
「業界」「業種」「職種」のように何気なく使っている言葉、その意味や違いはご存知でしょうか。
転職活動で自分の経歴や経験を正確に伝えるためにも、この3つの言葉の意味と違いはとても大切です。ぜひ確認しておきましょう。
また転職を考える際の、これら3つの用語から見たポイントも解説します。
転職活動を成功させるために、「業種」×「職種」がカギを握る考え方についても併せてご確認下さい。
「業界」「業種」「職種」の意味
まずはじめに、「業界」「業種」「職種」の意味と違いをしっかりと確認していきましょう。
「業界」とは
業界とは、「企業を産業で分類したもの」です。
業界によって取り扱う商品やサービスは異なっており、メーカーが製造した商品を商社が仕入れ、小売が販売するなど、各業界は密接な関わりを持っています。
具体的に業界を大きく分けると、その役割から「メーカー」「商社」「小売」「金融」「サービス」「ソフトウエア・通信」「マスコミ」「官公庁・公社・団体」の8つに大別できます。*1

もちろん1つの企業でも、複数の業界にまたがる事業を展開しているケースがあります。
「業種」とは
業種とは、「事業の種類」のことで、「その企業が携わっている分野」のことを指します。
「業界からさらに細分化したもの」だと考えると分かりやすいでしょう。
企業を業種で分ける場合には、総務省統計局が定めている日本標準産業分類の「産業」に準拠し、証券コード協議会が分類したものが一般的です。*2
通常「業種」といった場合は、建設業、食料品、情報・通信業、小売業などの「中分類」を指します。

しかし求職者向けの書籍や転職サイトなどでは、分かりやすい言葉を使っていたり、証券コード協議会が分類したものよりも1つの業種を細かく分けて表記していたりします。
例えば、マイナビ転職を例に挙げると、繊維製品は「繊維・アパレル」、小売業は「百貨店」「コンビニエンスストア」「専門店(食品関連)」などに分かれています。*3
「職種」とは
職種とは、「仕事内容」のことです。
業界、業種が企業の枠組みを指すのに対し、職種は「企業の中での役割」を指します。
例えば、「営業職」「人事職」「経理職」「開発職」などです。
営業部、人事部、経理部など、その役割によって部署が分かれている会社に勤めている場合は、所属している部署の業務が自分の職種と考えるとよいでしょう。
自分の職種が分からない場合は、ハローワークの厚生労働省編職業分類や転職サイトで当てはまるものを探してみてください。
ただし職種名は、求人情報の掲載機関や企業ごとによって違いがありますので注意しましょう。
「業界」「業種」「職種」の違い
最後に「業界」「業種」「職種」の違いを確認しておきましょう。
業界とは「企業を産業で分類したもの」です。その産業とは「メーカーであればモノを作る」「小売であればモノを消費者に売る」「商社であれば小売業者にモノを売る」などの大きな役割のことを言います。
一方業種は業界からさらに細分化したもので、「商品やサービス形態」をもとに分類されています。
「メーカー」で例えると、業界での役割は「モノを作る」ことであり、業種は扱う商材によって「食料品」「化粧品」「住宅」「医薬品」などに細かく分けられます。
そして「職種」は、その企業の中での実際の仕事内容のこととなります。

転職活動のポイントは「業種」×「職種」
転職先を選ぶときは「業種(事業の種類)」×「職種(仕事内容)」で考えてみましょう。
自分の経験や強みが活かせるのか、何が足りないのかが、整理しやすくなります。
・同じ業種 ×経験のある職種
・異なる業種×経験のある職種
・同じ業種 ×未経験の職種
・異なる業種×未経験の職種
同じ業種×経験のある職種
同じ業種の企業に、経験のある職種で転職するというのは、現在は「メーカーで経理」をしていて、転職先も「メーカーで経理」を選択するケースです。
求職者はこれまでの知識と経験から転職先を選びやすく、入社後のギャップも少なく済むでしょう。
採用企業側も、求職者の能力を判断しやすいため、お互いの納得度が高い転職となります。
このパターンの転職は、今までの経験がそのまま生かせる形となるため、入社後に即戦力となり活躍できるケースが多いのが特徴です。
異なる業種×経験のある職種
経験のある職種であっても、異業界に転職をする場合は、今までの業務との共通点を見つけることが大切です。
例えば、「保険の営業」が「不動産の営業」に転職を希望する場合、扱う商材が「長期保有する高額商材」であること、「個人顧客向けに営業を行うこと」などが共通点になります。
そして選考では、その共通点を元に、今までの自分の経験がどのように活かせるのかを明確に伝えられるようになりましょう。
業種と企業の理解を深め、自分の経験とスキルを上手に活かせば、即戦力になれる可能性も高いといえます。
同じ業種×未経験の職種
「同じ業種×未経験の職種」とは、「IT企業の経理」から「IT企業のエンジニア」への転職や、「メーカーの営業」から「メーカーの企画」への転職などのことです。
この場合、業界知識は評価されます。しかし即戦力として活躍するのは難しいため、収入などは下がる覚悟が必要です。
転職を成功させるためには、知識があることだけでなく、自分の経験やスキルが希望職種でも活かせることを伝える必要があります。
また、なぜ未経験の職種に転職を希望しているのかも明確にしておきましょう。
企業が即戦力となる人材を採用したい場合は、異業種出身の同職種経験者の方が高く評価されることが多いようです。
異なる業種×未経験の職種
業種も職種も未経験の分野へ転職する場合は、0から学び直す覚悟を持ちましょう。
転職を成功させるためには、これまでの経験やスキルとの共通点を見つけ、業種・職種を越えて活かせる強みを整理することが大切です。
例えば「販売員」から「営業」への転職を考えている場合、「お客様にモノやサービスを売る」という共通点があります。
販売員として「お客様と仲良くなることが得意だった」「おすすめ商品を提案して売上目標を達成してきた」といった経験があれば、営業にも活かせる強みとなるでしょう。
0からでも学びたいという熱意と、自分の強みを明確に伝えることができれば、未経験の業種・職種だとしても活躍してくれそうだと思ってもらえるはずです。
まとめ
業界、業種、職種の言葉の意味や違いを説明してきました。
転職活動を成功させるためには、自分はどういった業界・業種の企業に所属し、どのような仕事を行っていたのかを整理することが大切です。
そして希望する「業界・業種の研究」「企業・職種の研究」と、「自分のスキルの整理」を行えば、転職成功はぐっと近づくことでしょう。
自分一人で転職活動を行うのが難しい場合は、人材紹介会社などのプロの力を頼ってみるのもおすすめです。
あなたの転職活動が上手くいくことを願っています。
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【エビデンス】
*1 マイナビ新卒紹介「知っておきたい、業界分類一覧と解説」
*2 JPX「用語集 業種(ぎょうしゅ)」
*3 マイナビ転職「求人検索」

【著者】髙橋 めぐみ
求人情報メディア・人材紹介等の総合的な人材サービスを提供する一部上場企業に勤務。在職中に250社以上の企業を取材し、求人広告の作成等に携わる。その後、教育業界に転職。現在はこれまでの経験を活かし、人材や教育に関する記事を中心にフリーライターとして活動中。