面接で転職理由を伝える前にすべきたった1つのこと

転職活動をするとき、面接で必ず聞かれる質問のひとつに、「転職する理由を教えてください」というものがあります。これは多くの応募者を悩ませる質問です。

なぜなら、正直な話をすれば「不満が何もなければ、転職なんてしないのが本音」という応募者が大多数だからです。

にもかかわらず、「面接では、不満などネガティブに捉えられかねない発言をすれば、評価が下がる」とされているため、転職理由をどう伝えるべきかいよいよ迷ってしまいます。

そんな悩みの真っ最中にいるあなたに、お伝えしたいことがあります。面接で転職理由を伝える前に、あなたにはすべきことがあるのです。

面接でネガティブなことは言わないほうが良い──、確かにこれは正論です。

しかしながら、正論がいつも成功につながるとは限らないのが世の常でもあります。

本稿では少し目線を変えて、「あなたの転職活動を成功させるための転職理由とは何か」を明らかにしていきましょう。

あなたの心の底にある“本当の転職理由”に気付く

最初に結論からお伝えすると、“面接で転職理由を伝える前にすべきたった1つのこと”とは、

「あなたの心の底にある“本当の転職理由”に気付く」ことです。

「あなたは、“本当は”どうして転職したいのですか?」

あなたはどうして転職したいのですか。

前職は人間関係が悪かったから?

激務で体を壊したから?

給料が安かったから?

あなたが、いま思い浮かべているその転職理由は、あなたの“本当の”転職理由ですか。

「人間関係が悪かったから転職したい」、確かにきっとその通りなのでしょう。

しかし、それは本当の転職理由ではないかも知れません。

その裏には、自分の深いところで守りたい価値観に繋がる気持ちが隠れていて、それこそがあなたの転職理由である可能性があります。

「自分は、自分のことをよく知っている」と信じているかも知れませんが、潜在意識を含めて自分のやりたいことを正しく把握することは、実はそう簡単ではありません。

本当の転職理由もまた、同じなのです。

本当の転職理由に気付くべき2つの理由

本当の転職理由に気付くための具体的な方法は後ほどご紹介しますが、その前に「なぜ本当の転職理由に気付くべきなのか」についてお伝えしましょう。

2つの理由があります。

(1)負い目によって面接官の印象を悪くしないため

1つめの理由は「負い目によって面接官の印象を悪くしないため」です。

少し詳しくご説明しましょう。

例えば、転職活動中の方から、こんな相談を受けることがあります。

「会社にいろいろ問題があって、ネガティブな理由で辞めました。面接で前職の退職理由を聞かれたら、何と答えるのが良いでしょうか?」

一般的な回答はこうです。

「前職についてネガティブなことを言うのは印象が良くありません。ポジティブな理由に変換して伝えましょう」

実際、多くの応募者がこの作戦で転職理由を伝えています。

しかしネガティブな真実を隠しながら口ではポジティブなことを言うとき、よほど嘘や演技に慣れた人でもなければ、多少の不自然さが態度に出てしまうものです。

嘘をつく“負い目”が、あなたの視線、声のトーン、口角の動き、手の仕草、姿勢に影響を与え、面接官に「違和感」となって届きます。

 面接官の印象を良くしたくてポジティブなことを話しているのに、結果はどうでしょうか。

逆に面接官の印象を下げてしまうことにもなるでしょう。

このような負い目を払拭するためには、本当の転職理由に気付き、堂々と真実を話せるようにしなければなりません。

(2)同じ失敗を繰り返さず転職を成功させるため

2つめの理由は「同じ失敗を繰り返さず転職を成功させるため」です。

ここで知っておきたいのは、

「面接官にとって転職理由とは、“あなたが我が社に来て幸せになれるか”を判断する重要な指標である」

という事実です。

あなたが「面接でネガティブなことを言ってはいけない」と気を遣っているように、また面接官も、面接の場で会社のマイナス面を正直に語ってくれるとは限りません。

表には見えないものの、実は前職と同じ理由で転職を繰り返すリスクのある企業で、選考が進む可能性もあるでしょう。

多くの方が“内定をいかに取るか”にとらわれていますが、内定はたくさん取ればいいというものではありません。

「自分が入社しても幸せになれない会社からは、しっかり断ってもらう」こともまた大切です。

そのために必要なのは、あなた自身が自分の本当の転職理由に気付き、それを面接の場で面接官に伝えることなのです。

RCA(根本原因分析)で本当の転職理由に気付く方法

では、「本当の転職理由」に気付くためには、具体的にどうしたら良いのでしょうか。

おすすめはRCA(Root cause analysis、根本原因分析)を利用する方法です。

RCAは、表面的に見えている事象を掘り下げて、根本的な原因を明らかにするために使う分析法です。

ここでは気軽に取り組みやすいRCA「なぜなぜ分析」をご紹介しましょう。

なぜなぜ分析のやり方

  1. まず、すぐに思い浮かぶ転職理由を挙げてください。
  2. 次に、その転職理由に対して「なぜ?」と問いかけてください。
  3. 本当の転職理由にたどり着くまで「なぜ?」を繰り返しましょう。

例えば「今の職場は人間関係が悪いから転職したい」というAさん・Bさんの例を見てみましょう。

なぜ?なぜ?なぜ?……と繰り返した結果、Aさんは、以下の気付きにたどり着きました。

▼ Aさんの本当の転職理由

私は、本当は人が大好きだ。

チームワークの良い環境で仕事をしたときに、強いやりがいを感じる。

私はチームで仕事をしたいんだ。

一方、Bさんの気付きはこうです。

▼ Bさんの真の転職理由

私は人の心の機微に敏感だ。周囲の影響で疲れやすい。

でも、ひとりで集中できる環境なら高いパフォーマンスを発揮できる。

だからスペシャリスト(専門職)として生きていきたい。

表面上は同じ「人間関係が悪いから」という転職理由であっても、内側に隠れている“本当の気持ち”は、人によって異なることがわかります。

同時に、内定を取るべき企業も大きく変わってくることが想像できるはずです。

表面的な言い換えではなく本当の気持ちを捉えることが大切

ここまでお読みいただいたあなたなら、

「ネガティブな転職理由を、ポジティブに言い換えてください」

というような単純な話ではないことを、ご理解いただけたのではないでしょうか。

本質は、あなたの心の根っこにある「本当の気持ち」に気付くことです。

重要なのは、自分にとっての真実です。

面接の場では、自分の真実をありのままに話してください。

自分自身の本当の気持ちに気付き、それを堂々と転職理由として発信しながら転職活動をすることが、あなたの転職活動を成功させるカギとなるのです。

さいごに

最後に、面接の裏技的な活用法についてご紹介したいと思います。

それは、面接の場で転職理由を聞かれたら、そのたびに自分の気持ちにぴったりとフィットする言葉を、ていねいに手繰り寄せながら表現することです。

自分で「なぜなぜ分析」を完璧にできなくても、実はこのプロセス自体が分析になります。

実際、筆者が面接官を担当した面接では、転職理由を掘り下げて聞いているうちに、応募者の気持ちが整理されていく場面によく遭遇しました。

「自分の奥底にある本当の気持ち」に気付く瞬間には感動もあり、思わず涙を流す応募者がいたことも印象に残っています。

これから転職活動を進めるなかで、たくさんの企業と出会い、たくさんの面接官と話をすることでしょう。

そのプロセスすべてを自分の未来の糧として、転職活動そのものを楽しむことができたら素敵です。

そんな応募者の「キラリ」と光る輝きを、企業の採用担当者は決して放ってはおきません。

少し肩の力を抜いて、あなたらしい転職活動をスタートしてみてください。


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【著者】三島 つむぎ

ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。