮できません。
しかし現実的には、3つのスキルをバランスよく持っている人材は多くありません。
実際の現場では、それぞれのスキル領域の専門家と協力しながらプロジェクトを進めていきます。
いろいろな強みを持ったデータサイエンティストが、コミュニケーションを取りながら、データ解析プロジェクトを推進できることがとても重要なのです。
データサイエンティストの需要と将来性
データサイエンティストの需要と将来性について、直近の採用実績や今後の採用計画などから確認していきましょう。
2021年の採用実績
ビッグデータを取り扱っている会社では、必ずデータサイエンティストが求められます。
また、ビッグデータを活用しようとする会社も増加しているようです。
実際にデータサイエンティスト協会が行った調査によると、データサイエンティストを直近1年間で増やした企業は41%に達します。*4
さらに、目標通りにデータサイエンティストを確保できなかった企業は62%で、昨年よりも拡大しました。

データサイエンティストの採用ニーズは、これからも続いていくことでしょう。
同時に、データサイエンティストの人材不足も大きな課題となっています。
今後増員したいデータサイエンティストのタイプ
今後増員したいデータサイエンティストのタイプとしては、「ビジネスタイプ」が36%、「アナリストタイプ」が28%、「エンジニアタイプ」が34%でした。

ビジネスタイプとは、ビジネス課題を抽出し、データを分析・活用して課題を解決できる人材のことです。
これからはデータ分析だけではなく、業界知識や問題解決能力、コミュニケーションスキルを持ち、より高い次元でデータをビジネスに応用する能力が求められるようになるでしょう。
データサイエンティストの将来性
データサイエンティストは、十分に将来性のある職種です。
実際にデータサイエンティストとして働いている人の84%が、データサイエンティストの仕事に将来性を感じています。*5
また、さまざまな業界においてビッグデータの活用が進んでいることや、将来の人材不足を見越し、大学などの教育機関でデータサイエンス教育の強化も行われている状況からも、データサイエンティストのニーズが高まっていることが分かります。*6
さらに、データサイエンティストを含む先端IT従事者は、先端IT非従事者と比べて多くの年収を得ており、目標とする年収も高いという調査結果もありました。*7
この結果からも、データサイエンティストを含む先端IT従事者は、将来的にも高収入が見込める職種であるといえるでしょう。
まとめ
今回はデータサイエンティストの仕事内容や必要なスキル、これからの需要・将来性について説明してきました。
データサイエンティストは、データを分析するという役割だけでなく、新しい付加価値を生み出し、ビジネスを変革する役割まで期待されています。
これからは、データサイエンティストの需要がさらに高まっていくことでしょう。
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【エビデンス】
*1NIKKEI STYLE「データサイエンティストどんな仕事 人気の秘密を解説」
*2マイナビ2023「データサイエンティストの職種」
*3PRTIMES「データサイエンティストのミッション、スキルセット、定義、スキルレベルを発表」
*4データサイエンティスト協会「データサイエンティストの採用に関するアンケート」P3,4,9
*5時事通信社「データサイエンティスト協会の一般(個人)会員向けに調査を実施」
*6文部科学省「AI戦略等を踏まえたAI人材の育成について」P22
*7情報処理推進機構「IT人材白書2020」P194

【著者】髙橋 めぐみ
求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供するプライム市場上場企業(元東証1部)に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在はこれまでの経験を活かし、人材や教育に関する記事を中心にフリーライターとして活動中。